内田樹さん「自民党の政治家が「親米」で「ナショナリスト」なのはなぜか」

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内田樹 @levinassien

中国の雑誌『三聯生活周刊』の取材。北京からお二人記者が見えて、神戸大学の湯さんという学生さんが通訳してくれました。ナショナリズム、領土問題、対米従属、グローバル化、政治過程の劣化などについてお話ししました。中国の人も日本がこれからどうなるか心配しているみたいです。ですよね。

2013-06-10 22:10:45
内田樹 @levinassien

昨日の中国の雑誌の取材では、日本のナショナリズムと政治の不安定について、何度も質問されました。取材しに来たのは若い女性記者たちだったので、1972年の日中共同声明の後の日本社会の「親中国ブーム」の話をしたら、きょとんとしていました。そんな時代があったこと知らないみたいです。

2013-06-11 08:51:36
内田樹 @levinassien

1970年代の反米気運の高まりと過剰なまでの親中国気分を2010年代の今と比べると、ナショナリズムというのが社会に横溢するある種の「気分」であることがよくわかります。同じ人間があるときは親中国気分に、あるときは反中国気分になる。中国人の知り合いもいないのに。

2013-06-11 08:54:08
内田樹 @levinassien

彼らが一番理解しにくかったのは靖国神社に参拝して東京裁判史観を否定する自民党の政治家たちが主観的には親米派であることです。「どうしてそんなことが可能なんですか?」この「ねじれ」の説明には苦労しました。小泉純一郎の場合がわかりやすい例でしたので、それで説明しました。

2013-06-11 08:56:53
内田樹 @levinassien

小泉は戦後最も親米的な首相でした。彼はブッシュ大統領のあらゆる政策を(アメリカを滅亡に導きかねない愚策も含めて)世界のどの同盟国よりも早く支持しました。規制緩和ではアメリカの企業に日本市場を供物として差し出しました。

2013-06-11 08:59:10
内田樹 @levinassien

その結果、アメリカは小泉首相が靖国に参拝して思い切り「アメリカの足」を踏んでも、それにつよく抗議することを自制しました。これほど友好的な政治的同盟者を失うわけにはゆかなかったからです。自民党の政治家たちはこの先例から学習したのです。

2013-06-11 09:00:58
内田樹 @levinassien

つまり、思い切り親米的にふるまってみせれば、その後は大東亜戦争肯定論を語っても、靖国に参拝しても、領土問題や歴史認識問題で中国韓国とトラブルを起こしてアメリカの仕事を増やしても、アメリカは「黙認する」ということを学んだのです。

2013-06-11 09:02:35
内田樹 @levinassien

ですから、日本の右派政治家たちは、まず思い切り親米的なポーズを示しておいて、アメリカから「有用な政治家」という認定を受けた後に、その許容範囲内でナショナリスティックな言動を国内的に展開するというやり方をデフォルトに採用したのです。

2013-06-11 09:05:23
内田樹 @levinassien

そこから「親米派ナショナリスト」、「グローバル・ナショナリスト」という、他国には見ることの出来ない奇怪な人種が発生したのです。この類型は日本がアメリカの従属国でありながら、その事実を抑圧していることの効果として理解する他ないのですが、中国の人にはすごくわかりにくかったみたいです。

2013-06-11 09:07:14