ヴィルヘルム・ライヒという偉大な狂人について８時間徹夜でツイート

稲葉渉 @inabawataru

写真展のための作業をしてたんだけど、横目にTwitter見てたら、普段あんまりツイートしてるところをリアルタイムで見ないアカウントの人が面白い写真を上げてた。リンクの写真なんだけど、これには心当たりがあると思って＠を飛ばした。 http://t.co/narelvOATb

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稲葉渉 @inabawataru

「雲を吸い取っちゃえ」ってキャプション付きのこの写真、前衛楽器か何かかと思うところだけど、これ、レコードジャケットの写真なの。　http://t.co/hBmc3XFIH5　ほうレコード。前衛楽器じゃーん！と思うかもしれないが、これ、なんて説明すりゃいいのか悩むところ。

稲葉渉 @inabawataru

これは「ケイト・ブッシュ」というイギリスのミュージシャンが８５年に発表した「クラウドバスティング」というシングル曲のジャケット。PVもあるからまずは見てもらったほうが早い。　http://t.co/ckDnrG5HT2　７分もあるので、そりゃ見る人は少ないだろうけど。

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稲葉渉 @inabawataru

「知ってるわ」と言われても信条なので「知らない人に説明してるつもりで」説明すると、「恋のから騒ぎ」のオープニングテーマの「♫　Out on the wiley, windy moors We'd roll and fall in green」ってのがデビュー曲の人。

稲葉渉 @inabawataru

貼るよ貼りますよ！http://t.co/JTk5mpMaMG　ちなみに原題は「Wuthering Heights」邦題が「嵐が丘」で、エミリー・ブロンテの小説…と説明するより、「北島マヤが少女時代の主人公をやり、あまりに巧すぎて舞台あらしと恐れられた」ことで有名なアレがテーマ。

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稲葉渉 @inabawataru

ちなみに言っとくけど「知らない人に説明してるつもり」で書くのが信条だけど、「北島マヤって誰よ」みたいな、チンポクリンのガラスの仮面も知らないような処女腐女子は、風呂でも入ってバイトしてamazonで全巻ポチって読んでから受験勉強でもしてろ！というダブルスタンダードを平気でやるよ！

稲葉渉 @inabawataru

で、そのケイト・ブッシュの「アートロック」ってまたぞろ意味のわからんジャンルに分けられた「クラウドバスティング」って曲のジャケットのアレは何かと言うとやね、また説明せんとアカン。これ昼までかかるぞやべえ。その名の通り「クラウドバスター」というモノなのです。つか、なにそれ。

稲葉渉 @inabawataru

オルゴンバスターっていうのは、もちろん「オルゴン」を「バスター」するものだ。また訳わからん単語が！「オルゴン」て何？これ、オカルト用語なのや。そう、オルゴンバスターはオカルトなのね。なーんだそしたらどんなモノでもオカルトで説明つくから楽やわあ。

稲葉渉 @inabawataru

「オルゴン」ってのはかのフロイトの直系の弟子で、しかも後継者と見なされていた男が発見した「物理」エネルギー。「ちょっと待てフロイトは精神分析理論を打ち立てた精神科医だろ」ってその通り。この人ぶっちゃけて言うとマッドサイエンティストの類の人で、それが元でフロイトに叩きだされた。

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叩きだされた男の名前は、「ヴィルヘルム・ライヒ」この人はとかく「オルゴン研究のオカルティスト面」ばかり注目されるが、ドイツ共産党に居ながら「ちんこで共産主義を語る」という「性政治学」を主催、あまりにもロックな思想で叩きだされた経歴が。 http://t.co/MLnhqVNsPy

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稲葉渉 @inabawataru

しかも「非マルクス的ゴミ」と批判されるという名誉。マルクスなんか遺産を食い潰した上に援助で生活した、一回も働いたことのない現代の資本主義を体現したようなクズで、中学の生徒会長をリコールされた菅直人のバカ息子的人間性から出た言葉を信用するバカどもから追い出された点はポイント高い。

稲葉渉 @inabawataru

1933年には、ナチがブイブイ言わせていたベルリンにおいて、「ファシズムは突き詰めると性衝動を抑圧したことによるノイローゼ野郎」と「言ってはいけない本当の事」を書いた「ファシズムの大衆心理」を発刊し、後に当然焚書となるが、それが元でナチに睨まれてノルウェーに亡命する。ロックや。

稲葉渉 @inabawataru

そして今度は亡命先で務めたオスロ大学で、話が戻った！「オルゴン」を発見する。説明を後に回して、ここで決定的にマッドサイエンティストの烙印を押される事になる。オスロに居られなくなったライヒは、第二次世界大戦中である３９年、アメリカに亡命する。

