泥 憲和さんの、「在日一世は全員(もしくはほとんど)密入国者だ」というデマの検証

@ndoro4さんが、密航者というデマに対し政府が認めた「移民」であるということを、当時の背景や法令制定過程・内容まで交えて簡略に解説してくれたツイートをまとめました。 またその推定数まで言及し、戦後の移民は決して多数ではないことも検証されております。
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あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

「在日一世は全員(もしくはほとんど)密入国者だ」。こういうデマがいまだにはびこっていることについて、私は批判した。その後、これについて議論があったのでまとめておく。

2013-11-19 13:11:11
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

まず私の所論。GHQが円滑な占領政策を実施するには、占領地をなるべく平穏に管理しなければならない。そのためには、管理外での人口移動を制限する必要がある。その意味で、海峡を行き来する朝鮮人はGHQにとって厄介な問題で、取締に手を焼いていた @ndoro4

2013-11-19 13:11:31
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

たとえばこの資料。『昭和21年度密航朝鮮人取締に要する経費追加予算要求書』「最近朝鮮人にして密航し北九州及中国西部に上陸する者漸次増加・・・聯合軍の指示に従ひ関係県に於ては之が逮捕護送送還を行ひつゝあり」アジア歴史資料センターRef.A05020306500 @ndoro4

2013-11-19 13:12:17
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

他方でGHQは1946(昭和21)年4月に覚書SCAPIN 852を出して密航を容認している。「査証を持たない」外国人が「時々入国を認められる」(彼らは「半永久的に日本に居住する」)ので日本政府は国内法を整備せよとhttp://t.co/NKF8d7GWGb @ndoro4

2013-11-19 13:12:44
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

日本政府はそれを受けて、1947年(昭和22)年5月に勅令207号「外国人登録令」を定めた。「第3条 外国人は、当分の間、本邦に入ることができない」「連合国最高司令官の承認を受け本邦に入る外国人については、これを適用しない」。問題は第4条だ。 @ndoro4

2013-11-19 13:13:05
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

「第4条 外国人は、本邦に入ったときは60日以内に・・・登録を申請しなければならない。」http://t.co/Wyf2l4ebPM正規に入国したのならその場で入国審査すればよい。60日もの猶予は不要だ。この条文が密航者を対象にしていることが明らかだ @ndoro4

2013-11-19 13:13:31
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

一方で厳重な取締を実施しつつ、他方で密航を容認するような措置は矛盾しているように見える。これは治安対策だ。監視をかいくぐって密航してきた朝鮮人が地下に潜るより、入国を追認して在留許可を与えることで外国人登録を促し、管理を容易にする意図だ。 @ndoro4

2013-11-19 13:13:49
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

『出入国管理の回顧と展望』(法務省入国管理局)にその意図が明記されているという。「不法入国者を含む朝鮮人等の外国人が大量に入国しており、当局も実態が把握できていない状況なので、入出国許可とは別に、まず実態把握のために登録させることを目的とした」 @ndoro4

2013-11-19 13:14:21
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

マルハン創業者の韓昌祐氏は猶予制度を用いて在留許可を得た密航者の1人だ。「外国人登録を早々に済ませた韓氏は密入国者にならずに済んだ。これは当時の法律で既に保障されていたもので60日を経過して登録申請を怠った場合、密入国として処罰されるというものだ」 @ndoro4

2013-11-19 13:14:38
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

以上が私の所論だが、批判が寄せられている。そんな制度はあり得ないというのだ。①他方で取締をして強制送還しているのと矛盾する②登録と入国許可はちがう③当時の日本は朝鮮人の入国を原則禁止していた @ndoro4

2013-11-19 13:15:39
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

これらの批判に対する反駁はすでに出来ているが、再掲する。①については、これは治安対策だと書いた。監視をかいくぐって密航してきた朝鮮人が地下に潜るより、入国を追認して在留許可を与えることで外国人登録を促し、管理を容易にする意図だ。法務省がこれを認めている  @ndoro4

