「ほんやにされたとしょかん」

フィクションです。
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リッツ・ラベンダー @ritzlavender

ほんをよむいすがあったところは、ばしょがかわって、いすのかずはふえましたが、はんぶんはコーヒーやさんのためのいすになってしまいました。 そして、としょかんのいりぐちをはいったすぐのところは、としょかんではなく、うりもののほんをうる、ほんやさんになってしまいました。

2013-06-24 23:39:43
リッツ・ラベンダー @ritzlavender

ほんやさんのたなは、ひくく、ゆったりとならべてあり、とてもみやすくなっていました。しちょうさんがかいたほんも、うりもののたなにたくさんならべてありました。 しちょうさんがおきにいりのひとたちがつくった、たべものやざっかのようなものも、ほんといっしょにならべてうってあります。

2013-06-24 23:40:01
リッツ・ラベンダー @ritzlavender

としょかんにあるほんをかりてかえろう、とおもったのに、「これはうりものです。おかねをはらわないといけませんよ」といわれ、びっくりするひともいました。

2013-06-24 23:40:16
リッツ・ラベンダー @ritzlavender

いすにすわってほんをよもうとすると、「ここはコーヒーやさんのいすです。ほんをよみたかったら、あっちのはしっこのいすをつかってください」といわれるひともいました。

2013-06-24 23:40:20
リッツ・ラベンダー @ritzlavender

あしをけがしているひとがやってきたときは、ほんだながあまりにもたかく、ほんをさがすことができずにあきらめてかえってしまいました。 みんな、めのまえのたかい、たかいほんだなをめのまえにして、「いま、じしんがきたら、かじがおきたら、いきてかえれるだろうか」とびくびくしていました。

2013-06-24 23:40:43
リッツ・ラベンダー @ritzlavender

しちょうさんはじまんげにいいました。「どうだい、りっぱなとしょかんになっただろう。これできみたちも、ぐうのねもでないだろう」 まちのひとたちは、それをきいて、こころのそこからがっかりしました。ここはもう、としょかんとはいえないところになってしまった、とおもいました。

2013-06-24 23:41:02
リッツ・ラベンダー @ritzlavender

もっとみんなのはなしをきいて、みんなでかんがえをだしあってつくれば、おかねをかけずにもっといいとしょかんにできたはずなのに。 まちのとしょかんにくるのにはとおすぎて、ちかくにちいさなとしょかんをつくってほしいとおもっているひともおおぜいいたのに。

2013-06-24 23:41:12
リッツ・ラベンダー @ritzlavender

よそのまちでは、おおきなくるまに、たくさんのほんをのせてまわる「いどうとしょかん」というものがあって、よろこばれているところもあります。 いろいろなやりかたがあったはずなのに、みんなのかんがえをつたえたかったのに、なにひとつ、うけいれてもらうことはできませんでした。

2013-06-24 23:41:21
リッツ・ラベンダー @ritzlavender

ざんねんなところはたくさんありましたが、それでも、もとのようにつくりなおすには、とてもたくさんのおかねがかかります。 まちのひとたちは、がまんして、このふべんなとしょかんをつかうしかありませんでした。

2013-06-24 23:41:33
リッツ・ラベンダー @ritzlavender

こうして、このまちにあった、すばらしいとしょかんは、ただのほんやさんにされてしまったのです。。。 どんとはらい。

2013-06-24 23:41:45