オレの妹がカリフなわけがない！#10-12　とフォロワー100人達成のコメント

カリフラノベ『オレカリ（略称）』 @caliphnovel

「オレの妹がカリフなわけがない！」 #１０

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「父さん…」 「何をしに来た？まだ営業時間中だ」 「誰もこんな時間にパンなんか買いに来ないよ、ていうか、もう誰も買わないジャムパンしか残ってないじゃないか。もうそれ仕入れるのよしなよ。って、そんなこと言いいにここに来たんじゃない！」 １

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君府学院の経営を破綻させた父さんは理事長職を追われたが、 学院を乗っ取り新しく理事長になった石造高遠は、温情溢れる措置と称して、破産して無一文になった父を住み込みの用務員兼学食のパン売りとして雇い入れた。２

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温情でなんかあるものか。落ちぶれた父を笑い物にし、自分の経営方針に逆らう者がどうなるかを見せつけるために、理事長は父を用務員として学院内に残したのだ。 悔しいけど、父にはそれが実に似合っていた。いや、父にとっては理事長も用務員も学食のパン売りも同じことだったんだ。３

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世が乱れた末世に東方からカリフ制を復興するという天馬家千年の悲願を自らの手で葬り去った父にとっては、どんな地位も身分も職業も泡沫の夢にしか見えなかったのだろう。父は淡々と、いやむしろ、重い荷物を背から下ろしたかのように楽しげに用務員とパン売りの仕事に精を出していた。４

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だからあの日以来父はカリフのことについて語ろうとはしなかったし、オレも何も尋ねなかった。だって、普通思うじゃないかおじさんが亡くなって、天馬家に伝わったカリフの昔話はもう終わったものだって。誰が思う？まさか自分の妹がカリフになるなんて！５

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「いや、おまえが頭が悪いことは家族だけでなく、学校中の皆に知れわたっている…」 「オレってそんなことで有名人だったの？！　っていうか、なんでそんなこと用務員の父さんが知ってるんだよ！」 「千年にわたって忍びの草として生きてきた我ら天馬の者の情報収集能力を侮ってはならぬ」６

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「誰が忍者だよ！ 天満家の歴史なんて真人お祖父さんの妄想って言ったのはあんたでしょうが。忍者の情報収集能力？経営失敗してあっさり学院乗っ取られておまけに家屋敷まで無くしたのはどこの誰だよ。 いや、そんなことはいいから、どうして父さんがカリフの伝承者にならなかったかを教えてよ」７

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「そんなに聞きたいか？」 「だって、知ってなきゃあいつを止められないだろう。そうじゃなきゃ、こんな話聞かずに済ませたかったよ」 「そうか…　そこまで言うなら話して聞かせよう」 「うん、それで？」８

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「ただし、それはこの残ったジャムパン３つを全部買い上げてくれれば、の話だ」 「………」９ （#１１終わり　#１２に続く）

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【祝：フォロワー百人達成！】　目標フォロワー十万人！　千里の道も一歩から♪

chloe @s_chloe

アカウント開設から十日で百人。勿論今後のフォロワー数の推移が一次関数のレヴェルに留まるとは思っておりませんが、このペースでいっても、わずか二十七年半足らずで目標達成です。 RT @caliphnovel: 【祝：フォロワー百人達成！】　目標フォロワー十万人！　千里の道も一歩から♪

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「オレの妹がカリフなわけがない！」 #１２

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「ジャムパン３つで３３０円です」 「…」 「買い食いは感心しないぞ」 「って、あんたが買わせたんだろうが！」 「公私は区別しないとな」 「オレ、そういう難しいツッコミできないから…　いや、そうじゃなくてカリフの話だよ。どうして父さんは天満家の継承者にならなかったんです？」１

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「ムハンマドは、法の支配の理念を人々に教え、人類の平等を説き、女性に法的権利を保証した偉大な社会革命家だった。しかしそれは１４００年前のアラビア半島の遊牧民にとっての話だ。現代の科学が進歩した世界に、ムハンマドの後継者カリフは要らない」２

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「７世紀のアラビアでは革命的だったイスラームの教えも今では時代遅れだ。時代錯誤のカリフ制はカマル・アタチュルクによって潰された。それが時代の流れだ。歴史に後戻りはないんだよ」 「愛紗は、カリフ制はトルコが作ったのではないのでトルコによって廃止されることもないと言っていました…」３

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「カリフは神が決めたと言いたいんだろう。神が王を任命するという中世の考え方だ。王権神授説というんだ」 「じゃあ、あいつは神様から選ばれた女王様？！」 「そういうことになるかな」 「確かにあいつは女王様キャラだけど…いや、誰も眼中にないのは女王様キャラとは違う！」４

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「卑弥呼のようなものかな」 「ヒミコ？」 「日本史で習っただろう。祭政一致だった古代の日本の女王のことだ。神憑りになって神のお告げによって人々を支配したんだ。」 「あいつも神憑り？」 「預言者というのは神憑りだからな。カリフは後継者の意味だから、神憑りの後継者の女王だな」５

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「変だろう、生徒会長が神憑りの女王って」 「うむ、日本の高校にはあまりいない」 「いるのか？外国の高校の生徒会には、神憑りの女王？」 「私はこの日が来るのを恐れて、理事長の座を追われてからも、用務員、購買部のパンの売り子に身をやつして校内に住み込み愛紗を見守っていたのだ」６

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「いや、破産して着の身着のままで家を追い出されたあんたが、お情けで用務員室に住ませてもらっただけだったろう。って、いうか、何を監視してたんだよ！あいつがカリフ宣言するまで気がつかないなんて」 「うむ、流石のこの天馬夢眠をもってしても予想できなかった。愛紗が自らカリフになるとは」７

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「そういうキャラじゃないと…」 「いや、キャラ的には愛紗は最適任かもしれない」 「最適任って、神憑り女王様にですか？！あいつが」 「ともあれ、愛紗がカリフになるはずはなかったんだ」 「どうして…」 「それは愛紗が女性だからだ」８ (#１２終わり　#１３に続く）