本来、ハルマゲドンとは相容れぬ思想を持った魔人集団同士が、武力衝突によって決着を図るプロトコルである。だが、雛代中学で発生した、このハルマゲドンは違う。5
2014-02-01 07:58:08ふと気付くと、少女たちは雛代中学の下に広がる地下迷宮に閉じこめられていた。「ここで殺し合ってください」フードを被った死神は、ただ一言そう告げた。閉鎖空間。蠢く怨霊。犇めく狂気。DANGEROUS! この先、命の保証なし! 6
2014-02-01 08:02:53ぶつけ合うべき思想もなく。お互いに恨みもなく。二つの陣営に分けられた少女たちは、殺し合うためだけに、殺し合う。これは、贄となった少女たちの血と命と慟哭により成就する邪悪な儀式。地上に還れるのは、死闘を生き延びた者のみ。7
2014-02-01 08:10:42南海螢は“生徒会”に、猫岸舞は“番長グループ”に振り分けられた。各陣営は通常のハルマゲドンになぞらえてそのように名付けられていたが、陣営名に意味はない。ハルマゲドン以外の脱出方法も模索されたが、すべて徒労に終わった。8
2014-02-01 08:16:00巨大蟹アクベンスが、ハサミを振り上げて威嚇する。モグラ様生物アズマが、スコップの素振りで応える。お互いに本気で殺し合わなければ、ハルマゲドン不成立となり脱出は叶わない。9
2014-02-01 08:24:51「いくよ……ッ!」舞は姿勢を低くして突貫の予備動作。スコップは更に低く、地を摺るように。「来なさい!」螢はラケットを引きレシーブの構え。全身から仄かに放たれる青白い光が闇を照らす。10
2014-02-01 08:30:48猫岸舞ちゃんの設定画像ができたよー! だいぶ元キャラのイメージから離れちゃった気がするけど! http://t.co/LR1bwR4WwB
2014-02-01 21:51:53呪われた雛代の地下迷宮で、螢と舞の死闘が始まった。――殺し合うべき理由など、ないのに。低く構えた舞のスコップが、地面の土を浅く掻き取り螢に向けて飛ばす! そして土埃の目潰しを追って舞本人も低い姿勢でダッシュし距離を詰める! 1
2014-02-02 05:30:42螢はスカッシュラケットをボレー軌道でスイング! 素振りによって巻き起こされた風圧が土埃を吹き飛ばす! そして巨大蟹アクベンスは素早い横歩きで螢と舞の間に割って入る! 二本の巨大鋏を舞へと振り下ろす! 2
2014-02-02 05:42:55その時! アクベンスの足元の地面が弾け、地中から何かが飛び出した! 舞の相棒、モグラ型生物のアズマだ! アズマはスコップを振るい、アクベンスの鋏を跳ね上げる! 小さな体からは想像し難いパワー! そして舞は!「でこぼこォォー……」3
2014-02-02 05:50:18「……インパクトぉっ!」ガツゥン! 穴掘りパワーを込めた舞のスコップが、アクベンスの腹部を打つ! 毒雪姫を葬り去った、『でこぼこフレンズ』の近接格闘運用だ! しかし……アクベンスの硬い甲殻は無傷! 打撃反作用で舞は飛び離れる! 4
2014-02-02 06:02:47だが遅い! アクベンスの背部甲殻を蹴って螢が跳躍!「食らえぇーっ!」空中一回転兜割りスイングを舞の脳天に叩き込む! 猫耳安全ヘルメット越しでも舞の意識が一瞬飛ぶ破壊力! 着地を狙ったアズマの攻撃も、螢は巧みに身を捻って回避! 5
2014-02-02 06:50:55螢は深追いせず冷静にステップバック。巨大蟹の背後に戻る。アクベンスが敵の攻撃に耐え、螢が仕留める必殺の単縦陣形だ。しかし……「ゴボォッ!」突然泡を吹いて倒れる巨大蟹! 6
2014-02-02 07:04:21「『でこぼこ』……効いてたみたいだね!」舞の穴掘りパワーは表層に作用するわけではない。岩盤に穿たれた穴に挿れられた発破が炸裂するように!『でこぼこインパクト』は標的体内に直接作用し内部破壊をもたらすのだ! 防御力無視ダメージ! 7
2014-02-02 07:16:47その効果は古武術の“徹し”に近い。堅牢な甲殻を最大の強みとするアクベンスにとって相性最悪の能力だ! 蟹味噌を揺さぶられ倒れたアクベンスに、舞とアズマが追撃のスコップ! 螢は前衛に出て水平に倒したスカッシュラケットでインターセプト! 8
2014-02-02 07:21:43ラケットから腕へ! 腕から体へ! 伝わる穴掘りパワー!「うっぐふっ!」螢が内臓を損傷し青黒い血を吐く!「許さないカニ!」倒れたままの姿勢から地をなぎ払うアクベンスの巨大鋏! 舞とアズマは転がるように後退回避! 9
2014-02-02 07:27:18「物理で……殴る!」困難に直面した時、螢がとる行動は常にひとつ! レベルを上げて物理で殴る! 鍛え抜いた物理打撃こそが最強の魔法なのだ!「負けない! 死ぬのは私じゃないッ!」舞はまだ死ぬ気はない! 生き延びてからやりたい、楽しいことがまだあるから! いっぱいあるから! 10
2014-02-02 07:29:14螢のラケットが光る! 舞のスコップが唸る! アクベンスの巨大鋏! アズマの小型スコップ! 込められた魔法力が! 穴掘りパワーが! 物理打撃が! 少女たちの命の灯火を削ってゆく! 螢と舞。いずれかが死を迎えなければ、この戦いは終わらない。11
2014-02-02 07:33:59(前回までのあらすじ:南海螢と猫岸舞は、雛代中学に通う女の子。二人とも、ちょっぴり不思議なチカラを持ってます。校内に落とし穴を掘りまくる舞のイタズラに、風紀委員の螢は怒り心頭! そんなある日、二人はハルマゲドンに巻き込まれ殺し合うことに……)
2014-02-02 20:42:38雛代中学1年、南海螢は異世界からの留学生。生まれついての魔法少女だ。得意魔法はスカッシュラケットによる物理打撃。敵の能力発動を阻害する『発光』は魔法ではなく体質である。相棒の巨大蟹“アクベンス”とは人間界で出逢った。1
2014-02-02 20:48:32雛代中学3年、猫岸舞はモグラ型魔人“アズマ”との契約によって穴掘り能力『でこぼこフレンズ』に目覚めて間もない。手にした力の魅力に抗えず乱用してはいたが、基本的には善良なはず。自他共にそう思ってはいないが、やはり魔法少女である。2
2014-02-02 20:54:32