「Live Without You」
Twitter上でリアルタイム執筆した小説。
何らかのエラーかまとめ作成の際に【43】のみがTL上に表示されなかっため、終了後に再度POSTしたものを使っています。そのため【43】のみ投稿時間にずれがありますがご了承ください。
- fujiwarayu
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藤原祐
@fujiwarayu
【48】姉は三年前からずっと、僕らを騙していたのだろうか。狂った振りをして、全員に油断をさせ、そうして今日のこの機会をひたすらに待ち続けていたのだろうか。でも、三年間も狂った振りをして、あんな自殺を遂げるなんて真似ーー果たして正気で可能なのだろうか。
2010-07-13 23:34:26
藤原祐
@fujiwarayu
【49】だったら姉はやっぱり狂っていたのか。でも、さっきの姉は、自殺する直前の姉はーー知らない。僕はあんな姉さん、知らなかった。
2010-07-13 23:35:34
藤原祐
@fujiwarayu
【50】「……何だよ」僕は呟いた。何だよ、と。それしか言葉が出てこなかった。何故なら姉さんはーー呼ばれもしないのに式場に来てマイクの前に立った姉さんはーーああ。僕を、ほんの一瞬だけしか、見なかったんだ。
2010-07-13 23:37:56
藤原祐
@fujiwarayu
【51】三年間世話をし続けた僕を。弟の僕を。まるでミュージシャンがコンサート会場で、舞台の上から、たまたま目があった観客を見るように。
2010-07-13 23:39:12
藤原祐
@fujiwarayu
【52】結局のところ、姉は姉ではなかった。三年前のあの日からずっと、姉ではなく、女だったのだ。姉は僕の姉であることを放棄していたし、彼女にとって僕は弟ではない、別の何かだったのだろう。たとえば道具。世間を騙すための。もしくは代替品。従兄のヒロシさんの、代わりの。
2010-07-13 23:43:16
藤原祐
@fujiwarayu
【54】重さはどれくらいだろう。帰ったら量ってみよう。ひょっとしたら、新生児の平均体重くらいの重さかもしれない。そして仮にそうだった場合ーー僕はたぶん、そんな姉を、そんな気持ち悪い思考で僕の横に寝ていた姉のことを、決して許せないだろうなと思うのだ。
2010-07-13 23:47:43
藤原祐
@fujiwarayu
【55】そしてその気持ち悪さは、僕が姉さんの弟であり姉さんの男には決してなれなかったという何よりの証拠であり、だからこそやはり、僕では決して姉さんを救うことができなかったんだなと、そう思うのだった。
2010-07-13 23:49:35