でこぼこフレンズ、螢と舞

ダンゲロス流血少女[Reboot版]のSSです。
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真木ハルコ @homarine

戦闘経験の単純比較ならば、風紀委員で魔法少女歴も長い螢に分がある。だが、螢の戦法は力押し一辺倒で、壁役アクベンスに防御力無視の『でこぼこインパクト』が致命的に刺さっている。更に、これは殺し合いだ。毒雪姫を殺害した舞は一段高いステージにいると言えよう。3

2014-02-02 21:00:28
真木ハルコ @homarine

「モルモルモルモルッ!」アズマのスコップ&爪ラッシュ! ガードした螢の体が宙に浮く!「インパクトぉっ!」「げふっ!」舞の必殺スコップ突き! ラケットによる防御を貫通して全てのダメージが螢に徹り吹き飛ばす!「危ないカニ!」アクベンスがフォローに入り、螢の岩壁激突を身体で阻止! 4

2014-02-03 06:01:14
真木ハルコ @homarine

「たぁーっ!」螢はアクベンスの鋏に足を掛け、押し出されながら高速飛翔スマッシュ! 狙いはアズマ! ギィンッ! カバーに入った舞のスコップとラケットがぶつかる金属音!「えいやぁっ!」「うぐっ!」間髪を入れぬ螢の後ろ回し蹴りが舞の脇腹をえぐる! 5

2014-02-03 06:05:50
真木ハルコ @homarine

熾烈な打撃戦!(楽しい! ……楽しい?)それは、戦闘中に分泌された脳内物質による錯覚かもしれない。だが、舞は今、確かにこの戦闘を楽しんでいた。螢の首筋目掛けて水平にスコップを振るう。螢は体を沈めダッキング回避。6

2014-02-03 06:12:09
真木ハルコ @homarine

もしここが光の射さぬ地下迷宮ではなく、夕陽輝く河川敷であったなら、殴り合いの末に二人は親友となれたことだろう。二人とも、明るく、前向きで……単純だから。下からラケットが突き上げてくる。スコップの戻りは間に合わない。肘でガード。肩が外れそうな衝撃。7

2014-02-03 06:20:42
真木ハルコ @homarine

少女たちの血と涙が織りなす残酷なハルマゲドン。敗者には死あるのみ。殺しても殺されても、螢と舞が戦うのはこれが最初で最後。だから戦う。命の限り。一瞬一瞬を深く胸に刻みながら。8

2014-02-03 06:23:50
真木ハルコ @homarine

「潜るよアズマっ!」「がってん承知モル!」舞とアズマがスコップを振り上げ……「でっこぼこ!」「フレーンズっ!」揃って地面へ振り下ろす! ズガァッ! 一瞬で口を開ける大穴! 舞とアズマは素早く穴に飛び込み地中に消えた! 9

2014-02-03 06:29:19
真木ハルコ @homarine

螢は穴を覗き込む。(追いかける……? 駄目。それは危ない)アクベンスの巨体は穴に入れない。螢が追跡すれば敵のホームで二対一だ。舞たちに遠隔攻撃技はない。ならば狙いは死角からのアンブッシュ。地上に現れた所を逆にスマッシュすべし。死のモグラ叩き……! 10

2014-02-03 06:34:35
真木ハルコ @homarine

【でこぼこ☆フレンズ、螢と舞】#4 終わり。#5 に続く

2014-02-03 06:34:45
真木ハルコ @homarine

【でこぼこ☆フレンズ、螢と舞】#5

2014-02-03 18:54:24
真木ハルコ @homarine

『発光』南海螢はひかった。『発光』南海螢はひかった。『発光』南海螢はひかった。ウミホタルルシフェリンの酸化による発光反応はエネルギー消費がほとんどなく、その気になれば一晩中連続使用可能。寝れなくなるが。『発光』南海螢はひかった。1

2014-02-03 18:54:53
真木ハルコ @homarine

即席隧道内の猫岸舞は、全身にまとわりつく奇妙な青い光にうんざりしていた。能力発動失敗を誘発する『発光』のエフェクトだ。だが重大インシデントではない。失敗率の上昇幅は小さく、失敗を織り込みながら掘進すればいいだけだ。『でこぼこフレンズ』掘進。『でこぼこフレンズ』掘進。2

