@ts_p 扉が開いた。フロアがない。街の夜景が広がっている。また幻覚だ。ため息をつきながら扉を閉める。深呼吸。もう一度扉を開けるといつもと変わらない床が見えた。一歩を踏み出した瞬間ガッと腕を掴まれた。「早まるなっ」目の前の床が消え夜景に変わる。私は屋上の縁に立っていた。
2010-08-31 23:53:19某企業のエレベータは時折、お焼香の臭いがする。臭う時に乗ると怖い目に遭うと噂され、従業員は平時でもエレベータを使わなかったという。ある日、豪胆な役員が臭いを無視して乗ったところ、彼はその晩、愛人に刺された。
2010-09-17 16:50:19@ts_p S百貨店のエレベータはガラス張りだったので子どもの頃大好きだった。通りを歩いている人に手を振りながら昇っていく爽快感。ある日ガラスの向こうに犬を連れた老人がにこにこ顔で立っていた。手を振る。箱が動き出す。歩道の老人も一緒に上昇した。しかし犬は地面に置いてけぼりだった。
2010-09-01 01:21:32@ts_p ガラス張りのエレベータをふと見上げると、私に手を振る女の姿があった。建物に入っていくが、エレベータの周囲に女の姿はない。建物を出て、再びエレベータを見やると、また女が手を振っていた。憤り、建物を離れ駅に向かう。ホームからエレベータを窺うと、女はまだ私を見ていた。
2010-09-01 02:05:12エレベータに閉じ込められてから、随分時間が経つ。救援を呼んだものの、一向に来る気配がない。なにより、この鉄箱の圧迫感は想像以上に堪えがたく、体力を消耗する。息苦しい。目も霞んできた。早く開けてくれ。とにかく出してくれ。流れる血潮も止め処ない。ちくしょ…一体、俺は誰に刺されたんだ…
2010-09-02 19:41:41@ts_p 昇降機の表紙 RT @s_hyouma 1417*2125pixel、300dpiのjpgをあげました。拡大したら荒が目立つ目立つ……縮小で証拠隠滅されますようにorz http://bit.ly/9Ki2bW
2010-09-03 04:00:21@ts_p Sさんが会社に戻ったときすでに深夜だった。疲れ切ってエレベータの壁にぐったりと寄りかかっていた。ぼんやりと階数表示を眺めていると視界の隅で何かが動いている。それは天井から垂れ下がるように操作パネルまで伸びた。ハッとして顔を向けた。押した覚えのない最上階が点灯していた。
2010-09-03 08:45:34