タロットと易経の比較-ユング心理学の象徴と記号の理解から-

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タト @Leethoo_Tat

西洋の象徴主義を具現化したものであるタロットと、東洋の思想を具現化したものである易経(古今東西のオカルティストが精通していた奥義の双璧)の違い。前者はユングがいうところの象徴(Symbol)と記号(Sign)が混在しているのに対して、後者は明確な記号化の体系であるということ。

2014-04-18 22:17:00
タト @Leethoo_Tat

と、こう言ってみたところで、ユングがシンボルとサインをどう区別していたかということについて説明しないと、知らない人は語感だけで読んでしまう可能性があるので、ユング本人はかなり長く書いてるけれども、端的にその二つの区別を書いてみる。

2014-04-18 22:20:12
タト @Leethoo_Tat

記号:純粋に意識的なもので、未知の部分を含まない。規約的なものであり、 私的に使用される場合であれ、公的に使用される場合であれ、意味されるもの とそれとの関連を学び慣れ親しんだものには、余す所なく解るはずのもの。

2014-04-18 22:20:45
タト @Leethoo_Tat

象徴:比較的未知の物事を表す可能な限り最良の表現。象徴は無意識的な側面 を有している。それは認識不可能である限りにおいて意識によって完全に把握 することができないものであり、人間の表現を超えている。従って「象徴表現」 とは、本来表現しえないものを表現しようとする試みだということ。

2014-04-18 22:21:35
タト @Leethoo_Tat

ちなみに丸山圭三郎はこのユングの区別を踏まえて次のように峻別していた。記号はラング化されたランガージュ(表層のロゴス)の範疇、 象徴はラング化されないランガージュ(深層のロゴス=パトス)の範疇だと。

2014-04-18 22:25:00
タト @Leethoo_Tat

象徴は自我意識の意図的産物ではない。無意識によっていわゆる啓示や直観という未知を経て産出されたもの。象徴は啓示としての機能を付与されている。聖なるものは象徴の字義通りの感性的意味作用によって結び付けられているが、他方でその中に宿っている象徴的意味に結び付けられている。

2014-04-18 22:29:36
タト @Leethoo_Tat

タロットの「象徴と記号が混在している」という特徴が示しているのは、それが潜在意識、無意識の領域に踏み込んだものであるということ。それがタロットの理解・解釈を複雑化・困難化させている。それに比べると易経は明解に思われる。

2014-04-18 22:33:52
タト @Leethoo_Tat

ユング読みの人はおおかたご存知だろうと思うけど、フロイトが「近親相姦」をその性理論において単に文字通りの意味にしか解さなかったのに対して、ユングがそれを他の傾向のシンボルとして理解すべきとした、その参照先は、人類学者ジョン・レイヤードです。

2014-04-18 22:42:51
タト @Leethoo_Tat

残念ながらジョン・レイヤードは日本語のウィキペディアにはありません。英語版でどうぞ。 http://t.co/Na3Jt6Pqae

2014-04-18 22:49:55
タト @Leethoo_Tat

象徴が産出される過程である「無意識による啓示や直観という未知」。ユングはこれを〈Gnosis〉という言い方でよく語る。それは意味的には〈Inspiration〉=〈Einhauch〉(どちらも「息を吹き込む」→霊感)である。この場合はキリスト教の異端がどうとかいう意味ではない。

2014-04-18 23:04:54