◆自分のためのスケッチ:in Twitter Intermisstion◆

真上犬太氏(@plumpdog)によるtwitter連載小説 第7回目
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真上犬太 @plumpdog

◆自分のためのスケッチ:in Twitter Intermisstion◆

2012-10-13 13:55:20
真上犬太 @plumpdog

◆「ほら、早く行こうぜ」そう言うと、小柄な姿はとことこと先に立つ。「急がなくても良いんだよ?」そう言うこちらの言葉にも耳を貸さない。「いいんだよ。早く着く分には」クイの不満そうな顔に、デルフィは笑う。「クイはせっかちだね」「そうかな」「そうだよ」「……そうかもな」◆

2012-10-13 13:58:52
真上犬太 @plumpdog

◆そのまま、ひょいと道路わきのガードレールに飛び乗り、それでようやくこちらと速度をあわせてくる。「そんなところに乗ると、危ないよ?」「危なくないよ」「危ないってば」「……いいだろ、別に」ガードレールが途切れ、ひょいと飛び降りると、また先に立って歩き出す。「おいてかないでよ」◆

2012-10-13 14:01:41
真上犬太 @plumpdog

◆その言葉に、麦わら色のケモノ顔が振り向く。「置いてかないよ」「置いていってるじゃない」「置いてかないよ」「うそつき」その言葉に、クイはただ黙って、俯く。「そっちこそ、早く来いよ」「そんなに急がないでさ、一緒にいこ」すばやく近づき、その片手を握る。やわらかい毛と、堅い手の感触。◆

2012-10-13 14:05:55
真上犬太 @plumpdog

◆「やめろよ」拗ねたように言い、そっと振り解こうとする手。「やだ。一緒に歩こ」「……みたいだろ」「なに?」「子供みたいだから、やめろよ」そう言いながら見上げる瞳は、不満そうで、不服そうだった。「いいじゃない、かわいくて」「そんなこと言われて、喜べない」。◆

2012-10-13 14:08:45
真上犬太 @plumpdog

◆「俺は、子供なんかじゃない」そう言うクイの目が、自分の背中のほうを見ている。視線だけで振り返り、一緒のものを見る。ちょうど同じぐらいの身長の、虎と犬のカップル。「……うん。そうだね」デルフィは小走りになり、それにクイが引きずられる。「ほら、早く!」「おい!?」◆

2012-10-13 14:12:08
真上犬太 @plumpdog

◆道に再びガードレールが現れる。「どうぞ」「……やっぱり、いい」顔を背けたクイはそのまま手を引いて歩き出す。「クイも男の子だもんね」「そういう言い方、するなよ」「ごめんね」深くため息をつくと、クイはガードレールの上に乗った。「行こうぜ」「うん」◆

2012-10-13 14:16:43
真上犬太 @plumpdog

◆クイの目線が、自分よりも少し高い位置になり、手が、自然とこちらを引っ張る形になる。それでも、その仕草はどこか、子供のようで。「やっぱり、かわいいね」「悪かったな」「悪くないよ」「……」少し歩調を落としながら、クイが歩く。ガードレールは百メートルもしない幅で終わるだろう。◆

2012-10-13 14:19:59
真上犬太 @plumpdog

◆そしてまた少し距離を置いて、敷設された高所。多分そのたびにクイは大人になり、その谷間で子供になることを繰り返すのだろう。「ふふっ」「……なんだよ」「やっぱり、かわいいよ」その言葉を受けて、クイは呟いた。◆

2012-10-13 14:23:11
真上犬太 @plumpdog

◆自分のためのスケッチ:in Twitter Intermisstion 「セッシュウ」 END◆

2012-10-13 14:24:03

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