ギルティ・オブ・ビーイング・ニンジャ #3

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スターン!ヤクザ天狗はフスマを開け、聖戦士の出で立ちのまま、オンセンコテージの共同トイレへと向かう。その足取りは、ある種の悲壮さすら感じさせる。彼の手には真鍮フラスコとスピリタス瓶が握られていた。「アイエエエ狂人!」浴場に向かう途中のシュゲンジャが天狗とすれ違い、恐怖した。 22

2013-03-10 21:50:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」ヤクザ天狗は自らが考案した神秘的モージョーを唱え、聖水を作り出す。自らの小便とスピリタスが、秘密の割合で配合されてゆく。悠長に見えるかもしれない。だが聖水は、ニンジャに対して二度目の魂の死、トゥルーデスを与えるために、絶対に必要だと、彼は信じていた。彼は狂っていた。 23

2013-03-10 21:54:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「裁きの時は来たれり…!」ヤクザ天狗は聖水瓶を懐に収めると、吸血鬼狩り師めいたニンジャハント装備を万端に整え、コテージを出た。もはや彼に迷いは無い。動揺は、狂気じみた信念によって塗り潰された。彼は繋ぎ止められていたラマにうち跨がり、妖しいアトモスフィアに満ちた夜道を駆ける! 24

2013-03-10 22:02:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」斜面を駆け上がっていたニンジャスレイヤーは、黒々と渦巻く重金属汚染雲を抜け、一気に禁断の台地へと回転跳躍着地した。ヴェールを剥がされた月光が、岩がちなススキ野原と江戸時代の廃墟を照らし出す。 26

2013-03-10 22:16:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ピピピピピピ……微かな電子音を、ニンジャスレイヤーは聞き逃さない。(((これは……!)))次の瞬間、彼の赤黒いニンジャ装束に、赤外線ターゲッティング光が照準を合わせる!数十メートル先に、自動防衛兵器セントリーガンが設置されていたのだ! 27

2013-03-10 22:28:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((何故こんな所にセントリーガンが!?)))その疑念に答える前に、ニンジャスレイヤーは六連続側転で銃弾の嵐を回避した!BRATATATA!「イヤーッ!」続けざま、高い跳躍からのスリケン投擲!「ピガガガガガーッ!」セントリーガンの制御部に突き刺さり、断末魔の電子音声が鳴る! 28

2013-03-10 22:28:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オムラ・インダストリか……?」跳躍から着地したニンジャスレイヤーは、この聖域に残されたハイテックの置き土産を知った。オムラ・エンタテイメント社の巨大な武装マグロ・ツェッペリン二機が、浜辺に打ち上げられ水牛に喰われた哀れなマグロめいた残骸となって、台地に放置されていたのだ。 29

2013-03-10 22:38:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「マサシ伝説に目をつけたオムラは、この聖地に高級レジャー施設を築こうとした……我々の贖罪の祈りを妨げたのだ……」暗闇の中から声。簡素なローブを纏ったそのニンジャ修道士は、重い灰色のフードを上げアイサツした「そして貴様も我らの祈りを妨げるか?……ドーモ、ブレイドマスターです」 30

2013-03-10 22:49:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、ニンジャスレイヤーです……」ネオサイタマの死神はジュー・ジツを構えた「……その声には聞き覚えがある、襲撃者よ。オヌシらの贖罪行為に付き合う暇は無い。ドラゴン・ユカノを返してもらおう。直ちにだ」「あのリアルニンジャは貴様のともがらか?」ブレイドマスターが双剣を抜く。 31

2013-03-10 22:56:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……だとしたらどうする」距離はタタミ10枚。殺戮者はカラテ突撃のための間合いを探る。ブレイドマスターは低い声で静かに笑った。「リアルニンジャを匿っていた貴様らの罪業は重く、悔悛の余地は……無い!」ブレイドマスターが仕掛ける!同時に、岩陰から二機のモーターヤブが飛び出した! 32

2013-03-10 23:03:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ここは……」ユカノの漏らす嗚咽が、冷たい洞窟寺院の中で反響した。蝋燭の明かりが揺れる。彼女は両手と首に木板の枷を嵌められていた。「……ンッ……ンンッ…」ドラゴン・ニンジャの力を振り絞っても、枷はビクともしない。そこにはタルタロスの強力なコソク・ジツが篭められているからだ。 34

