茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【初対面で名刺交換する習慣の全廃を主張する】連続ツイート

2013.5/7 茂木健一郎氏:連続ツイート第932回 【名刺交換で、黄金時間を逃しているんだよ】 …日本において見られる「あっ、名刺渡さなくちゃ」と、名刺を取り出し、お互いに交換する習慣は、印象形成の最初の黄金時間を逃すことを意味する。その逸失機会は、もう二度と巡ってこない…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート932回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、日本で生きている中で、ふと思ったある発想の種!

2013-05-07 07:00:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

めお(1)ぼくは名刺というものがどうも苦手である。渡すのも受け取るのも苦手である。講演会の時でも、取材の時でも、相手が「初めまして」と言って、がさごそと探り始めると、あううと思う。それで、名刺を渡してくださって、「あの、すみません、ぼくは持っていないので」と言う時間が苦しい。

2013-05-07 07:02:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

めお(2)正確に言うと、名刺をつくって、お渡ししていた時期もあったのだけれども、「品切れ」になって、そのあと、もう2年くらいかな、一切持たなくなってしまった。それで、その度に、自分は社会人として失格じゃないか、みたいな自責の念にかられるのである。かられても、名刺を持つ気がない。

2013-05-07 07:03:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

めお(3)もらった名刺をどうするか、というのも苦手で、ある一定の半減期をもって、どこかに消滅していくことになる。なんとはなしに、つながる方とは自然につながると思っているところがあって、いただいた名刺を整理したり、それで名簿をつくったりといったことは一切しないのである。

2013-05-07 07:04:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

めお(4)これは、決して日本の習慣を批判しようとして書くのではないが、言うまでもなく、初対面の時にまずは名刺を渡す、というのは世界的な習慣ではない。グーグルの本社(マウンテンビュー)で会議をやった時、名刺交換などは一切なかった。ただ、ハイ、アイムケンと言って、しゃべり始めた。

2013-05-07 07:05:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

めお(5)それで、いろいろしゃべったあとで、最後の最後になって、「お前面白いから連絡とりたい!」というような時に名刺を渡す(こともある)。だいたい、アメリカでもどこでもそんなやり方だと思うが、日本の、初対面の人がいきなりごそごそ名刺を取り出す流儀は、かなり特異点だと思う。

2013-05-07 07:06:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

めお(6)まずは名刺を渡して、どこの所属でどんな肩書きかわからないと安心できない、みたいな心理は、私が『新しい日本の愛し方』(新潮新書)で批判した「偶有性忌避症候群」だとも言える。それ以外にも、名刺から入るのは実にもったいない遺憾な習慣であることに、実は最近になって気づいた。

2013-05-07 07:08:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

めお(7)神経細胞は、新しい刺激を受けたときに一番活動する。oddball effectと言って、初見のものに触れると、その時間が長く感じられるほどである。誰かに初めて会う時も、同じことで、何しろ生まれて初めて顔を合わせるのだから、その時形成される印象は、強烈だ。

2013-05-07 07:10:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

めお(8)本当に生まれて初めてこんにちは。その最初の数秒間、数分間は、印象形成や記憶形成における黄金時間。五感をフル動員して、直感にゆだね、生きものとして裸で接するのが正しい。美しい友情が始まるかもしれないし、ひょっとしたら一目惚れだって、あるかもしれない。

2013-05-07 07:11:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

めお(9)日本において見られる「あっ、名刺渡さなくちゃ」と、名刺を取り出し、お互いに交換する習慣は、印象形成の最初の黄金時間を逃すことを意味する。その逸失機会は、もう二度と巡ってこない。私は、初対面で名刺交換する習慣の全廃を主張する。もっと相手を生きものとして、裸で見ようよ。

2013-05-07 07:13:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート932回「名刺交換で、黄金時間を逃しているんだよ」でした。

2013-05-07 07:14:02