オレの妹がカリフなわけがない！ #1-2

カリフラノベ『オレカリ（略称）』 @caliphnovel

【私立カリフ学園　ー　エピソード０】 「オレの妹がカリフなわけがない！」 ＃１ 世界制覇を公約に掲げて生徒会長に当選した俺の妹が「生徒会長」を「カリフ」に改称した。 オレの妹がカリフなわけがない！ 男性であることは、カリフ有資格者の１０条件の一つだ！！

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「オレの妹がカリフなわけがない！」　＃２

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私は私立君府学院生徒会長聖馬愛紗。今日から「地上における神の影・神の使徒の後継者」カリフとして、世界を闇の力の支配から解放する。私の行く手を阻む者は血を分けた兄であろうとも排除する。聖預言者も仰せになられている。「盗みを犯した者は、たとえそれが我が愛娘であろうとも処断する」　１

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君府学院には、私のカリフ就任を阻止し、世界制覇の道の邪魔立てをしようとする不逞の輩はもはやいない…　ただひとり、末法の世に世界を闇の支配から救う使命を帯びて黄金の島ワクワークに千年の時を隠れ住んできた天馬家の血を引きながら悪魔の眷属に成り下がった我が兄天馬垂葉を除いては！　２

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預言者の従者サウバーンが伝えて曰わく。「東方に黒き旗が掲げられし時は、雪に埋もれた山道を這ってでも赴くべし。汝そこに義しきカリフを見いださん。」（イブン・マージャ『預言者正伝集成』より）　３

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「愛紗様。風紀委員の腕章、カリフ親衛隊に書き換え終わりました。次なるご命令を。」真新しい腕章をつけた剣道部元主将新免衣織が生徒会室に入ってくる。高校一年で全日本大会を征した衣織は二天一流の達人だ。　４

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「軟弱な生徒会長の名をカリフに改めた今、愛紗様が会長選挙で公約された世界制覇はもはや半ば達成されたも同じ。どうかこの親衛隊長の衣織にだけ、世界制覇の秘策を教えて下さい。」 愛紗の幼なじみの衣織は腕は立つが頭は少し残念である。　５

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幼い頃からクラスでトップの成績で常に沈着冷静、いかなる感情も顔に出さない愛紗だけは、衣織がどんな残念な行動をとろうとも笑うことはなかった。衣織は愛紗に絶対の信頼を寄せていた。愛紗の言葉は衣織にとって神の言葉に等しかった。　６

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「カリフとなった以上、忠誠の誓い、バイア、を新たにしましょう。私は地上における神の影、神の使徒の後継者カリフとして、人類と大地を偶像神の支配から解放するために身命を賭しましょう」 「サムウ・ワ・ターア、聴き従います。この命はもとより愛紗様のもの」 「神の御手は我らの上に」　７

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衣織が澄み切った目をキラキラさせて尋ねる。「愛紗様、私に何をお命じに？カリフ就任のお祝いに、愛紗様をいまだにカリフと認めない兄上、垂葉様の首を刎ねて持って参りましょうか？」「焦ることはありません。主も『猶予せよ。我もまた猶予する者なり』と仰せです」　８

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「第一、あのギャーギャー喚くだけで理性に基づいて論理を組み立てることができない、人類に生まれたことを冒涜する男の異議申し立てなど、私の真理の言葉の前には、太陽の光に照らされた淡雪、塩をかけられたナメクジのように、たちまち溶けて消え失せるでしょう」　９

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「あぁ、なんと深海水のような深くて清らかな慈愛と底知れぬ深い悪意に満ちたお言葉でしょう。それでこそ私の愛紗様です♥ 愚かなことを申しました。差し出がましい発言をお赦し下さい。 して、私は何を？」　１０

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「校則第３章７条項で、指定された場所、【ゴミ箱】と呼ぶ、以外に捨てることが禁じられているあのゴミです」「…廊下のゴミ拾いで世界制覇ができるのでしょうか？」「聖預言者は仰せです。『信仰には七十数本の枝がある。そのうちで最も低い枝は道のゴミを拾うことである』」　１２

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「私がカリフとして立つこの時代は、闇の力が世界を支配する末法の世です。この末世にあっては信仰の最も下の土台から建て直す必要があるのです。サダカ・ラスールッラー、聖預言者は真実を語られました。全ての道はメッカに通じるのです。」　１３

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「この君府学院の廊下からゴミが一掃されピカピカに磨き上げられたなら、君府学院は真理のミナレット、光塔となり、その光は日本からアジアへ、そして世界へと広がり、大地のすべての道を照らすでしょう。」 「行きなさい、衣織。アラーバラカティッラー、神の祝福の下に」　１４

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「ははっ、御意！サムウ・ワ・ターア。失礼いたします」衣織は恭しく生徒会室を退場する。独り生徒会室に残った愛紗は繰半月の兜を静かに机に置く。亜麻色の長髪がその肩にこぼれおちる。　１５（#２終　#３に続く）

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正確には「ゴミ」というより「邪魔なもの」。因みに最上の枝は　「アッラーの他に神なし」の言葉。→　@forestnamal: マジでこんなﾊﾃﾞｨｰｽあるんですか？！「聖預言者は仰せです。『信仰には七十数本の枝がある。そのうちで最も低い枝は道のゴミを拾うことである』」"

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#2 1で生徒会長「天馬愛紗」の名前が「聖馬愛紗」になっていました。謹んでお詫び申し上げます　m(_ _)m　原作者は勿論、ケジメいたしました。