山本七平botまとめ/日本軍はハンコ軍制/~「百人斬り」をでっち上げた浅海特派員が「副官」を伏字にした理由~

山本七平著『私の中の日本軍(下)』/陸軍式順法闘争の被害者/232頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①前略~陸軍もお役所であり、典型的な官僚の世界であり、いたるところで「ハンコ」が必要で「日本軍はハンコがなければ戦争はできない」という冗談があった程である。<『私の中の日本軍』

2012-11-08 20:28:09
山本七平bot @yamamoto7hei

②また「部隊印」と「部隊長印」があり、これは今の社会で使われているあの四角い「社印」「社長印」とほぼ同じ形で、すべての書類にベタベタ押してあった。部隊印の保管責任者は副官で、I副官は縞の布袋にこの二つの印を入れ、肌身離さずもっていた。

2012-11-08 20:58:59
山本七平bot @yamamoto7hei

③事実これは大切な印で、もし盗用・悪用されて誰かに勝手に「作命」でも作られたら、その被害は到底「小切手印の盗用」の比ではあるまい。まず副官が切腹ものである。「百人斬り競争」の野田少尉の「○官」が「副官」だと知った時、この創作記事の悪質さを瞬間的に感じさせたのがこの「印」であった。

2012-11-08 21:28:24
山本七平bot @yamamoto7hei

④大隊命令に押す「印」は野田少尉が保管責任者の筈である。恐らく彼も肌身離さずもっていたであろう。元来「部下の兵士」といえるものがないに等しい副官が、大隊長を放り出して、印をもったままただ一人であっちのトーチカに斬り込んだりこっちの無名部落に斬り込んだりしたら一体どうなることか!

2012-11-08 21:57:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤もし野田少尉が一方的にホラを吹き、浅海特派員が無知からそれを信じたのなら、何も伏字にするわけはない。 副官にはそういう「自由」はありえない!

2012-11-08 22:28:12
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥勿論最下級の少尉には副官であろうとなかろうと「自由」などはないが、特に「嫁」で「印保管責任者」で、部隊長の身の廻りから、部隊内の「家政的雑務」までその責任である副官に、そんな事が出来る筈がない。そしてその事を知っているが故に、これを隠した以外に伏字にした理由はありえない。

2012-11-08 22:57:54
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦これを一瞬強く私に印象づけたのが、あの「印」であった。「ハンコ行政」という言葉を転用すれば、日本軍とは一面「ハンコ軍制」なのである。~後略

2012-11-08 23:28:23