ザイバツ・ヤング・チーム #1

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

キュッ、キュッキ、キュッ……。小鳥めいた音を鳴らす特殊な渡り廊下を足早に進むニンジャは二人。どちらも背格好は似通っており、低くも高くもない。一人は群青、一人は砂色の装束に身を包む。並んで歩く彼らの間に会話は無く、むしろ牽制めいたアトモスフィアすら漂う。 1

2013-02-20 12:34:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

廊下は不気味に薄暗く、装飾が施された円窓から見える空の色は星すら見えぬ暗黒。彼らの装束色が定かになるのは、ボンボリの側を通過するときだけだ。 2

2013-02-20 12:51:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドウ!ゴゴウ!そのとき雷鳴じみた轟音が前方で鳴り響き、渡り廊下の空気を震わせた。二人は視線を交わすが、歩みを止める事はない。依然無言のまま、彼らは廊下の突き当たりのアーチ門をくぐった。3

2013-02-20 12:58:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アーチをくぐると、そこは巨大な円柱状の吹き抜け空間。彼らは壁沿いの螺旋階段の踊り場に出たのだ。螺旋階段を下ってゆく最中、底部ではバリバリと空気を裂く耳障りな音が繰り返されている。 4

2013-02-20 13:13:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らが円形の底部に到達したのとほぼ同時、ひときわ強烈な鳴動、続いて、白と黒の霧めいた輝きが、中心部の床に描かれた魔法陣めいた文様から溢れ出した。文様を前に、ボロ屑をまとったミイラじみたニンジャがアグラしている。ニンジャは骨と皮ばかりの手を合わせ、拝む。ZMZMZMZM…… 5

2013-02-20 13:20:08
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ZMZMZMZM……010110101……「ンアーッ!」白い放電に包まれながら、黒灰色装束のニンジャの影が突如実体化し、床に投げ出された。0101000……さらに一人。オーカー色の装束を着たニンジャが着地し、周囲を見渡す。「……フゥーム」 6

2013-02-20 13:31:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハァーッ!ハァーッ!」黒灰装束の小柄な女ニンジャは脇腹と肩を負傷し、メンポも破壊されて剥がれたと見え、まだ若いその顔が露わだ。女ニンジャは床に手をつき、苦労して上体を起こす。オーカー色のニンジャはやや荒っぽくその腕を掴み、立ち上がらせた。「ツバでも着けときゃ治るわい」 7

2013-02-20 13:38:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

女ニンジャは口元の血を拳で拭い、頷いた。そして螺旋階段の二人を見やった。彼らは思わず立ち止まり、その光景に見入っていたのだ。「何度やっても慣れんな!どうにかできんのか」オーカー色のニンジャが毒づいた。「……残念ながら」ミイラじみたニンジャが答えた。 8

2013-02-20 13:44:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フン」オーカー色のニンジャはズカズカと戸口へ歩き出した。女ニンジャがその後を続こうとする。その時だ。ZMZMZM……0101110「グワーッ!」さらに一人、新たなニンジャが虚空から転がり落ちてきた。「なんじゃお前。生きとったのか」「勝手に殺さんでくださいよォ!センセイーッ!」9

2013-02-20 13:51:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆今日は何回か止まる◆わかりました◆

2013-02-20 16:07:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そのニンジャもまたオーカー色の装束だ。痩せて丈高く、まだらに染めた弁髪を垂らし、黒い刺青を顔の左半分に入れている。「俺がしっかりシンガリ守ったんですぜ!努力認めてくださいよ……おいディム!」弁髪ニンジャは女ニンジャに言った。「お前、死なずに済んだのは俺のおかげだぜ!感謝しろ」10

2013-02-20 16:18:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バカは放っておけ!」ニーズヘグは円形広間を去る。「ハイ!」女ニンジャは返事をし、足早にその後を追った。去り際、もう一度階段の二人を見た。「ハイじゃねえぞ!」弁髪ニンジャは叫び、気味が悪そうにミイラじみたニンジャを見、最後に階段の二人を見た。「アーン?てめェら……」 11

2013-02-20 16:25:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゆらゆらと威圧的に首を振りながら、弁髪ニンジャは歩み寄った。「よう!これはこれは誰かと思ったら、ドモボーイ=サンにクアース=サンじゃねえかよ」「ドーモ、スパルトイ=サン」群青のニンジャが弁髪ニンジャを睨みつけた。「死に損なったかよ。こりゃ残念だぜ」 12

2013-02-20 16:30:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アーン?」スパルトイは顔をしかめた。「グランドマスターの覚えもめでたい俺様の出世街道に嫉妬か?」「覚えめでたい?誰が?俺の目の前にいるコスプレ野郎じゃない事は確かだな」群青のニンジャはせせら笑った。「テメェー……」スパルトイの眉間に血管が浮き上がる。 13

2013-02-20 16:40:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、砂色のニンジャは彼らに構わず歩き出した。「付き合いきれんな。バカ共は足の引っ張り合いをしてるがいいさ」「死にてェのはテメエからか?クアース=サン!」スパルトイの挑発を背中に受けながら、クアースは歩を早めた。 14

2013-02-20 17:06:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

実際、足ばかりでなく、彼の気は急いていた。(((スパルトイ=サンがグランドマスターレベルのニンジャクエストに同行だと?)))さざ波めいた焦りが彼のニューロンをざわつかせた。(((抜けがけしやがって……俺だって、こんなところでサンシタに甘んじる気は無いぜ))) 15

2013-02-20 17:08:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼には計画があった。先日、傭兵ハッカーを拷問して入手した、思いがけぬレリック情報。あれをただ差し出したのでは子供の遣いだ。マスター・ミラーシェードへ直々に進言し、ニンジャクエストの任を得るべし!それで動かぬなら、ロード……ダークニンジャに直訴してでも! 16

2013-02-20 17:17:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエ……い、いえ……その」クアースは跪いた姿勢から顔をあげる事もできず、床の上でただ震えた。隣には同様に恐縮するドモボーイ。琥珀の玉座に、暗黒のローブを着たニンジャ存在有り。彼の足元には萎びた頭蓋骨。額をカタナで貫かれ、御影岩に釘付けとなっている。 17

2013-02-20 17:38:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「動機など問題にならぬ。言わば大逆ぞ?これは」玉座やや下に控えるグランドマスター・パーガトリーが銀のセンスでわざとらしく己の顔を扇ぎ、二人の若いニンジャを侮蔑的に見下ろす。「報告・連絡・相談・改善!それを怠る!おこがましや!もはやこれはミラーシェード=サンのケジメ案件では?」18

2013-02-20 17:49:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」玉座の肘掛けに肘をつく灰色髪のニンジャが物憂げな目をパーガトリーに向けると、ふんぞりかえっていたグランドマスターは言葉を曖昧に濁し、口元をセンスで隠した。「イサオシが欲しいのか」玉座のニンジャは跪いて処断を待つ二人に問うた。 19

2013-02-20 17:57:20