桜島大正噴火の紹介

火山たん/三原あかり/地学系Vtuber @volcano_tan

桜島って、現在はよく爆発的噴火を繰り返し起こす山として有名だよね。けど昔はこんなに噴火回数は多くなくて、たまに規模の大きい噴火を起こす山だったんだよ。

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今からちょうど100年前の1914年1月12日から始まったのが大正噴火だよ。この噴火での噴出物の量は合計で約2立方km。数字だけでは想像も出来ないような量だね…

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こんな大噴火だから、さすがに予兆はあったんだよ。2日前から地震が多発して、前日には地鳴りがしたりね。山腹で白煙が上がるまでになったから地元の人は鹿児島の測候所に問い合わせたんだ。そしたら、測候所は何故か桜島に異常は無いから避難は必要無いって言ったんだよ。

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そういう回答をした理由は、私の推測では住民がパニックになる事を恐れたからだと思うよ。それと、もし何事も無かった時に責任を取れるのかって問題もあるからね。

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ある地域ではソレを信じずに避難をした所もあるけど、測候所を信じて避難が遅れた所もあるんだ。そして、そのまま12日を向かえるんだ。

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まず噴火が起きたのは桜島の西側の中腹。今の鹿児島市に近い方だね。ここで黒煙が上がり、やがて大噴火になっていくんだ。10分後くらいには南東の中腹でも噴火が起きるんだよ。

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噴煙の高さは午後には1万mに達して周囲は灰の雲の中に。まるで夜のような暗さの中、午後6時30分にはM7.1の桜島地震が発生。この地震は火山性地震としては規格外の大きさなんだよ。

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大混乱の中、風下になった東側を中心に大量の火山灰と軽石が降ったんだ。この軽石って、よくアカスリとかで使う穴の多いアレだよ。穴は溶岩の中にあった水などが発泡して出来るんだけど、その穴の多さで軽石は水に浮く事が多いんだよ。

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避難が遅れていた人達は船を使って島外に出ようとしたんだけど、東側の海峡には軽石が海面に1mもの厚さで浮かんでいて避難が難しくなったんだ…

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翌13日になると噴火はさらに激しくなって、午後8時くらいには火砕流が北西に流れて、その方向にあった集落が全焼するんだ。その少し後に、2つの火口から溶岩流が流れ出て西と南東に向かうんだよ。

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この溶岩流は数日かけて海に到達して、ゆっくりと桜島の面積を広げるんだ。当時の桜島は東側の大隅半島との間に瀬戸海峡って海峡があって完全な島だったんだけど、この溶岩が深さ約70mもあった海を埋めていって、1月29日には大隅半島と陸続きになるんだよ。

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この一連の活動はこの後2年くらいかけて落ち着いていくんだけど、噴火の混乱の中で58人の方が亡くなられたんだ。20世紀以降の日本の火山災害で最悪の人的被害なんだよ。

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この後、噴火を伝えるための石碑が桜島周辺の各地に建てられたんだけど、その中でも当時の東桜島村に建てられた石碑は有名だよ。測候所の回答で避難が遅れた事を背景として、碑文に「住民は理論を信頼せず、異変を認知したら前もって避難せよ」という内容の文があるからなんだ。

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とりあえず、大正噴火についてはここまでだよ。現在の観測網なら、当時のような大噴火が起きる前に予兆を捉えてあらかじめ避難が始まるとは思うけどね。当時の教訓があって、今の高いレベルの噴火への備えがあるんだよ。