#完全ノープラン艦これ与太話 【エンカウンター・ウィズ・サブピーシーズ・オブ・キメラ・ツー】　#1～#2

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【エンカウンター・ウィズ・サブピーシーズ・オブ・キメラ・ツー】 #1 #KZNPLN

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――工廠地下5F、第三実験室。 #KZNPLN

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独房めいた白い無菌実験室の中央、銀の椅子に、手術クランケめいた薄布の服を着せられた阿賀野が座っている。頭部にはサイバーサングラスめいた大型計測ヘルメットが装着されており、鼻から上の表情は伺い知れぬ。 #KZNPLN

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かつて切断された阿賀野の右腕が、右舷側の禍々しい巨大実験UNIX装置に接続され、装置はさらに取り外された阿賀野の艤装を抱えている。着衣の隙間からはコード類や、排泄用カテーテルといった無機質な触手類が生え、生気のない肌から更に生命的なアトモスフィアを奪う。 #KZNPLN

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『ハイ、スイッチ、オンー』無菌実験室に備え付けの旧時代スピーカーから、ノイズ混じりの声が響く。その声に合わせ、術着姿の小柄な艦娘がポテポテと実験装置に近付き、なんらかの操作を行う。「えい」「アッ！アーッ！〜〜〜ッ！！」阿賀野の船体が雷を受けたように痙攣する。 #KZNPLN

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ビガー、ビガー！けたたましいサイレンが響き、実験装置のモニタに映された波形が大きく乱れる。ピリピリと危険な電子音が断続的に鳴り、なんらかの致命的悪影響を予感させるが、術着の艦娘は意に介さない。『反応、どう？』「阿賀野さんの反応が初々しいです。じつにファックしたい」 #KZNPLN

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阿賀野は口から舌が突き出し、拘束された船体を跳ね上げてもがく。脈打つ電子音が徐々に弱まり、かわりに致命的悪影響を表す激しい電子サイレンが追加される。「〜〜〜〜！！」『ファックはダメですわよ。被検体の脳波にノイズが入りますわ』「チェー」術着艦娘は不機嫌な声をあげる。 #KZNPLN

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阿賀野の反応がピタリと停止し、甲高い電子音が途切れず鳴り響く。「オッ、生体反応停止……フヒヒ」『ハイハイ、急いで急いで』「ハイヨー」術着艦娘は阿賀野の船体をうらめしそうに眺めながら、ポチポチとUNIX装置を操作する。右腕の接続部がゴボゴボと濁流めいた音を立てる。 #KZNPLN

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「艦霊抽出完了……ゴクリ」阿賀野の艤装にドロドロとした黒いヘドロ状物質が浴びせられ、下の水槽にたまる。阿賀野の船体はだらしなく涎を垂らしたまま、ピクリとも動かない。「アア……阿賀野さんがこんなに……オオ……アヒッ」『艤装の反応はどう？』「エート、融合兆候なし……」 #KZNPLN

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『失敗かあ……うーん、オッケー。とりあえず戻して』「ちょっとまって……船体側にナニか異変があってはいけない……科学的観点から独自に検証します」『コラコラ』術着艦娘はおもむろに阿賀野の着衣をはだける。豊満な胸があらわだ！「オオ……ワンダフル」『ヒョーッ！続けて！』 #KZNPLN

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『おやめなさい2隻とも！はしたないですわよ！』『そんなこと言ってー、熊野の噴進砲だってギンギンのパンパンじゃない』『ま、まーっ！シツレイな！』「とてもやわらかいです」『ワオオーッ！』バコン！スピーカーから鈍い打撃音が響いた。『コラ！仕事中に何やってんの』 #KZNPLN

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数分後。大きなたんこぶを作った夕張と熊野が、術着姿の弥生を出迎えた。実験室に残された阿賀野は時折ピクピクと痙攣しており、モニタの波形は安定している。水槽にあった黒ヘドロ物質は、既にない。「……ひどいですわ工廠長ったら。とばっちりよ」「……ブフフ」弥生が失笑する。 #KZNPLN

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「とりあえず報告してよ。何か変化はあった？」「……我々の実験は失敗かもしれません。ですが、我々は実験結果よりも、もっと尊いものを学びました……とても形がよく、やわらかい……」「人類の勝利ね……」「敗北だわよバカ」彼女らは狂っていた。 #KZNPLN

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「ハイハイ、とりあえず実験失敗ね。まあ、そう簡単にいくとも思ってないわ」とりいそぎ弥生の頭頂部にカラテを加えた霧島がぼやいた。「SoK2の製造……せめて、サンプルがあればねえ」「オオ……破壊的衝撃……」床で弥生が呻いているが、一同は意に介さない。 #KZNPLN

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霧島の研究対象は目下SoK2（Subpieces of Kimera-II/第二次混成生物亜種）、即ち機械と霊体の融合にあった。艦娘は元来、生体・機械・霊体の3種によって構成されるKimera-III（第三次混成生物）である。 #KZNPLN

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SoK2は戦後20世紀より、霊科学分野においてダークマター的に提唱されている概念である。だが実証や製造には至っておらず、学会や世間での扱いはオカルトやフィクション産物といった領域に近い。そこに衝撃を与えたのが、先の『卯月』との交戦である。 #KZNPLN

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磯波ら『霧島艦隊』の証言によると、カスガダマ最深部に出没した巨大空母は駆逐艦『卯月』の艦霊と肉体を介さず融合しており、報告が正しいとするならば、まさに定義通りのSoK2である。霧島はSoK2の実在を確信し、阿賀野復活への希望を見出した。 #KZNPLN

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阿賀野の艦霊はあまりに強大であり、通常通りの建造では船体（生体部）の許容限界を超え、数分で死に至る。これは過去の『阿賀野』建造記録にも残る事実であり、霧島工廠は麻酔系薬物の過剰投与による艦霊衰弱という荒業でもって、戦後史上初めて『阿賀野』建造に成功した。 #KZNPLN

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だが霧島は、強大な艦霊のポテンシャルをドブに捨てる現状をよしとせず、あらゆる方面から『阿賀野』復活の計略を巡らせていた。そして目をつけたのがSoK2だ。生体を介さず艦霊を艤装と融合させる事で、生体の許容限界という問題を根本部分から解決しようというのだ！ #KZNPLN

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「阿賀野の様子は、もう少し私が見てみるわ」「アイヨー、じゃ、私らは帰りますんで」「やわらか……マシュマロな……」「コラ、お下品」大たんこぶを作った3隻は霧島を残し、実験室を後にした。 #KZNPLN

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工廠地下の廊下を歩きながら、熊野が思い出したようにぽつりと話題を出した。「そういえば。聞きました？翔鶴さんのお話」「甲板がエロいとか……そういう話ですか」「ちがいますわ。オリョール海でまた出たんですって」熊野は恐るべき名を口にする……。「CV、スレイヤー……」 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【エンカウンター・ウィズ・サブピーシーズ・オブ・キメラ・ツー】 #1終わり。 #2へ続く。 #KZNPLN

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