2013-11-19 13:16:22
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

②については論外だ。登録だけさせて追放するなら、誰がわざわざ出頭するだろうか。そんな制度は無意味だ。またGHQが「半永久的に日本に居住する」ことを前提に入国許可を与えると書いている事とも矛盾する。 @ndoro4

2013-11-19 13:16:42
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

60日間の猶予について、「日本国内の居住地探すのに時間がかかるため」という反論がある。矛盾した反論だ。入国許可もないのに居住地をどうやって探せというのか。正規入国ならば入国を許可してから居住地を探させ、住所登録をその後にすればよいだけだ。 @ndoro4

2013-11-19 13:17:17
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

③について。朝鮮人の入国が禁止されている占領時代に、韓国人の入国者がいる。法務省http://t.co/ZRJ9kc1MHd「国籍別 入国外国人」によれば、1950年825人、1951年1,035人、1952年1,693人。他方で出国者もいるのは帰国だろう @ndoro4

2013-11-19 13:18:28
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

外国人登録令のつくられた1947年以後、数千人が合法的に入国していると推測できる。密入国者は数万人に及ぶといわれるが、戦前から居住していた50万人に比較すれば少数だし、合法的に入国許可を得た人もいるのだから「在日一世はほとんど密入国者」という説はデマという他ない @ndoro4

2013-11-19 13:19:22
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

一時的な緊急避難のつもりで来日して登録しなかった数万人の密入国者も、日本に生活基盤を作ってしまうと定住を希望して警察に出頭し、取調を経て法務大臣の在留許可を受けている。何の問題もない。問題のないところに問題を作り出して差別のネタにするネトウヨは全く度し難い @ndoro4

2013-11-19 13:19:38
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

追加する。想像するに、具体的な手続の流れはこうだろう。密航者は60日以内にまず最寄りの警察署に出頭して所定事項を伝える。警察は所定のルートでGHQに伝達する。GHQが入国を許可して名簿を日本政府に渡す。外務省が名簿に基づいて外国人登録して在留許可を与える。 @ndoro4

2013-11-19 13:32:46
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

GHQが全員の入国を許可したかどうかは不明だ。犯罪者などが紛れ込んでいないか、確かめる手だても講じたと思われるが、資料不足でわからない。何にせよ、制度通りに在留許可を得た人が実在するのだから、このようなことは考えなくてもよいだろうな @ndoro4

2013-11-19 13:35:15

以下、泥さんからの追加ツイートです。

あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

もうひとつ、念のために書いておく。外国人登録令の第3条「外国人は、当分の間、本邦に入ることができない。」に続いて、第2項に不思議な文言があることを。本文を示すので、次のツイートの(  )の中に注目してほしい。 @ktcathouse

2013-11-19 19:16:09
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

外国人登録令 第3条2項「前項の規定は、連合国最高司令官の承認を受け (連合国最高司令官が経由すべき港湾又は飛行場を指定したときは、当該港湾又は飛行場を経由し) 本邦に入る外国人については、これを適用しない。」 @ktcathouse

2013-11-19 19:16:39
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

これはどういう意味だろう。本文は「GHQが承認すれば入国できる」という意味でしかない。それだけを書けばすむのに、わざわざ「厚木基地などから入国するように指定されていれば、そこから入国してくる外国人は入国を許可する」という意味の、もったいぶった補足をつけるのは、なぜだ?

2013-11-19 19:17:39
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

こういう場合、文言を逆適用すればその射程が見えてくる。キーワードは「指定したときは」という限定句だ。「指定したときは、そこを通れ」というのだから、「指定しないときはこの限りではない」ということになる。 @ktcathouse

2013-11-19 19:19:12
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

場所の指定があろうがなかろうが、どこから入ろうが、GHQの承認があれば入国できるということを、官僚風にわかりにくく念を押していることになる。だが、民間機が飛んでいない時代、GHQが事前に入国を承認した人物に、到着港や空港を指定しないことがあるだろうか @ktcathouse

2013-11-19 19:19:39