稲葉渉 @inabawataru

ちなみに34年というとっくの昔に国際精神分析学会をフロイトとの確執で叩きだされたが、フロイトはライヒ脱出の１年前の３８年、絶対の敵であるユングにまで請われた末に亡命し、戦争勃発直後に死亡した。ライヒの亡命は３９年８月。フロイトの死は９月２１日だ。

稲葉渉 @inabawataru

フロイトの死の知らせは、ライヒにとって重要だったと思う。ライヒには一生つきまとうトラウマがあった。１３歳の時、ライヒはなんと「自分のおかんが自分の家庭教とパコってる所」を見てしまう。父親とのセックスでもトラウマになるのにモロの浮気現場。当然童貞だったはずのライヒはパニックになる。

稲葉渉 @inabawataru

ライヒは自分の少年時代を語らない人で詳しく解らないのだが、「そのこと」を父に告げた。父は狂ってしまい、母親を自殺に追い込んだ上、自分も「真冬の凍った池に立ち続け」肺炎にかかって自殺した。「性エネルギーが全部の根源や」の当時のフロイト学説は、「おかんの浮気トラウマ」に刺さった。

稲葉渉 @inabawataru

そして厳格で権威主義的だったユダヤ人の父を「父親によるおかんの事実上の殺害、父自信の自殺トラウマ」を文字通り解体する鍵が「性」だったのだろう。ちなみに「子供全員ナチに洗脳」というヒトラーユーゲント運動のカウンター「性＝政治運動」を指揮したのはライヒで、なんと４万人も会員を集めた。

稲葉渉 @inabawataru

「セクス＝ポール運動」とも呼ばれるそれは、ライヒの今の価値観から見ても急進的過ぎる性理論による運動だ。「人間は性的快楽を求める存在であり、性の完全解放を行えば、精神的な病気や犯罪など一切無くなるユートピアが来る！」つまり「みんなでセックスすればユートピア建設！」運動なのだ。

稲葉渉 @inabawataru

性を抑圧しまくったキリスト教が精神を支配する２０世紀初頭のヨーロッパ社会で、究極の理想を「みんなでセックスすれば平和！」という思想で運動をやり、それなりに人を集めたのだ。どっかで聞いたことがあるだろう。実際、ライヒ思想はセックス教団ラエルやフリーセックス思想に絶大な影響を与える。

稲葉渉 @inabawataru

そしてこの性の解放運動は、マルクス主義やナチズムに当然敵視され、ライヒごと握りつぶされるが、この運動がなければ「未成年の避妊教育」「堕胎を権利として認める」という、キリスト教的価値観では行えなかった現在の流れを生み出す。ライヒは運動家としても歴史に名前を残すべき人物なのだ。

稲葉渉 @inabawataru

実際、現在でも続く心理療法の領域における、部分的ではあるが、核心部分への発見や貢献も多大にある天才でもあった。つか、「神経症は個人に原因がある」としか考えられていなかった所に、「社会的文脈」の導入を提唱したのもライヒ。ボディーワーク系の創始者もライヒと言ってもいい。

稲葉渉 @inabawataru

でもバッチリ狂人でもある。さて39年、ライヒが発見した「オルゴン」に対するライヒの説明は「物理的な性エネルギー体で、自然界に偏在するのや！」というものだった。簡単にいえば「人間の行動原理は全部性欲→性欲はオルゴンという物質的エネルギーによって左右される→オルゴンを利用しよう！」

稲葉渉 @inabawataru

そもそもライヒとライヒ信者の頭のなかにしか存在しないオルゴンなのでイメージが沸かないと思うが、なんか光る微粒子らしいので、ふよふよそういうのがあると思ってほしい。大戦後のアメリカは好景気過ぎて、こういう研究にも支援者が付いた。そもそも反ナチ運動をしたユダヤ人だし金は回ってくる。

稲葉渉 @inabawataru

狂人の常として「自分にしか見えない脳内エネルギーの発見」と「その利用」はセットになってる。なんと「放射能の中和」が出来ると考えて実験を行い、急性放射線症で実験動物を殺すわ研究室汚染させるわという、心理学者が物理学に手を出すという時点から始まっている大失敗を犯す。

稲葉渉 @inabawataru

つか「手かざしで放射線が下がった！」と謳う宗教団体が未だに存在する日本がライヒを笑えないわけだが、そこで「反オルゴン・オラナー」という反物質みたいなものを発見、しまいには「真っ黒な雲が１ヶ月も出た！」と言い出し、遂に進化刑である「デッドリーオルゴンだ！」と中二病が炸裂するのだ。