仮面ライダーW Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー 『チャプター2・Kの襲撃/俺は仮面ライダーアクセル』
「もういい、もう容赦はしない! 最初から最後まで徹底的に振り切ってやる!」 彼は愛機「ディアブロッサ」から専用剣”エンジンブレード”を引き抜くと、重々しい音を響かせ、V字仮面のドーパントに叩き付ける。25 #WR
2013-03-17 00:41:36「わ、ちょっ! 危ねぇな、それが仮面ライダーのすることかよォ!」 ドーパントはそれをダンスのステップと同じ要領で軽快にかわす。かわされた刃が、舗装したてのアスファルトに亀裂を走らせ、陥没させた。26 #WR
2013-03-17 00:43:39「ちょ、ちょっと! 刃物は勘弁してくれよ! 怖いって、マジで怖いって」 軽々と取り回せるものの、元がかなり重いエンジンブレードでは、この軽快なステップのドーパントを捉えることはできない。アクセルはどうしたものかと思案を巡らせ、エンジンブレードを目の前に突き刺した。27 #WR
2013-03-17 00:45:16アクセルは相手の攻撃に対し、肉を切らせて骨を断つ”カウンター”で挑むことに決めた。闇雲に襲い掛かる紫の頬に渾身の一発が突き刺さる。 情け容赦の無いアクセルの徒手空拳はまさに強烈無比。自分の体への負担も、相手の体への配慮も顧みず、無理やりにでも自分の拳を捻じ込んだ。28 #WR
2013-03-17 00:47:09「これで終わりだ……振り切るぜ!」 [アクセル!][マキシマムドライブ!] 怒りを両手に込め、ドライバーの左ハンドルを握って強く捻る。変身の時よりも荒々しい駆動音が鳴り響くと共に、アクセルの体から排気熱が噴出されて行く。29 #WR
2013-03-17 00:49:04体中のエネルギーを右足に集束させたアクセルは、左足の飛び膝蹴りで紫ドーパントを怯ませる。着地と共にその足を軸にして再度飛び上がり、空中で腰を強く捻って飛び回し蹴りを見舞った。30 #WR
2013-03-17 00:50:25ドーパントの胸部にタイヤの跡のようなエネルギーが放出されたかと思うと、心苦しい悲鳴と共にメモリ共々吹き飛ばす。アクセルの必殺キック『アクセルグランツァー』だ。31 #WR
2013-03-17 00:51:12「やめてくださいぃ仮面ライダーさぁんー、姫香、怖いですぅー」 「痛いのも怖いのも一瞬だけだ。我慢しろッ」 [エンジン!][マキシマムドライブ!]32 #WR
2013-03-17 00:52:40怯えるかぼちゃ頭の言葉を無視し、アクセルはメモリをドライバーから引き抜いて、代わりにギジメモリの”エンジン”を差し込むと、バックルを取り外して胸の前に掲げる。 瞬間、彼の体は”人間バイク”とでも言うべき異様に形を変え、大仰な排気音と共に敵を空中に撥《は》ね上げた。33 #WR
2013-03-17 00:55:21――振り切る……ぜッ!! 同時にアクセルはドーパントよりも高い位置まで跳び、敵の腹部に自身のタイヤを押し当て、地表目掛け一直線に突っ込む。叩きつけられた衝撃で、ドーパント内部のガイアメモリは耐久力限界を超えて破損。アルファベットの”A”の文字を残して吹き飛んだ。34 #WR
2013-03-17 00:56:57「まったく……人騒がせな奴らめ。一体どこのどいつだ」 鬱憤と共にメモリをドライバーから引き抜いて変身を解除。目に隈を浮かべて倒れている犯人たちの様子を伺う。35 #WR
2013-03-17 00:58:25「俺……最高にたまんねぇよ……」 「姫香ぁ……もうおヨメに行けないですぅ……」 一人は風都の流行ブランド『WINDSCALE《ウインドスケール》』社のファッションに身を包んだ今時の若者。もう一人は背丈の割に童顔で、”お姫様系”ファッションの女性。見覚えは無かったか?36 #WR
2013-03-17 01:00:03女性の方はすぐに思い出した。風都大学で”明晰夢《めいせきむ》”とやらを研究していた学生だ。自身の周りの男子生徒を、自覚なしに甘い言葉と色香で惑わす危険な女。 そういえば自分にも『運命の人だ』と言ってすり寄って来たっけか。照井は過去を顧みてうっとしそうに頭を掻く。37 #WR
2013-03-17 01:01:53もう一人は――亜樹子と話を合わせるために読んだ何かの情報誌で顔を見た。 確か”常人には到底不可能な超絶ダンス”『ヘヴンズ・トルネード』を、日本で唯一成功させたコンビの方割れ……だった、はず。 『稲森なんとか』か……、多分そんな名前だろう。ダンサーに興味は無い。38 #WR
2013-03-17 01:02:54犯人の身元がある程度割れたこともあり、今度は彼らが持っていたメモリに着目する。 女性が使っていたものは完全に破損しており、欠片を残すのみだったが、男が使っていたものは幸いにもまだ形を留めている。 照井は破損した欠片と男が使っていたメモリを同時に拾い上げた。39 #WR
2013-03-17 01:04:49思った通り記憶にない。形状こそ組織《ミュージアム》製のものと変わりないが、欠片になっているものには”コウモリの羽”と”魔方陣”を掛け合わせた不気味な紋章が躍っている。 形を留めている方も、紫色の丸の中で、斜めにアルファベットの”T”が混ぜ込まれた不可思議なものだ。40 #WR
2013-03-17 01:05:49これが一体何なのかは分からない。だが、分かることが一つだけある。 「組織でも財団でもない、新たな脅威がこの街に……」 照井が新たなる脅威に身を震わせた、まさにその時だった。41 #WR
2013-03-17 01:07:32――照井、悪いことは言わない。この件から手を引け。 彼の眼前に音も無く現れたのは、黒いフェルト帽を目深《まぶか》に被り、ロングコートを身に纏った奇妙な男。見覚えもなければ、かなりしゃがれたその声に聞き覚えもない。 「なっ、何者だ貴様! いつからそこにいたッ」42 #WR
2013-03-17 01:09:23――俺のことを忘れたのか? いや。忘れた……というのは語弊があるな。まぁ、そんなこと、今となってはどうでもいいか。 「何だか知らんが、その口振り……、貴様がこの事件の首謀者か。そうなんだなッ」 ――だったら? 「全てを……振り切る!」43 #WR
2013-03-17 01:11:36再びアクセルドライバーを取り出し、腹部に巻き付ける。しかし、黒いフェルト帽を目深に被り、ロングコートを身に纏った男は、照井を楽しそうに見つめ、笑う。44 #WR
2013-03-17 01:12:41――そうだな、そうだった。お前はそういう奴だったよな。 OK、OK。だったら勝手にするがいい。俺の邪魔をしようと言うなら、お前だろうと容赦しない。 「待て、このまま逃がす……かっ!?」 照井は男を捕えんと手を伸ばすが、その姿は一瞬で虚空へと消えた。45 #WR
2013-03-17 01:15:21「今のは……誰だ?」 あんな男に見覚えはない。しかし不思議と初めて出会った気がしない。彼は一体何者なのか――。46 #WR
2013-03-17 01:16:41と言う訳で、今夜も終了です。次回は来週土曜日夜……と行きたいところですが、夜でなく昼になるかもしれません #WR
2013-03-17 01:20:07