#完全ノープラン艦これ与太話 【ストラグル・フォア・エヴリフリーツ・ソウルズ】地ノ章【バーニング・マイセルフ】 #3～#4

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【ストラグル・フォア・エヴリフリーツ・ソウルズ】地ノ章【バーニング・マイセルフ】#3 #KZNPLN

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（これまでのあらすじ：艦娘同士の最終戦争勃発を目論み、『天一号最終決戦兵器』で帝都の大破壊を開始した戦艦大和。時を同じくし、大和率いる『非理法権天』より離反した卯月は大本営中将・羅針盤妖精ナグモと合流し帝都爆撃を敢行。帝都ネオヨコスカは火の海に変わった） #KZNPLN

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（伊58の遺したアンタイ艦霊ウイルス弾を切り札に、帝都へと向かう北上ら鎮守府一行は道中にて矢矧・浜風の強襲に遭い、辛くもこれを撃破。能代と羽黒は重傷を負う。霧島・北上は『赤レンガ』を目指し進撃を開始。飛龍・山城はそれぞれ破壊行動インターラプトに向かった） #KZNPLN

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「それなら、構わない！力づくで、貴女を連れ戻す！イヤーッ！」陸奥の全身が爆炎を纏い、ライブハウスの一室を異常高温で満たす。「今の我々には戦力が必要なの！酒匂は先に死んだ！浜風は頭がおかしくなった！このままだと、卯月の暴走すら止められない！」「ふうーん」 #KZNPLN

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山城は興味がないといった反応で、不遜に砲塔を動かした。砲から冷気が漏れ出し、ライブハウスの半分を冷却する。熱と冷気がぶつかり合う境界線で、グラグラと空気が歪む。那珂は天変地異めいた超常気象に巻き込まれぬよう、舞台袖へと身を隠す。艦娘は頑強であり、温度変化には強い。 #KZNPLN

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「あの頃の私はただの、戦争したがりのヨタモノよ。大和の存在も理念も知らないし、知ろうともしなかった。暴れる口実が欲しいだけの、無軌道ヤンクと大差ない。命懸けで、あんたらバカに付き合う義理もない」「そうね。私もそうだった。でも今は違う」「同じよ」山城は吐き捨てた。 #KZNPLN

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「結局、同じよ。今も昔も。私も、あんたらも。私は軍人として。あんたらはテロリストとして。ただ暴れる口実が欲しいだけの、バカなヨタモノよ。私ら末端のヨタモノが、野放しだったのと同じ。結局制御しきれてない。何も変わらない。何も」「イヤーッ！」陸奥の爆炎チョップが迫る！ #KZNPLN

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「イヤーッ！」山城はこれを電撃的チョップで相殺！カラテ衝撃は無力化したが、纏う炎熱が山城の白い腕を焦がした。「バカにするなッ！我々は！私は！もう昔の私じゃない！」「そうね」山城は砲から、大型の冷気塊を撃ち出す。陸奥の肩が凍る。「グワーッ！」「あんたは変わった」 #KZNPLN

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山城は凍結で鈍った左舷側に、鋭角のショートフックを繰り出した。「イヤーッ！」「グワーッ！」たたらを踏んだ陸奥はだが、強靭な船体強度でもってこれを耐え、反撃のハイキックを繰り出す。「イヤーッ！」「グワーッ！」ガードを上回る衝撃を受け、山城はたたらを踏んだ。 #KZNPLN

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「そうよ！私は変わった！力を得たのよ！……そうよ！元々持っていた貴女とは違う！私は勝ち取った！地位を！信頼を！そして力を賜った！だから私はそれに報いる！イヤーッ！」陸奥は超自然の爆炎を生成。後ずさる山城へと投げつけた！「イヤーッ！」山城は前転回避！ #KZNPLN

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「くだらない。くだらない！」山城はダッキングから踏み込み、陸奥のワン・インチ距離に飛び込む！「あんたらの理想にも興味ない！今更戻る気もない！私は私よ！私は私の為に戦うの！あんたらバカを止める為に！誰かにやらされる戦争なんて、ウンザリなのよ！」「本当に？」 #KZNPLN