2013-03-10 23:09:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カツン……カツン……。オーガニック・センコの香りを乗せて、複数の足音が響いている。「神話級ニンジャがお目覚めか」「直視に相応しくない肉体ゆえサラシを巻きました」「我々を誘惑し堕落させようとするからな」「おお、何たる罪業……」「悪魔的……」「原罪……」ニンジャ修道士たちの声。 35

2013-03-10 23:15:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「護衛のニンジャは撒いたか」「無論です」「オムラの置き土産とブレイドマスターが、台地で待ち構えておりますゆえ」「仮にそれを突破されたとしても……この迷宮じみた地下寺院都市の廃墟で、奴は死を迎えることになりましょう!」「……ヨロシイ……。フハハハハ……!」「フハハハハ……!」 36

2013-03-10 23:21:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャ修道士たちが侮蔑の視線とともにユカノを取り囲んだ。「あなた方は何者です」ユカノは睨みつけた。「ドーモ、ドラゴンニンジャ=サン。我々はニンジャ修道会。私はタルタロスです。そして……」「ワッチタワーです」「ケムリ・ニンジャです」「セノバイトです」「スタラグマイトです」 37

2013-03-10 23:28:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、ドラゴン・ユカノです。ニンジャ……修道会……?」ユカノは繰り返した。それは全く未知の概念であったからだ。「左様」頭目のタルタロスが語る「我らはニンジャソウル憑依者となり、人間ではなくなった。我らは邪悪なるニンジャソウルのために罪を犯す。ゆえに、隠れ、潜むのだ……」 38

2013-03-10 23:38:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャ、それ自体が罪業」フードを目深に被ったその大柄な男が言い、カッパドキアめいた陰鬱な岡山県の洞窟に冷たい声が響いた。男が錆び付いた滑車を回すと、足場は下降を始め、地下遺跡へと達する。ユカノは眼を見張った。男は続けた「故に我らは潜まねばならぬ、再び人間に戻る日まで」 39

2013-03-10 23:50:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そこは天然の鍾乳洞をもとに作られた、広大な古代ニンジャ文明の寺院跡であった。壁面にはしばしば、エジプト死者の書めいた奇怪な年代記が刻まれている。ユカノの記憶がざわめく。彼女とニンジャ修道士たちを載せた足場は、軋んだ音と共になおも下降を続けた。底からはドリルの音が響いてくる。 40

2013-03-11 00:01:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「人間に戻る……?」ユカノは問う。「ニンジャである限り、我らは永遠に罪を犯す……捕食動物が獲物を捕えるように……人間を虐げ殺す……この定めからは逃れられんのだ。我らは苦悩し、この聖地でザゼンを組み、禁欲的生活を送り、人間に戻るための方法を探し続けた……」タルタロスは続ける。 41

2013-03-11 00:14:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……そして偶然にも、この遺跡を発見したのだ」ズグーン……重々しい音とともに、足場がニンジャ遺跡の床に到達する。大鍾乳洞には粗雑なバンブー櫓が組まれ、灰色のローブを纏った人間の奴隷たちが、ドリルやツルハシなどで発掘作業を行っていた。その中には捕縛されたオムラ社員もいた。 42

2013-03-11 00:22:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「…あなた方は何を罪業と言っているのです」ユカノが怪訝な顔で問うた。それまで抑圧された奥ゆかしさを保っていたタルタロスが突如、フードを外してニンジャ装束を露わにし、両手を広げて威圧的に吠えた「……見ての通り、この邪悪さだ、リアルニンジャよ!……我々はこれを止められぬのだ!」 43

2013-03-11 00:42:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(親愛なる読者の皆さんへ:お世話になっております、翻訳チームは重大なケジメ・インシデントを発見している。それはツイット番号37にありましたね。担当翻訳者はケムリニンジャとタイプすべき所を、ケムリ・ニンジャとタイプしました。これは看過し難いミスなので、担当翻訳者はケジメして研修だ)

2013-03-11 00:50:29