キタユキ（@k_t_y_k）氏の #加賀さん観察日記　2014年4月分

キタユキ @k_t_y_k

呆気にとられて岩の周りを渦巻く爆煙の流線を見ていると、吹き上がる炎の中に白く舞うものが混じり始めました。こちらに流れてきた一つ二つを見るに桜の花弁のようです。どんどんその数が増えていったかと思うと、一気に炎を包み込み、燃え盛る代わりに桜の八重吹雪となりました。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

「御見事」 シャン、シャン。 千々重ねの鈴を歩に合わせて鳴らしながら、桜と煙の中をくぐる者がいました。足首で半弧を描きながら、鮮やかな紅傘を肩に添え、一歩、また一歩と雄大に、また優艶にその姿を現していきます。 「大和、感激です」 鬢の花飾がちりりと揺れます。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

見事？感激？何を口走ってるんだこいつは。こちらの疑問をよそに、今の今まで引きこもっていた大和は悪びれる様子も申し訳なさも微塵も感じさせず、それどころか全てはこの一瞬への布石だったと言いたげに、岸壁に佇む雄獅子のごときゆったりした威厳を醸し出している。 #加賀さん観察日記

レイジ@鯱肉(しゃちにく) @YZR13h8000

恐れ多くも、てーとくちゃん・さんじゅうさんさい（仮）を描きました　#加賀さん観察絵日記 http://t.co/doMayfP8ZB

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「私は貴女を試していたのです」散る桜を背景に、大和は語り始めます。「貴女が今後も私が『観る』のに相応しい【提督】であるかどうか」大和が踵を鳴らすと、並べられた石畳に亀裂が走り、 前に進むと周りに生い茂っていた木々草花が巻き戻し映像のように土へ還っていきます。 #加賀さん観察日記

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私はお前が、というかこのゲーム？空間？が違法改造のしすぎで【大会】失格になったから拗ねて出てこなくなったと聞いたんだが。 「私が？失格？笑止！私が参加したのは、元より手段を問わず、いかに早く『結末』を変えるかが重視されるもの。多少の違法で失格などありえません」 #加賀さん観察日記

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いやなんか武蔵がビスマルクとかいうシェリル・ノームと話してたの見たんだけど。運営から失格って言われてたんだけど。それを聞いた大和は手で口元を押さえ、吹き出すのを堪えるように笑い出しました。おかしくてたまらないといった様子です。何がおかしい。 #加賀さん観察日記

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「【運営】から【プレイヤー】への通知は、必ず各【プレイヤー】と、その【観測者】である姉妹艦に縁の深い艦娘から選出された【伝達役】から行われます」つまり、あのビスマルクは。「あれは友人です。一役買っていただきました。貴女の性根を叩き直すための芝居にね」 #加賀さん観察日記

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芝居だと？司馬懿の間違いじゃないよな？「ええ。芝居です。【提督】でありながら全くもって困難に立ち向かわない、仕事の大半は人任せ、恋愛ドラマもしない、新しいことも始めない。日々ルーチンワークをこなすだけのだらけたハムスターにも劣る貴女のために、全て仕組みました」#加賀さん観察日記

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どこから始まってた？「私がやると決めた時からです」具体的に言え。「えーっと、≪再起動≫の前からです」草をはらはらと落としながら、古鷹が手を上げた。「本当は前からシナリオ整理の予定はあったんです。提督が寝てる間にするつもりが、丁度バグって強制終了しちゃったたので」#加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

「巻雲さんの言うとおり、色々詰め込みすぎちゃってましたからね。猫もいましたし」猫？「あ、バグのことです。私達の間では『猫が出る』って。実際、不具合があると遊んでる最中にデータ上では猫が出るようになるんですけど」加賀の可愛がっていた、見えない猫を思い出す。あれか。#加賀さん観察日記

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「で、まあ、その、色々と。技術関係は私より、巻雲さんに聞いた方が早いんですけど…」古鷹は巻雲をちらりと見やる。巻雲は地面に寝そべったままだ。「…今はその、休ませてあげましょう？」 #加賀さん観察日記

