@kenichiromogiによる「情熱」に関する連続ツイートまとめ

脳科学者茂木健一郎博士による情熱の成因についての分析。「今までの人生をいろいろ考えてみると、生きる上で一番大切なものは情熱だし、教えること、伝えることが一番難しいものも、また情熱だと思う。」という枕から始まる。情熱は、「欠落」の認識に由来し、「現実」と「理想」の間の距離によって生まれるという仮説について考察。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(1)今までの人生をいろいろ考えてみると、生きる上で一番大切なものは情熱だし、教えること、伝えることが一番難しいものも、また情熱だと思う。

2010-08-18 07:19:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(2)ソクラテスが、同時代のソフィストたちと比べてすぐれていたものは何か? それは、「知」を探求する情熱である。他人に論争で勝ったり、評判をはくしたりといったレベル以上の「知」を求めたから、ソクラテスはソクラテスとなった。

2010-08-18 07:20:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(3)情熱は、「欠落」の認識に由来する。世界が向かうべき、ある「理想」がある。それに対して、「現実」はかけ離れている。「現実」と「理想」の間の距離に震撼し、しかしそれでも走り出す。ここに情熱が生まれる。

2010-08-18 07:21:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(4)梅田望夫さんのメンターは、ある時、自宅にソフトウェアを入れたフロッピーディスクが厳重に包装されて送られてきたのを見て怒り狂い、ナイフで箱を切り刻んだという。「必要なのは、この中のデータだけなのに」。インターネットが本格普及する以前の話である。

2010-08-18 07:22:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(5)情熱に当たるヨーロッパ言語(passion)は、同時に、「受難」を意味する。「マタイ受難曲」(St. Mattews Passion)のように、キリストが十字架にかけられ、やがて死ぬ苦難の道が、「受難」(passion)なのである。

2010-08-18 07:25:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(6)情熱と受難を同じ言葉(passion)で表現するヨーロッパの言語体系の背後には、情熱の由来するところに関する叡智がある。情熱は、理想と現実の距離が遠く、困難が多いほどかき立てられるものなのである。

2010-08-18 07:26:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(7)ある人がこう言った。私の人生は、今まで逆風が強かったけれども、それに負けずに立ち、前に歩もうとしてきたから強靱な心身を育むことができた。逆風に感謝したいと。

2010-08-18 07:27:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(8)無農薬、無肥料でのりんご栽培に成功した木村秋則さんからは、太陽が輝くような情熱が放射している。死を決意して山中に入るような受難があったからこそ、木村さんのまぶしいような情熱が生み出されたのである。

2010-08-18 07:28:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(9)情熱は、マイナスをプラスに変える、脳の情動系の「白魔術」である。苦労が多いほど、困難が大きいほど、それだけ情熱も大きく燃えさかる。そう考えれば、少々の抵抗、摩擦など何ほどのものだろうか。

2010-08-18 07:29:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(10)自分の理想を思い描いてみよ。それに対して、現実を見据えてみよ。両者の間には距離がないか。現実から理想へ進む時に、大きな摩擦が予想されないか。もしそうであれば、あなたは、情熱を燃やす準備が整っていることになる。

2010-08-18 07:30:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

情熱(11)日本人に情熱が欠けているとすれば、現実から理想へ近づくことを諦めてしまっているからであろう。進む際の逆風に怖じ気づいているからであろう。恐れることはない。苦労しなければ、情熱もまた生まれないのだから。

2010-08-18 07:32:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「情熱」に関する連続ツイートでした。

2010-08-18 07:32:52