ロバート・ゲラー先生による(東大理学部教授、地震学)リスク評価のありかたについて

リスクを定量的に、客観的に評価することとは…。 まとめました。
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Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

これまでも公の原発再稼働すべきかどうかの議論は「安全かどうか」の二者択一の類のです。しかし、人間がつくるものに、原発を含めて、必ずリスクがあります。したがって、二者択一論を貫けば、原発を含めてどのものでもリスクがゼロでないため、全てのものは「安全ではない」となります。#risk

2013-04-10 05:38:58
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

議論の枠を変えないといけません。「二者択一」(安全、安全ではない)から、「リスクの定量的、客観的の評価」へ切り替えないといけません。リスク評価(不確実の評価を含めて)とその冷静な説明は専門家の仕事です。そのリスクを背負っても良いかどうかの判断は市民と政治の仕事です。#risk

2013-04-10 05:44:54
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

原発稼働に伴うざまざまなリスクがありますが、ここで地球科学的「外部事象」に限りましょう。主に地震と洪水があります。(火山、隕石衝突などもありますが、ここで考察から外しましょう。)私の専門は地震学ですが、原子力工学ではありませんが、自分の専門の観点から論じてみます。#risk

2013-04-10 05:56:49
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

3.11から学んだことは、原発は津波による洪水に弱いです(福島第1原発事故)。一方、原発は地震の揺れに割と強いことも分かってきました(女川原発の被害の少なさ)。従って、原発を再稼働すべきかどうかの優先的考察すべき課題は津波対策の評価であるべきと考えます。#risk

2013-04-10 06:02:19
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

津波のリスクの大切さは太平洋沿岸だけではありません。日本海側にもリスクがあります。例えば93年に奥尻島、83年に日本海中部地震、1026年島根県益田に大津波がありました。日本海側のどの原発でも(その特定の場所に限らず)の津波対策は再稼働の必要条件です。#risk

2013-04-10 06:10:32
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

どの高さの津波を備えても、より大きな津波が有り得るというのは事実です。(少し簡単すぎる議論ですが)例えば想定津波が高くなるとリスクが千分の1、1万分の一、百万分の1、1億分の一・・・に小さくなりますが、コストも大きくなります。どう頑張ってもリスクは丁度ゼロになりません。#risk

2013-04-10 06:16:08
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

リスクとコストのバランスを裁くのは市民と政治の仕事です。でも、福島第1原発事故をみると、その冷静な事前シナリオ検討は必要です。例えば、津波が想定値を超えても、どのように冷却のためのポンプを稼働し続けるか、水素爆発をどのように防げるかなど、を公に議論すべきです。#risk

2013-04-10 06:21:40
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

現状は原発業界の自業自得と言えます。3.11の前に、原発業界はまともなリスクについての議論を防ぐために安全神話を宣伝しました。皮肉ですが、その種を撒いたために、原発は絶対安全と証明できない場合、再稼働できないようになってしまったのは現状です。#risk

2013-04-10 06:28:42
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

そもそも、断層(相対滑り面)は学問的用語ですが、「活断層」と活断層でない断層に断層を2分類に分けることのための客観的基準はありません。「活断層」という表現は使用すべきではありません。日本に(他国にも)無数の断層があり、どの断層は地震の原因となるか、正確に特定できません。#risk

2013-04-10 06:33:24
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

最近原発の近辺に「活断層」があるかどうかの騒動がほぼ毎晩テレビに出ています。パニック状態に近いです。冷静な考察が必要です。その断層が地震で滑ったらどの程度の揺れがあるか、原発はそれを耐えれるかどうかを定量的に見積もるべきです。不確実がありますが、ある程度評価できます。#risk

2013-04-10 06:38:59
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

おそらく、多くの場合、客観的リスク評価の結として、断層の滑りによる地震のリスクは遥かに津波によるリスクを下回る、ということはリスク評価の結論となるでしょう。したがって、断層問題に蓋をすべきではないが、優先的に津波問題を検討すべき、ということになるでしょう。#risk

2013-04-10 06:43:52
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

もっと簡単に言うと、沿岸部のどこでも大津波の頻度は千年一度程度ですが、近い断層がすべり頻度は、例えば20十万年一度と考えましょう。その頻度の比率をみると、津波の頻度は200倍程度多いです。なのに、何故規制委員会は断層問題に重みを置いているか、理解しにくいですね。#risk

2013-04-10 06:47:49
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

原発再稼働に伴うリスクがありますが、原発を再稼働しないリスクもあります。例えば地震が発生した場合、埋め立て地に設置された石油精製所とそのタンクで火事が発生して、埋め立て地にある火力発電所も倒壊しますし・・・。或いは中東に戦争があれば原油調達もできなくなる・・・・。 #risk

2013-04-10 06:52:47
Robert Geller; ロバート・ゲラー @rjgeller

ともかく、リスクを無くすことはできません。地球上に人間が住んでいる以上、リスクと共に暮らす以外の選択はありません。「絶対安全」はないです。リスクを評価することもできますし、時には賢く軽減することはできます。出来るリスク軽減をすべきでが、ゼロリスクは有りえません。#risk

2013-04-10 06:57:45