◇ヤンデルとクルッテル◇第一幕

カフェケイネス(@cafe_z_kayneth)さんのフォロワー300人突破、雁子(@nyokariya)さんのフォロワー500人突破記念の合同企画です。 詳細はこちら→ http://cafezero44.blog.fc2.com/blog-entry-10.html 第二幕→ http://togetter.com/li/357797 第三幕→ http://togetter.com/li/357802
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@nyokariya

【一寸先は闇とはよく言ったもので】 カケラ一つ違えば絵は変わり、同様に世界も姿を変える。 根雪が溶け春が訪れたとしても、それが果して見た目麗しい花か万人をも殺す毒かは誰もわからない。 今回の因果もまた、そんなものかもしれない。

2012-08-18 00:04:37
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(わたしは妹を本当に本当に愛していて。たった一人のかけがえのない妹で。だから、だから妹が傷付けられるなんて私には耐えがたい出来事だった)(其の烏にとっては戯れだったのか。私が駆け付けた頃には烏は妹の眼窩に嘴を突き立てている所だった)(ぐちゃりぐちゃりと背筋が粟立つ音が響く)

2012-08-18 00:15:57
@nyokariya

いたい!いたいいたいいたい!たすけて!!! (ぶちぶちとシルクの服を引き裂く音。それがシルクならどれだけよかったことか) (強固なくちばしが神経線維を突き破り、つるりとした目玉が裂かれる音。語彙不足な子供の認識ではただ"いたい"としか形容しようがない)

2012-08-18 00:19:57
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(その凄惨な状況に言葉を失ったのは一瞬で。ぶわりと噎せ返る様な血液の臭いの膜を掻き分け、妹へと必死に駆け寄る) この、このっ、はなれなさい!!! (相も変わらず眼窩へと嘴を突き立てる烏を小さな手で懸命に払う。その手を容易くするりと躱し、飛び立った烏は近くの木の枝へばさりと)、

2012-08-18 00:27:38
@nyokariya

(知らぬ存ぜぬを決め込むような素振りに平常であるならば子供特有の茶化しも出来たかもしれない、が、それは平常の場合の話) (鴉を睨み精一杯思いつく限りの悪態をつく金糸の娘、その場にうずくまり嗚咽と赤黒い汁を零す月色の娘。その姿の如何に異質で、醜悪なことか!) ぃた、い……たすけて、

2012-08-18 00:32:55
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(烏への憎しみや恨みはやがて自分自身へと方向を変え。何故自分ではなかったのか、何故妹から目を離したのか、何故、何故) …わたしなら、こんなめにあうのが、わたしならよかったのに!!! (少女の叫びを、願いを聞き届けたと言わんばかりに烏が一鳴き。満足そうに再びばさりと飛び去った)、

2012-08-18 00:42:14
@nyokariya

(そこから数日、幾度かの太陽と月が巡ったある日の朝。穏やかな暁光に似合わぬ口論が森の奥の小屋から響く) (きつい容姿によく似合うきつく甲高い声音からは離婚やら、山において行くなどと子供に聞かせるには些か厳しすぎる言葉ばかり) ちがうもん!カリヤもおねえちゃんも、いいこだもん!、

2012-08-18 00:49:38
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(ぱちり、少女の目覚めは最悪なものだった。姉妹の部屋から壁一枚を隔てた隣から響く、きんきんとした声。それに食って掛かっているらしい妹のまだ少し舌足らずな声) (寝起きの頭では何を言い争っているのかも理解出来ず、少女は寝ぼけ眼を擦りつ隣部屋へ続く朽ちた木の扉を開けた)、

2012-08-18 00:55:07
@nyokariya

こわくなんかない! (そう言い放つ姿勢は後ずさり、数歩進んで背後の棚へとどたんどたん。音を立てて無機質な棚は少女を乱暴に受け止めた) (塞がれた左目と恐怖に圧倒されている状況では上手く立ちあがれない。立ちあがろうとする革靴が、何度も床を引掻いた)

2012-08-18 00:59:36
@nyokariya

(唯一見える右の視界に入るのは、斧) (木、主に大木を切り落とす為のソレが狂乱した女の手によって振りあがるのが見えた。) (怖いとは確かに思ったが、姉のことと左目の苦痛を思えばそれは恐怖でも何でもない。きゅっと、せめて早く終われと、彼女は双眸を閉じた)、

2012-08-18 01:02:05
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

や、ああああああ、!!! (扉を開けた瞬間に目に飛び込む光景。今度こそ身体は反射的に動いた。棚の前、今にも振り下ろされんとする斧の下の妹を、錯乱した様に喚きながら力一杯突き飛ばし) (直後、文字通り息が詰まり。何が起きたかも理解せず、喉奥から血液の泡がごふりと溢れだした)、

2012-08-18 01:11:23
@nyokariya

(有り得る筈の感触がない。ぱちぱちと丸い瞳を瞬きさせれば自分の前に母親だった女は居ない。粗末なテーブルと、転がる林檎。) (何の気なしに見た左の視界は、喉から腹までびりびりに裂かれた姉の姿。あんな薄汚い赤と半端な長さは"自分の時以来だと"思わざるを得ない)(そして訪れる暗転)、

