保坂健二朗さんと鈴木俊晴さんによる、フランシス・ベーコン展をめぐるツイート
フィンランドで訪れて欲しいところは・・・
ベーコン展関連|良く聞かれるのが「どこかまとめて持っているんですか?」という質問。確かにそういう所があれば楽。でもベーコンの場合そうはいかない。本国のテートにしても油彩は14点(寄託は除く)。うち数点は英国内で使われている。だから、文字通り世界中から借りなければならない。
2013-01-24 21:53:34ベーコン展|ということろで、いろんなところにあるベーコン作品についてちょっとご紹介したいと思います。今回出品される作品もあれば、されない作品もありますが、どうぞ御了承を。ということでまずは借りなかった作品から。
2013-01-24 21:54:56ベーコンから見る世界|フィンランドを旅したら是非訪れてほしいのがタンペレ。フィンランドのテキスタイルで有名なのはマリメッコ。でも忘れてはいけないのがフィンレイソンFinlaysonだ。タンペレにはその工場があって、19世紀後半には、北欧で最初の電気を使った工場を有していたという。
2013-01-24 22:02:17(続き)だからだろう。タンペレには労働者が多く、当然、社会主義的な価値観が重視された。そのことを象徴するかのように、タンペレにはあるミュージアムがある。それがレーニン博物館だ。http://t.co/L2f9wj9A でもタンペレにはほかにもミュージアムがいくつもある。(続く)
2013-01-24 22:06:38(続き)それが、日本には人気のムーミン美術館。http://t.co/bR0rZVs0 「ムーミンとレーニン」。はじめてタンペレを訪れた時には、そのお題でなにか本が書けるのではないかと思った(僕の手にはあり余るが)。それだけならまだよいが、スパイミュージアムなるものもある。
2013-01-24 22:10:28(続き)ムーミンとレーニンとスパイ。もうこれだけでお腹いっぱいだけれど、それでも訪れて欲しいのがサラ・ヒルデン美術館。そこにベーコンがある。http://t.co/jISGgIYf 恋人ジョージ・ダイアが実体(着服)と虚像(裸体)とに分裂している作品。その3年後に彼は自殺する。
2013-01-24 22:14:16(続き)ダイアはイースト・エンド出身、いわゆる労働者階級だった(ベーコンはそういう男が好きだった)。そんな彼とベーコンとの破局を予感させる作品を、タンペレという「労働(者)」の街で見られるのは、なかなか興味深い。レーニンもムーミンもいる。ヘルシンキから電車で2時間ほど。ぜひ。終。
2013-01-24 22:19:10"conventional"の訳語について
ベーコン関連の文献(英語)を読んでいて、「conventional」にもっと適当な訳語はないかなと思い辞書で引いてびっくりした。「慣習的」「伝統的」「様式的」「オリジナリティのない」といった、いかにも芸術学で使われる用語に並んで、全然違う「意味」を示しうることがわかったのである。
2013-01-26 00:22:33conventionalには、「核兵器(エネルギー)を使わない」「(核を使わない)従来型の」という意味があるらしい。なるほど「CSM」、すなわち「Conventional Strike Missile」「通常弾頭搭載型打撃ミサイル」「非核ミサイル」と訳す際のそれである。
2013-01-26 00:25:03察するにconventionalに「非核の」という意味が付与されたのは「核の(ミサイル)」ができた後なんだろう。そのとき「conventional」にはポジティブな意味がこめられたのか、それともそうでなかったのか。芸術(学)におけるconventionalを思いつつ、悩む夜。
2013-01-26 00:27:09とにかく僕は、普段はずぼらなだけあって、ベーコンから、あるいはベーコンを通して、いろいろ学ぶことが多い。彼には本当に感謝している。今回の展覧会は、ある意味、その恩返しである。そして、展覧会に(形式上)盛り込めなかったことは、せっかくTwitterがあるので、どんどんつぶやきます。
2013-01-26 00:41:10ベーコンとアフリカ
アフリカとヨーロッパの関係を描いた画家でまず僕が思いつくのは、リュック・タイマンス。彼はヴェネツィア・ビエンナーレのベルギー館代表になったときに、ベルギーでは半ばタブーになっていたというルムンバ暗殺を取りあげた。 http://t.co/GY7wGBRT コンゴは元ベルギー領。
2013-01-26 10:30:20クリス・オフィリはタイマンスに向かって「お前の絵は背景がわからないとわからない」みたいなことを言っているし、それは事実そうなんだけれど、しかし絵画を使って(そして展覧会という場を使って)モデレートに政治的・宗教的問題を取りあげる彼の手法には、芸術のひとつの可能性を見られると思う。
2013-01-26 10:34:41ベーコンから見る世界|彼が南アフリカを訪れたりタンジールで暮らしていたりしたことの背景にも、日本に住む私(たち)は気をつける必要がある。ベーコンの姉妹は、戦後、食糧状況や環境の劣悪だった英国を離れて、「ローデシア」に住んでいた。母親も、夫が亡くなったらアフリカ大陸へと渡った。
2013-01-26 10:37:50ベーコンから見る世界|ベーコンがギーンンズバーグやバロウズとの親交を深めたタンジールは、当時、「国際管理地域」だった。ヨーロッパのベーコン研究者による文献では「自由な雰囲気を愛して」とさらっと書いてあるが、その自由とは、統治体系の複雑さが、つまりは植民地主義がもたらしたものである
2013-01-26 10:47:29プロデューサー、フランシス・ベーコン
ベーコン展|ベーコンが画家として初めての個展を開催したのは1934年のこと。友人が所有していた建物の一部で自ら開催し、ベーコンはそのスペースを「Transition Gallery」と名づけた。しかし展覧会は不成功に。彼はほとんどの作品を破壊する。で、この事実から見えてくるのは?
2013-01-28 05:59:25ベーコン展|当時のロンドンでは新しい美術を発表する機会は限られていた。名のあるギャラリーでの個展の機会を得るまでには時間がかかることに気づいたベーコンは、自分の作品のディーラーとして独立しようとしたのだ。この事実から、彼にはプロデューサー的側面が早い時期からあったことを確認できる
2013-01-28 06:02:27ベーコンの写真・切り抜き
ベーコン草稿より|アトリエから見つかった様々な写真や雑誌の切り抜きについて|同時代の芸術家としてはデュシャンの写真が8葉見つかっており、その中にはリチャード・ハミルトンによって再構築された《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》、通称「大ガラス」のイメージもあった。
2013-01-29 00:20:44@kenjirohosaka 熊川哲也さんもインタビューで言及しておられますが、ベーコンの様々な写真や雑誌の切り抜きをまとめた本というのはどういうものが良いですか。わたしが所有しているのは、Harrison "IN CAMERA FRANCIS BACON"(2005)だけです。
2013-01-30 22:38:38