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山城の拳が止まった。「本当に、そう思うの？貴女は本当に、本心からそう、思ってるの？……戦争は個人がやるものじゃない。国家が、思想がそうさせる。兵士個人に思想はない。思考の必要がない。そんな無心の戦場に、貴女は何も心惹かれないの？」山城はごくりと唾を呑み込んだ。 #KZNPLN

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山城は再度拳を握り直し、力任せに陸奥の顔面へと振り抜いた。陸奥は歯を喰い縛り、顔面に拳を受けると同時、ぎらりと双眸を赤く滾らせる。瞬間、山城の胸に大砲めいた重い正拳が叩き込まれた。「グワーッ！」ワイヤーアクションめいて吹き飛んだ山城の船体が、壁に叩き付けられる。 #KZNPLN

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陸奥の火炎が中～遠距離において瞬間的に高温を生み出すのに対し、同距離における山城艤装の冷却機構は遅行的だ。山城が優勢を保つ為には、室温を低く保ちつつ近距離戦を挑む必要がある。ひとたび陸奥の爆炎が優勢に転じた今、状況はジリー・プアー（徐々に不利）だ。 #KZNPLN

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非理法権天の末端構成員として、主も真実も知らぬまま、ただ口実めいて大義だけを掲げ、暴力に理由を求めたかつての自分。決別した筈だった。だが今まさに、山城の背にはかつての山城がのしかかる。過去と共に封印した、この忌々しい兵器を起動して。ブルシット。山城は唾を吐いた。 #KZNPLN

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戦艦山城はレイテ冲海戦での沈没後、旧帝国陸軍によって艦霊を回収された艦艇の1隻である。陸軍は超常の霊的存在を国防兵器に用いる計画を進めていた。山城はその依代に選ばれた。強靭な霊的存在を制御する手段として、数多のノロイをはらむ山城の強大な艦霊を選んだのだ。 #KZNPLN

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主たる課題であった霊的存在の異常加熱と船体崩壊を避けるため、山城は霊的存在に強力な封印を施した上で召喚・結合が行われた。結果、運用コストに不釣り合いな低出力の霊的兵器が完成した。『艦娘』山城は、欠陥兵器としての来世を再び確約され、この世に転生した。 #KZNPLN

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当代以前の『艦娘』山城の記憶は、山城にはない。だが戦艦山城としての確かな記憶と、今の自分自身を重ね合わせ、山城は運命を呪った。行き着いた先が『非理法権天』だった。自身を翻弄し、見えざる手として自身を呪い続ける戦争を、この手で翻弄する。山城は戦犯になりたかった。 #KZNPLN

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ソーマトめいた山城の視界に、現実の風景が戻ってくる！「……イイイヤアアアーーーッ！」「グワーッ！」陸奥のポン・パンチが山城の腹を直撃！艤装が砕け、重い衝撃が内臓を握り潰す。たたらを踏む山城へ向け、超自然の爆炎が放たれた。「アバーッ！」 #KZNPLN

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山城の船体が、ライブハウスの崩れた備品を圧し潰し、砕く。陸奥はふうと息を吐き、目を閉じた。そして倒れた山城へと、カイシャクの拳を握り締めた。これは決別だ。事故死の誤報を流した時も、これほどの覚悟は決めなかった。最早、もとには戻らぬのだ。何もかも。 #KZNPLN

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「ア、アア、アアアーーッ！」陸奥の背後から、護身用連装砲を構えた巡洋艦が飛び出してきた。陸奥は背に数発の弾丸を受け、強靭な装甲でそれを弾き、ぐるりと振り返ってから、カイシャクのための拳を背後へ振り抜いた。肉の焦げる嫌な臭いと共に、巡洋艦の頭部が砕けた。 #KZNPLN

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陸奥の背に、ずしりと重い衝撃が加わった。強靭な内骨格に弾かれ、肉に食い込むに終わった筈の砲弾が、ぐいと推進力を得て陸奥の体内に侵入している。背中の感覚がない。ありったけ冷気を詰め込んだ氷徹甲弾が背の弾丸を押し、徹甲弾は砕け、背を凍りつかせている。 #KZNPLN