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西野つかさのよくわかる短歌講座 第7回

西野つかさ(@calpis_takuya)による短歌講座の第7回です。 今回は「連作」について。 第6回:http://togetter.com/li/566047 第5回:http://togetter.com/li/558833 続きを読む
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@__awa__t

一ヶ月以上あいちゃった! 今日は「連作」についてだよ。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:23:11
@__awa__t

短歌はだいたい31音ぐらいのかたまりを1首とするんだけど、総合誌、あるいは結社誌の新人賞では、30首や50首の「連作」の単位で作品を評価するんだ。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:25:22
@__awa__t

短歌連作の始まりは正岡子規、伊藤左千夫あたりだから、近代短歌のころにはそういう概念があったってことだね。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:36:33
@__awa__t

連作をつくる一番のメリットは、それぞれの歌を並べることで文脈ができること、だよ! 次の歌を見てみよう。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:38:49
@__awa__t

雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁/斉藤斎藤 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:39:50
@__awa__t

この歌の力点はもちろん「なんでしょう」以下だよ! 視点のフォーカスが合ってゆくのと同時に、ぼんやりしていた意識のフォーカスも合っていく感じ。ぶちまけられているのが「のり弁」という超現実的なもので、さらに現実に意識が引き寄せられる感じがするね。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:44:21
@__awa__t

さて、ここからがポイントだよ。この歌は「ちから、ちから」という歌葉新人賞を受賞した連作の中の最後の方の歌なんだ。連作の中の他の歌も見てみようね。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:48:04
@__awa__t

とりとめのないきれいごと聞きながら君のかけがえのなさを想った/斉藤斎藤 あなたあれ。あなたをつつむ光あれ。万有引力あれ、わたしあれ。/同 急ブレーキ音は夜空にのみこまれ世界は無意味のおまけが愛/同 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:51:33
@__awa__t

連作の初めの方では、挙げた一首目や二首目のような君との関係を歌った恋愛の歌がほとんどなんだ。ところがこの「急ブレーキ」の歌から連作の雰囲気が変わっていくよ。続きをみていこう。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:55:02
@__awa__t

医師はひとり冷静だったぼくを見た もうそろそろ、とぼくが殺した/斉藤斎藤 ひざまずくのをこらえてこらえ雲ですね、雲ですよねとつぶやいてこらえ/斉藤斎藤 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-01 23:57:50
@__awa__t

まとめて読んでいくと君が交通事故に巻き込まれて亡くなった、という想像はなんとなくついたんじゃないかな? そして、「二年後」の詞書(歌の前に添える補足のようなもの)のある歌から後には、その事故の後の私を歌った歌が並ぶんだ。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-02 00:02:31
@__awa__t

ひょっとしてパスタは嫌いだったんじゃ自動改札に引っかかる/斉藤斎藤 →二年たって、普通に暮らしていても何気なく君のことを思い出して、自動改札とかにひっかかっちゃうんだね。「だったんじゃ」の過去形が、もうそれを確認できなくてせつないね。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-02 00:07:41
@__awa__t

そして、連作の終盤にこの歌が出てくるよ。 雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁/斉藤斎藤 「交通事故で恋人を亡くした」という文脈があると、この歌の「なんでしょう」は途端に破壊力が跳ね上がるんじゃないかな? #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-02 00:13:16
@__awa__t

恋人の交通事故の現場を再び通りかかった、あるいはそうでなくとも、何か得体の知れないぐちゃっとしたものが道に見えて、事故のときの感触・感覚がせり上がって来ている。恐怖とも、トラウマとも、困惑とも言える複雑な感情が「なんでしょう」に表れてるね。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-02 00:17:22
@__awa__t

そして、連作の最後はこの歌で締めくくられるよ。 あいしてる閑話休題あいしてる閑話休題やきばのけむり/斉藤斎藤 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-02 00:20:31
@__awa__t

閑話休題は、脇道にそれた話を本筋に戻す、ってことだよね。 一度閑話休題しようとしたんだけど、また「あいしてる」に戻ってしまう。諦めきれない思いがあるような気がする。そして閑話休題のあとは、人の死を連想させる「やきばのけむり」へと視点が移る。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-02 00:25:35
@__awa__t

ここで大事なのは「は?恋人2年前に死んでるのになんで今やきばのけむり!?」などというツッコミを早急にいれないこと! むしろ、2年後にふいに見た恋人とは関係のない「やきばのけむり」を通じて、亡くした恋人のことを強く思う歌なんじゃないかなっ。 #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-02 00:29:21
@__awa__t

それじゃあ今日はここまでっ!「連作では、一首の背景に文脈を加えることができる」ってことをしっかり覚えておいてね!それではまた次回をお楽しみにっ☆ #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-02 00:31:50
@__awa__t

あ、あと言うのを忘れていたけど、斉藤斎藤さんの「ちから、ちから」は歌集『渡辺のわたし』で読めるので気になった方は要Check!! 現在、大阪の紀伊國屋グランフロント大阪店で行われている短歌フェアで、店頭で買うことができるよ! #西野つかさのよくわかる短歌講座

2013-11-02 00:34:53