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とりあえず巻雲は寝かせておくとして、大和、お前には聞きたいことが山のようにあるんだが。「ええ、全てお答えしましょう…と言いたいところですが、流石にシナリオの核心部への解答はできかねます。何せ、貴女の存在意義を揺るがしかねません故」そういうとこゲームなんだな… #加賀さん観察日記

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「丁度デバッグも終わりますし、お茶でもしながら、ね」 #加賀さん観察日記

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《DEBUG MODE END》 《REBOOT》 《LOOP CONTINUE》 #加賀さん観察日記

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「こういった伝承があります。『お茶会で内容の端々を説明するゲームは、最初は面白かったのに最後が目もあてられなかった』――人生はクソゲー。私達もその慣習にあやかって、一つの机を取り囲みながら、これまでとこれからのことを話しましょう。お茶でもいただきながら、ね」 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

鎮守府の一角、元は中庭を望むカフェ・ラウンジのあった場所。今は手入れがなされておらず、かつての繁忙の面影はない。ペンキの剥がれかけた白い屋根のテラス下で、足のがたつく机と椅子でお茶会が開かれていた。大和、武蔵、古鷹、巻雲、ゴーヤ、そして、提督＝私。 #加賀さん観察日記

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「まず今回の事情説明……の前に、現状のおさらいをしておきましょう」ウェッジウッドの上品な青が映えるカップを揃いのソーサーに置き、大和がまず切り出した。「文字色変えるでち？」「いいえ。それについては後程【記録係】に」「りょーかい」赤の証言とか出るのか…… #加賀さん観察日記

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「話が反れましたが、簡潔に。ご存知の通り、この鎮守府はゲームの舞台であり、【GM】の定めたシナリオに沿って物事が起こります。必ず起きる事象もあれば、起きない事象もある。発生条件は全て、提督、貴女がこの鎮守府でどのような行動をとったかにより、決められていきます」 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

「ゲーム、と銘打った以上は遊ぶ者、つまり、【プレイヤー】が存在します。そう、この大和です」そう言うと大和は急に立ち上がり、傘を広げ頭を大きく振り回し、大見得を切る。よっこの超弩級戦艦。歌舞伎か何かか。「ノッていただけるとは。大和、嬉しい」いいから続けろ。#加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

「そうですね。大和の出番はまだまだ続きますから。焦らずじっくりと見せ場を作って」いいから早く話せ。この鎮守府がゲームステージでお前ら艦娘の一部がプレイヤーと開発スタッフ。提督が操作不可能なのに操作キャラやらされてて死ぬかクリアでリスタート。そうだな？#加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

「その通りだ」大和の横で武蔵がカップを煽り、どっかと机の上に置く。「元々はだな、提督よ。貴様のような人間の脳に【プレイヤー】となるもの――わかりやすく言えば我々のような宇宙人が寄生し、軍艦をモデルにした擬似記憶を搭載した人造兵器を指揮するシミュレーターだった」 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

さらっと説明されたけどこえーよ。何のシミュだよ。「他のところからくる奴相手だよ？」ゴーヤが手を大きく上げ、頭上でくるくる輪を描く。「きょーりゅーの時代にいっぺんあったでち。隕石に乗ってね、別のやつらがゴーヤ達の住むとことりにきたの！長く苦しい戦いだったでち」 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

ちょっと話がでかすぎてついていけない。「提督、提督の記憶では艦娘というか……『深海棲艦との戦争』のこと、なんて教えてもらってました？」古鷹に聞かれ、記憶をめぐらす。海底資源の取り合い。確か宇宙飛来生物である深海棲艦から反旗を翻した一部の個体が人間に協力を…… #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

「それです」草花が取り払われ、普通の見た目に戻った古鷹は、真剣な顔で私の顔を見つける。「その深海棲艦との戦い、実は昔起こった侵攻をモデルケースにしているんです」……歴史ゲーなのかこれ？「歴史ゲーです。鎮守府単位ですけど」スケールちっせえなオイ。#加賀さん観察日記