Unicodeがこの10年で普及して…

漢字の話とアラビア文字/インド系文字の話が混在してすみません。 現在Unicodeは実用されている文字をほとんど符号化して、新規の追加文字は昔の文字が大きな比重を占めています。複雑な用字系の表示環境も整って特殊絵文字で皆遊んでいる。しかし10年ほど前には全然状況は違っていたわけで……。
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小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma ちょっとお聞きしたいのですが、書家の方々って、説文に掲出されている小篆が、Unicodeに収録されるとうれしいですか?

2012-12-25 02:03:03
大熊肇 @Hajime_Okuma

@ogwata 無いよりは有った方が便利ですが、説文篆文フォントを作れば済むことでしょう。草書フォントとか通用体楷書フォントもほしいですね。常用漢字を篆書風にしたり楷書風にされるのは迷惑です。

2012-12-25 14:23:03
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma お答えありがとうございます。つまり、書家の方々にとっては説文小篆についは専用外字フォントさえあればよく、HTMLやEPUB等の電子出版、メールの送受信などの用途は不必要だという感じでしょうか。

2012-12-26 01:28:51
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma 申し遅れました。説文小篆の国際符号化について、確かなニーズがあるなら提案に動こうかという標準化関係者がいます。従来は東洋学者が主なユーザと考えられていましたが、じつは書道家の方がニーズがあるのではという提起があり、ちょっと大熊さんに質問してみました。

2012-12-26 01:37:10
大熊肇 @Hajime_Okuma

@Hajime_Okuma @ogwata ボクは要らないですね。字種が同じならフォントの切り替えで表示させた方がいいとおもいます。外字フォントではなく「説文篆文」のフォントが欲しい。ある字を選んでフォント名を「説文篆文」にすると説文篆文のその字が表示される。そういうのがいい。

2012-12-26 15:21:32
大熊肇 @Hajime_Okuma

@Hajime_Okuma @ogwata 甲骨文ではそのときにはあったけど今に伝わっていない字種があります。そういう字種を追加するのなら賛成です。

2012-12-26 15:23:52
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma ありがとうございます。説文小篆の符号化は特に必要性を感じないというお答えと理解しました。その旨関係者に伝えますね。以下は補足というかパラフレーズです。たぶん、とっくにご存知のこともあると思いますがご容赦ください。

2012-12-27 15:48:11
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma 大熊さんは〈ある字を選んでフォント名を「説文篆文」にすると説文篆文のその字が表示される〉から、説文小篆や甲骨文字を漢字と同じスクリプト(用字系、文字体系)と捉えているように思えます。文字コードではグリフは同一でもスクリプトが違えば区別されるからです。

2012-12-27 15:53:09
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma じつは、ぼくも甲骨文字の符号化の話しを聞いた際、漢字の祖先である甲骨文字が漢字と違うスクリプトであるはずがないと思いました。しかし、よく甲骨文字を調べてみると、一概にそうは言えないことが分かりました。

2012-12-27 15:55:32
小形克宏 @ogwata

よく例に出されるのが、「史、使、吏、事」にあたる甲骨文字で、これは現代漢字では4字分かれても、甲骨文字では単一のグリフで表されます(臣下、役人などの意に相当)。つまり、字種とする範囲が現代漢字と大きく異なるわけです。

2012-12-27 15:59:41
小形克宏 @ogwata

それからどなたかの論文で「溝」の例で述べられていたと思いますが、現代漢字では「水+冓」で構成されますが、甲骨文字では水の位置が右、上、下でも書かれるという報告があります。これは漢字においても、嶋嶌㠀など動用字として知られていますが、甲骨文字ではもっと全般的であるわけです。

2012-12-27 16:06:50
小形克宏 @ogwata

このように考えると、甲骨文字は漢字とは別のスクリプトとして処理した方が、より利便性が高いのではないと考えられる訳です。では説文小篆はどうか?

2012-12-27 16:07:47
小形克宏 @ogwata

あ、大熊さんのアカウント入れ忘れてツィートしてた……。@Hajime_Okuma さん、ごめん、Mention 以外も読んでください。

2012-12-27 16:09:56
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma 説文小篆とは、ご存知のとおり後漢の時代に許慎が書いた字書、『説文解字』で採られた540の部首字。後漢当時の通用書体である隷書ではなく、失われつつあった小篆で表記されているのが特徴。

2012-12-27 16:16:02
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma おそらく説文の部首についてもっとも丁寧な解説書は阿辻哲次「漢字学」(1985)だと思いますが、これを読むと説文小篆も現代漢字と字種の概念が大きく違うことが分かります。

2012-12-27 16:19:32
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma たとえば「班」という字は、康熙字典等では玉部に配属されていますが、説文では珏(カク)部です。珏は二種の玉が合わさったものであり、班はこれを意符とするので珏(カク)部に属す(pp142-146)。

2012-12-27 16:22:57
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma 部首を検字の便宜とした近代的字書と違い、説文は意符を部首とし、その下に同じ意符を持つ字を収めるという、字義本位の構成をとります(p.146)。つまり540部首には許慎の文字観/字種観が凝縮されていますが、当然それは現代の字種とは大きく異なるわけです。

2012-12-27 16:38:17
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma ですので、やはり説文小篆も、それ自体を一つのスクリプトとして扱った方がよいという考えになるわけです。

2012-12-27 16:39:49
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma 以上は補足でしたけど、説文小篆を符号化する目的として、説文という権威ある字書に裏付けられた、且つ小篆というスタイルと結びつけられたレパートリを符号化することで、書家の方々や東洋学の専門家が幸せになれば…という意図があったのですが、どうも違うかな、と。

2012-12-27 16:45:49
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma 書家が小篆を書くに際して、別に説文部首の範囲を意識して選字するわけではありませんよね。むしろ必要なのは、大熊さんがおっしゃるように、現代漢字でフォント変更すると小篆になるようなソリューションでしょうね。その意味で、ちょっと先走りすぎだったかなと反省。

2012-12-27 16:49:09
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma ともあれ率直なご意見、どうもありがとうございました。以上。

2012-12-27 16:49:38
大熊肇 @Hajime_Okuma

@ogwata ある漢詩を篆書で書く場合。漢詩を入力してフォントを「説文解字」に変換。それでOK。こういうのが便利です。ただし「花」は説文に無いですから「華」の篆書が表示される。「華」には或体が2つありますから、字体変換で切り替えが可能。そういうのがいいですね。

2012-12-27 17:26:22
小形克宏 @ogwata

@Hajime_Okuma それは単純なフォント変更ではむずかしくて、むしろアプリの仕事かも。書体ブラウザ。ウィンドウ内の文字列を任意の書体に変換して表示してくれる。小篆・隷書・楷行草がラジオボタンで選択できる。あるいはスライダで書体が遷移できるとかw

2012-12-27 17:31:25