【ヘイトスピーチ裁判】京都朝鮮学校裁判(の被告)を支える会・発足集会(12・7)
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口を開きかけた男性に隣の女性が何か言いかけた。彼女の視線は私への警戒に満ちていた。無理もない。だが男性は彼女を制し静かに話し始めた。「私は在日三世の朝鮮人です」。彼は名前を名乗らなかったが、私は彼を随分前から知っていた。9月23日。日侵会主催のデモで私は彼の存在を知った。(8)
2013-12-07 22:52:56いわゆる従軍慰安婦の韓国人女性が都内で講演を行った際、会場の外で猛抗議を浴びせる日侵会の前に、ひとり立ちはだかったのが彼だった。その後も多くのデモ現場で私は彼を目撃していた。「………さんですよね?」。そう尋ねる私に彼はばつが悪そうに笑った。「集会の抗議に来たんですか」。(9)
2013-12-07 22:53:10「在特会のやってることは明らかな民族差別。あの事件で多くの子ども達が傷ついた。それを見た多くの同胞も傷ついた。徹底的に民族差別と対抗したい」。彼はそう言って会場のビルに視線をやった。支える会発足についても「控訴する時点で反省してない」と在特会への怒りをにじませた。(10)
2013-12-07 22:53:53約30分のカウンターを終え黒影の二人は去っていった。会場に戻ると菊川会長が開会宣言をしていた。それに続き、京都地裁での第一審で被告弁護人を務めた徳永信一弁護士が登壇した。この日の朝、大阪から上京したという。在特会幹部、行動保守支持者が見つめる中、徳永氏はマイクを握った。(11)
2013-12-07 22:54:03徳永弁護士は京都地裁判決を不服とした上で繰り返し同じ主張を訴えた。「彼らは公園の不法占拠を抗議したのに、判決では民族差別をするための口実と見なされた。それは違う。そういった認定を受けたのはひとりの弁護士として許されない」。裁判官によって問題の論点がすり替えられたと訴えた。(12)
2013-12-07 22:56:50その上で、朝鮮学校に対する威力業務妨害については「子ども達が授業中だったという意識が抜けていたのは落ち度」と一部認めた。その一方、名誉毀損については「公共性はあった。公益性についても、むしろ『日本を良くするんだ』という気持ちが強すぎたんだろう」と被告メンバーを擁護した。(13)
2013-12-07 22:57:08徳永弁護士は原告側の裁判に対する姿勢にも強い疑問を投げかけた。「毎回、傍聴席に障害者の方がいて通訳も3人ついてた。交代しながら手話してるのを見て『この人達が傍聴する意味は何だろう』と思った。つまり『人種差別と闘う裁判』をやってるんだという演出、パフォーマンスなんです」(14)
2013-12-07 22:57:32徳永弁護士の主張に会場からは時折、「そうだっ!」という声が上がった。1時間以上に及ぶ報告の最後を徳永氏はこう締めた。「私は『これはおかしい』と言うことが差別となる社会にはしたくない。いずれにせよ最高裁まで闘いますから」。大阪高裁での第二審に向け準備は着々と進んでいる。(15)
2013-12-07 22:57:46まずは今月24日の期限に合わせ控訴理由書を提出する。年内には第1回公判の予定が決まる予定で、日程は来年の2月中旬になる見通しだという。新しい証人は出さず、あくまで論点を「人種差別から公園の不法占拠」に戻すことに注力する考えを強調した。さらに賠償金の減額を重要課題に挙げた。(16)
2013-12-07 22:58:12「1200万はいくら何でも高すぎる。これは減額になるでしょう。大方の弁護士はそう見てますよ。橋詰裁判長はいつもそうだから。すごく男らしい判決をする。でもこの問題は女々しい、細かい判断をしてほしかった」。法廷を出れば一緒にサッカーを楽しむ仲だという橋詰氏に苦言を呈した。(17)
2013-12-07 22:58:31徳永弁護士の報告に続き桜井会長による決意表明が行われた。「皆さん、民族差別って何でしょう?実はすごく簡単なことなんです。ゴキブリが急にがさがさ出てきたらワッとなるでしょ。朝鮮人が出てきてもワッとなる。理由なく人を嫌うのが差別なんです。我々は理由があって抗議してるんです!」(18)
2013-12-07 22:59:25京都地裁判決に対し、「理由なき人種差別ではなく理由ある抗議活動」であると主張した。さらに「どの報道も我々が突然、学校を襲撃して差別したように言う。前提を全く伝えない」とメディア批判を繰り広げた。敗訴に加え世論を敵に回しながらも「反省することは何ひとつない!」と言い切った。(19)
2013-12-07 22:59:38桜井会長の雄叫びに会場はこの日一番の拍手に包まれた。「謝罪した人もいるみたいだけど知ったこっちゃない!最高裁までいく!この闘いは在特会や行動保守だけの闘いじゃないんです!」。会場を出ると寒さで思わず身震いした。この闘いが終わる時、私は何を思うだろう。そんなことを考えていた。(終)
2013-12-07 22:59:48