2014-02-03 19:01:36
真木ハルコ @homarine

青い光を放ちながら、螢は敵位置情報の把握に努める。(カツーン)(カツーン)微かに地中から響いてくる掘削音。複雑に反響して発生位置を特定するのは難しいが、不可能ではない。(アクベンス、わかってるよね?)魔法少女とマスコットの精神リンクを介した無言の会話。(もちろん。音を追うカニ)3

2014-02-03 19:09:19
真木ハルコ @homarine

(アズマ、敵の様子は?)(オイラを追ってきてるモル。だけど、正確な位置までは掴めてなさそうな動きモル)アズマの鼻先には振動を感知する魔人アイマー器官がある。螢たちの挙動は地中からでも完全に把握できるのだ。(よし。作戦通りいくよ!)4

2014-02-03 19:14:46
真木ハルコ @homarine

掘削音の方向を見つめる螢の背後の地面に、音もなく穴が開く! 中からスコップを振りかぶった舞が飛び出してくる!「螢っ! 後ろカニ!」だが警告を聞いてから動いて間に合うタイミングではない! アズマの発する掘削音は陽動!『でこぼこフレンズ』は無騒音掘削が可能なのだ! 5

2014-02-03 19:23:50
真木ハルコ @homarine

穴掘りパワーを込めて背後から振り下ろされる舞のスコップ! 螢も振り向きながら魔法力を込めたラケットで応戦! ズグシャァッ! 肉が潰れ骨が砕ける音!「げほぉっ!」クリティカルヒット! 吹き飛ばされたのは……アンブッシュを仕掛けた猫岸舞! 6

2014-02-03 19:29:31
真木ハルコ @homarine

「……ッ!?」混乱しながらも舞は『でこぼこフレンズ』を発動し、地面消失の反作用で受け身を取りながら再び地中退避。(なんで……なんであの状況から完璧な反撃ができるの……!?)肋骨が何本も折れた。胸が灼けるように熱い。息が苦しい。全身にまとわりつく忌々しい青い光。7

2014-02-03 19:35:07
真木ハルコ @homarine

(これだ……この光のせいだ……!)『発光』が対象に効果を及ぼせば、螢の感覚に僅かなフィードバックを生じる。その副次作用をソナーの如く用いて、螢は舞たちの位置を把握していたのだ。(こっちの位置がわかってないフリして……悔しい……騙すつもりが完全に騙された……悔しい……!)8

2014-02-03 19:39:24
真木ハルコ @homarine

手応えは確かにあった。だが、致命傷にはまだ至っていないはず。螢は『発光』による索敵を再開する。アズマの反応が遠ざかり、索敵射程外に消えた。舞の反応も既にない。(敵撤退を確認……戦術的勝利……)螢は、舞を殺さずに済んで安堵している自分に気付いた。9

2014-02-03 19:44:48
真木ハルコ @homarine

殺したい相手なんていないけど、舞のことは特に殺したくないと感じた。もし、二人ともハルマゲドンを生き延びることができたら、友達になりたいと思った。落とし穴作りは絶対にやめてもらうけど。――その時、螢の頭上の岩盤に、音もなく穴が開いた。10

2014-02-03 19:51:19
真木ハルコ @homarine

【でこぼこ☆フレンズ、螢と舞】#5 終わり。#6 に続く

2014-02-03 19:51:29
真木ハルコ @homarine

【でこぼこ☆フレンズ、螢と舞】#6

2014-02-04 07:30:40
真木ハルコ @homarine

自由落下アンブッシュ。残された僅かな体力を全て右腕に。残された僅かな穴掘りパワーを全てスコップに。全てを賭けた一撃を、南海螢の脳天に。1

2014-02-04 07:30:50
真木ハルコ @homarine

猫岸舞は『でこぼこフレンズ』を自分自身の肉体に使用した。自らの臓器にダメージを与え、『発光』が反応する閾値を下回るまで生体反応を低下させることで螢のソナーを欺き、秘密裏に壁面を掘り進み天井へ回り込んだのだ。2

2014-02-04 07:37:13
真木ハルコ @homarine

螢の意識の外側から降ってくるスコップ! アクベンスも気付かない! 回避不能!(もらった! お願い死んで! これが最後の……でこぼこインパクトっ!)ザクッ! スコップの鈍い刃が螢の額を割り、大きな裂け目から血がだくだくと流れ出した。3

2014-02-04 07:46:11