アイヌ民族の【名前】

アイヌ語爺さんによる( @aynuitak_jiji ) アイヌ民族の【名前】についての解説です。アイヌでは、なるべく人と違う名前をつける風習があるとのこと。和人のように「太郎」というようなよくある名前があるわけではないようです。
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非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

①【名前】 名前は re れ、所属形の長形で rehe れヘ と言う。アイヌ語の人名というのは非常にバリエーションがあり、その由来を知らなければ分からないものも多い。にも関わらず、アイヌを先祖に持つ者には一番身近なせいかよく意味を聞かれて困る。

2014-04-13 04:53:30
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

② 昔のアイヌには当然家族名、姓はなく本人の名だけだ。現在は出生届の関係で出生と同時に付けるが、伝統には反する。赤ん坊の時代は魔よけから sion 「発酵した糞」とか mosospe 「うじ虫」とだけ呼んで名前は付けない。

2014-04-13 04:59:46
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

③ やがて赤ん坊も自分で這ったり、あるいは立ったりするようになる頃名前を付けるが、その時の子供の動作に基づくものやいろいろだ。但し先祖や親の名前だけでなく他人と一緒の名前は徹底的に避ける。これは名前によって運命が同じになる事を避けるため。

2014-04-13 05:06:07
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

④ だからアイヌがでてくる創作物で記録にある名前を安易に使えない。和人などに比べてオリジナリティが高いので、子孫などがいれば勝手に名前を使うなと言われる事もあり得る。昔でも自分と同じ名前がある事を知ったら名前を変えたくらいだ。

2014-04-13 05:11:49
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

⑤ 先程同じ名前同士は運命を共有するという考えがあったと言ったが、昔でも成功してる人の名前を付けたりする事例があるが、本人が知った場合は運を盗む者として別な名にするよう抗議されるし、裁判沙汰になるくらいの重大な犯罪だった。

2014-04-13 05:18:30
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

⑥ また名前を知られる事をアイヌはあまり好まない(名が広まれば不幸を招く)ので、普通は本名とは別にあだ名のような ponre ぽンレ を使った。本名にしろポンレにしろ昔は当然ながら本人が変えたい時には自由に変えた。

2014-04-13 05:24:07
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

⑦ だから昔の文献を読む場合も注意が必要。例えば石狩川筋でリクニンリキという人物はクチンクレ、門野クーチンコロなどと記される人と同一人物だ。

2014-04-13 05:28:21
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

⑧ 口承文芸に個人名がでてくるのは非常に稀で、例えばユカラの英雄ポイヤユンペは「小北海道人」、親はヤユンクル「北海道人」とかシヌタプカウンクル「シヌタプカの人」とか土地の名を冠した通称で個人名ではない。

2014-04-13 05:34:09
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

⑨ せいぜい Ikuresuy とか Ikurusuy と呼ばれる人物が個人名の登場人物として知られるくらいだ。だからアイヌ風の創作物でピリカだの何だの名前がやたら出てくるのは気持ちが悪い。

2014-04-13 05:39:25
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

⑩ 一応 E=rehe nekon a=ye ? 「お前の名前何て言うんだ?」 という表現はあるものの、実際アイヌの生活でそんな事を聞いても仕方がないので、 「どこの村の者か?」を聞かれる。自己紹介する方も自分の出身地や親や先祖の名前を出すものである。

2014-04-13 05:44:23
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

⑪ よくアイヌになりすまし云々というのはこのツイッター上でも書かれるデマだが、傍で思うほどアイヌという民族集団の繋がりが薄いわけではない。出身地と先祖でアイヌであるかないかは容易に分かるし、その人物の情報は速やかに全国のアイヌに共有され排除される。

2014-04-13 05:52:12
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

⑫ 外国人がアイヌになりすますくらいなら和人の方が何百万倍も容易だし、利益もはかり知れぬ程大きい。イランカラプテと言いながら何故か熱心なのは和人ばかり。アイヌ利権と言っても誰が実際益に与っているかは一目瞭然ではないか。

2014-04-13 05:57:06