ヒア・カムズ・ザ・サン #7
「こいつが」……アルゴス。サヌマは恐怖のあまり、その名前を口に出せなかった。光り輝くニンジャは彼らの目の前に着地した。着地点から四方八方に01ノイズの亀裂が生じた。ナンシーがサヌマの首根を掴んだ。「遠くへ!」ゴウ……音を立てて、アルゴスの姿が見る見るうちに遠ざかる。 50
2014-03-31 00:37:52アルゴスは侮蔑の目で二人を見る。01ノイズの亀裂はどこまでも彼らを追った。ナンシーは加速する。加速する。加速する。加速する……01001001001001000……「ンアーッ!」「アバーッ!」KABOOOM!UNIXデッキ爆発!彼らは吹き飛ばされ、背後の者に受け止められた! 51
2014-03-31 00:40:56ニンジャスレイヤーは苦痛に呻いた。激しいイクサによる負傷が回復していないのだ。「無事か!何があった」「データ……データを」ナンシーが震え声で言った。レッドハッグが情報端末を抜き取った。「こいつか?」「……」ナンシーは気を失った。「私は、立てます、なんとか」サヌマが言った。 52
2014-03-31 00:45:12「ゲホゲホ……ミーティングは後にしようかね」レッドハッグはサヌマに肩を貸した。「こっちは片付いたけど、なにか面倒でもあったかい?」「私には……何だ?何があった?」サヌマは呟く。「本当に立って歩けンのかい、アンタ」「施設のシステムは滅ぼした。それは間違いない。……それは確かだ」53
2014-03-31 00:49:54「ならば……」ニンジャスレイヤーはUNIXの残骸を見た。「……この場を離れるとしよう」「医者にかかりたい」レッドハッグは忌々しげに言い、サヌマを引きずるようにアジト出口へ導く。ニンジャスレイヤーは意識を失ったナンシーを抱え、その後に続く。鼓動がある。無事だ。54
2014-03-31 00:54:13傷つき打ちひしがれた彼らは獣道を辿り、やがて、村を見下ろす地点に留め置いたRVカーのシートを剥がした。この地にやってくる為に使った、サヌマの車である。ナンシーを後部シートに横たえ、水を含ませると、やがて彼女は意識を取り戻した。「調子に乗りすぎたかしら」彼女は弱々しく言った。55
2014-03-31 00:59:24「村の連中、どうやらうまくやれたようだけど」レッドハッグは村の遠景を眺め、苦心してタバコを吸った。「このまま放ったらかして帰るのも、どうにもッて感じだね。ま、仕方ないか」「仕方ない」ニンジャスレイヤーは低く言った。レッドハッグは肩をすくめた。「あの子、家族に会えたかしら」 56
2014-03-31 01:04:16「その……」サヌマがおずおずと言った。彼は半壊のカニドロイドを所在なさげにいじっていた。「私は……我々は、その……善い事をしたと……考えていいか」ニンジャスレイヤーは無言。レッドハッグが煙を吐いた。「した、した。とにかく奴らに一発カマしてやッたろ。万々歳さね」 57
2014-03-31 01:09:26「カマしてやったわよね」ナンシーが言葉を継いだ。彼女はゆっくりと身を起こした。そしてニンジャスレイヤーを見た。「……ね」「……」ニンジャスレイヤーは数秒後、頷いた。「ああ。そうだ」「フーッ」サヌマは長く息を吐いた。空が白み始めている。「太陽だ」サヌマは呟き、目を細めた。58
2014-03-31 01:18:09