2012-08-18 01:17:18
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

………っ、あああ、!!!!! (がば、と勢いよく飛び起きる。整わない呼吸を何とか制し、迫り上げる嘔吐感を何とか押さえつけ) (斬られるというより重く重く叩き斬られたような、生々しい感触が全身に残っていた。にも関わらず、生きている)

2012-08-18 01:26:31
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(斬られたであろう胸元を確認するように触るも、傷や痛みは全くなく。ただただ肉が絶たれ骨が叩き潰され臓物が抉り出される感触のみが残る) (これが、呪い。あの場で確実に殺された自分が生きている事実に少女は確信する) (その間にも隣部屋からは口論が。少女は慌てて隣部屋へ転がり込んだ)、

2012-08-18 01:31:02
@nyokariya

こわくなんかない! (そう言い放つ姿勢は後ずさり、数歩進んで背後の棚へとどたんどたん。音を立てて無機質な棚は少女を乱暴に受け止めた) (刹那、少女は転がり込んできた、自分より少しだけ大きい大好きな姉の姿を視認した。しかし、守りたい心は変わらない) おねえちゃん!だめ!、

2012-08-18 01:33:26
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(突き飛ばせば自分が死にここへ戻る。かといって妹を見殺しにする訳にはいかない。振り下ろされる斧を止める力もない、ならば) (妹の細く白い今にも折れそうな腕を掴みぐいと引き寄せる。棚が斧に叩き壊され木屑となったのを見届けずに元いた部屋へと駆け込んだ) カリコ、そと、おそといこう!、

2012-08-18 01:41:03
@nyokariya

わ、っわわ!? (拙いダンスをするように、寝坊から飛び起きた時のように彼女は"彼女"に連れ出された) (響く怒声とわざとらしいため息を後にしながら飛び込んだ暁光の中は不気味なくらい緩やかだ。呼吸とある程度の状況把握が可能になった彼女は一つ、きょとりとしながら問う) どしたの…?、

2012-08-18 01:45:54
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(頭上にクエスチョンマークを数個浮かべている妹に状況を説明すべきか否か。悩んだ末に彼女は説明をしない事を決めた。話さずとも自分が妹を守れば良いはずだと) おそとに、おさんぽにいこうとおもって。いこう? (ベッド横のパチンコを腰に。木馬を移動し壁の穴を出すと妹へと右手を差し出し)、

2012-08-18 01:57:25
@nyokariya

(ぽむ、と可愛いらしい音を立てながらマシュマロのように柔らかい手を取る。壁の横の穴は、以前自分達で空けた、秘密の抜け道。) ぅ、…ぅん……? (まぁいいかと背伸びし、穏やかな風と暁光に目を閉じる) (何の気なしに見た足元には、ミルク色したぴかぴかの小石)

2012-08-18 02:02:59
@nyokariya

(その石が視界に捉えられる範囲で、あと二つ転がっているのが見えた) (右目だけでもわかるその魅力的な白に彼女は瞬きして、興味を引かせる為に隣の彼女のワンピースの裾を引いた) おねえちゃん!カリヤ、あれあつめたい!いっしょにいこう?、

2012-08-18 02:04:28
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(くいくい、と裾を引かれ妹の興味が向いた"あれ"に目を向ける。小さなその石は目を引くくらいに妙に綺麗で。それは彼女の興味を引くにも十分だった) ええ、あれをあつめましょう、わたしもほしいわ、 (まずは家の周囲から、と玄関上の蜂の巣に気を付けながら周囲を散策する事にした)、

2012-08-18 02:10:10
@nyokariya

(目に見えた範囲の石をぽこぽこと軽快な音を立てながら、ズボンのポケットへとねじ込む。途中で見つけた、可愛いらしい兎に何度もキスをしたりしながらも石探しはとても楽しく、二人は夢中で普段入らぬ森の奥にも歩みを進めた) あ、(また一つ、その石を見据えるがその場所は今までとは少し違う)、

2012-08-18 02:17:10
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(小さく声を零した妹の視線を追いかけると探していた小石が。しかしそれは文字通り蜘蛛の巣に絡め取られていた。今まで見た事のないような大きなものだとはいえ、所詮は蜘蛛の巣。手で払えば小石を容易く入手する事が出来るだろう) カリコ、ここにいてね、わたしがとってくるわ!、

2012-08-18 02:23:59
@nyokariya

き、きをつけてね…?くもさん、ぎらぎらしてるから……。 (じぃっと見上げた蜘蛛の巣の上には、茶色と桃色の模様と目玉。明らかに空間の中で異質さを放っている) (姉が歩みを進める度に、気のせいか、その蜘蛛が下がってきている気がして) ねぇおねえちゃん、ちょっとまって、わたしもいく、

2012-08-18 02:27:57
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

ん、なぁに? (妹の声に振り向いた刹那の事だった。視界が頭上から何かに覆われる。身体をがしりと掴むは薄らと柔らかい毛の生えた触肢) やだ、なにこ、っひぁ! (徐々に身体が浮かぶ。小さな両足が踏みしめていた地面を離れた。蜘蛛だ、と理解した瞬間に産毛が総立ち暴れてみるも無意味で)、

2012-08-18 02:39:36