【腐向け】それでも付き合っていない兎虎のサンジョルディデー

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「拙者も会社の近くを探してみるでござるよ、タイガーさん」「ボクも、よくいく中華街を覗いてみるね、タイガー！」「私もジョンの散歩コースを覗いてみよう、そして探してみようワイルド君！」「俺も探しておくから、バーナビーと会社に戻れよ、タイガー」ヒーロー全員、優しいね。

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「あの、虎徹さん」「んあ？　会社戻るまでの道で本屋見てっていい？」「聞いてください、虎徹さん。もういいんです。あなたがそうやって僕の思い出を探そうとしてくれたことやそれを市民の方々が協力してくれたことが大事で、何よりの贈り物ですから」って聞いたらどうしても探したくなるじゃない！

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シュテ民「我々をなめてもらっては困るな、バーナビー！」シュテルンビルト市民の底力、見せてやりましょ！

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「ブロンズの古本屋でその本を見かけた気がするよ。クロノスフーズの近く、ダウンタウンのバンゲリングリバー寄りだ」「バニー！　見つかったかもしんない！」「……早く帰ってきて、書類を片付けてください。僕は手伝いませんよ？」「分かった！」社員は小躍りしたいのを我慢して見送る。

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「やれやれ、うちのヒーローは本当に手がかかる」Mr.ロイズはスマホ片手に溜息一つ。「ロイズちゃんも甘ぇよな、サイトウちゃん？」「「ねー？」」「だって、タイガーがあれじゃ仕事にならないでしょう」アポロンメディア社員も、午前中はまったく仕事にならなかった様子です。

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タイガーがアポロンメディアを飛び出してすぐ。ダウンタウンの方角から轟音と煙が立ち上る。不安げに仰ぐ市民の視線はすぐに、街の至る所にある街頭ヴィジョンへ。ああ、ねぇ。こんな時に爆破テロなんて！　マリオの実況中継に大きなため息が漏れる。「ダウンタウンで、連続爆破テロ予告がありました」

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本屋さんはどうなるの？　タイガーはまだたどり着けてないよね？　祈る市民の目に鮮やかなオペラレッドがほうき星さながらに駆けていく。タイガーの鮮やかなグリーンは、まだ現れない。ああ、神様ってなんていじわるなんだろう！

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「タイガーはまだなの？！」「今トランスポーターで拾ったところだそうです！」「ふふふ、今度こそ長引かせてちょうだい。バーナビーには悪いけど、今日は視聴率、グングン来てるわ……！」ケインは少し、バディが気の毒になって苦笑いする。

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ワイヤーを使って緑の光が流れる。赤い軌跡がそれを追う。犯人は、バブルガムを爆弾へ変えられるNEXTだって。ヒーローたちが必死に交戦するけど、そんなの太刀打ちできっこないじゃない！　おまけに時々映る犯人の、ガムを噛んでる口元がすごくむかつく！　なんで今日、何で今かな！

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ふと、ヒーローTVの中継を見ていた人が呟く。「なぁ、イーストリバーから、犯人の奴段々バンゲリングリバーの方に逃げてないか……？」「ダメよ！　そっちには、本屋さんがあるんじゃないの？」「ああ……！　止めてくれ、タイガー！　大事な相棒の本も、吹き飛ばされちまうよ……！」

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「タイガー、犯人を追って！」「住民の避難が先だ！」「だって、本が……！」「ばっかやろ、本より市民大事にしなくちゃ、バニーだって喜ばねぇよ！」聞こえてきた声を嘲笑うように犯人はバンゲリングリバーの方へと移動していく。なんて奴なの！　市民はただ、願いを込めて拳を握りしめる。

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「ケイン、回線開けて。音声解放するわよ」「え？」聞こえてきたのは、タイガーの声。「ばぁちゃん、危ねぇって！」「だけどお前さんの探してた本があるんだよ！」「本なんかより、あんたの命が大事！」「けど……！」「オレの相棒だって同じこと言うさ。さ、掴まってろよ！」「はは、そこが本屋か！」

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「今日一日中探してたんだもんな。ごくろーさん。目の前で灰になるトコ、見ても言えるかよ！」犯人が、バブルガムを膨らませた――。

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「言えますよ。そういう人です。チェックメイト。もう好きにはさせません」バーナビーの蹴りが犯人の足元を掬って、屋根から落ちたところをタイガーがキャッチ！　コテンパンにしてやりたい気分だけど、よかった、よかったね！　周りの人たちとハイタッチして歓声を上げる。さて、本は？

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「これで、ようやく本が手に入るぞバニー！」「……爆風で、ほとんどが本棚から落ちて積み重なっていますが……」「あ……」がっくり肩を落としたタイガーに、申し訳ないけれど笑ってしまう。なんていうか、やっぱりバディはこうじゃないとね！　なくなったわけじゃないから探せば大丈夫……かな？

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ヒーローTVのEDに、座り込んで本を片付けるタイガーの姿が小さく映り込んでた。ヒーローたちもタイガーを手伝っていて。確かにこの街は治安もよくないし、毎日何かしら事件がどこかで起こっているけれど。悪くないでしょ？　ここは、ヒーローが生きる街。でもタイガー、大変そう……

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ドラゴンキッドが本屋のおばあちゃんと話してる。「ねぇ、タイガーさんが探してた本ってどんな本？」「ぬいぐるみのクマが、人間と友達になるために人間のことを学ぶため旅をする話だよ。うちにあった本はね、きっと持ち主が絵本をとても好きだったんだろうね、最後のページに書き込みがあって」

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「子供は絵本にらくがきをするもんさ。だから絵本は、なかなか古本屋にも流れてこない。大事にされてたんだろうね」「ふぅん……すごいんだね」「あ――っ！」「なになに？」「あったの？」「あった――っ！」「よかったね、タイガー」「へへ、うん。みんなありがとな！」以上、現場から報告するね！

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ヒーローはまだしばらく帰らないみたい。おばあさんが、お家の中へ戻れるまで片付けを手伝って行くんだって。でもね、もっとすごいことがあったから、もう少し報告。タイガーがバーナビーに絵本を渡したら、バーナビーの顔色が変わった。絵本のページを捲って、最後のページを見て泣きそうな顔したの。

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「あなたって人は、本当に……！」「なんだよ、悪かったってぇ」「違います。これ、僕のです」「は？」「全部燃えたと思っていた。残った書物まで、財産として整理されたんですね。ほら、この落書き」本には子供の字で『me to!』「僕も、こんな相棒と一緒に冒険がしたい。夢が叶いましたね」

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「プディントンはね。男の子と数々の冒険を経た後、彼を家まで送り届けるの。男の子は『家族になろう。今日からここが君の家だよ』って言うのよ。そして二人の冒険が、また始まるの」おばあさんの目が優しく細められて。バーナビーはフェイスガードを下ろしちゃった。よかったね、バディ！

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「この本はオレの力だけじゃ見つからなかったから、オレに礼は言わなくていいぞ」「……でも市民は、あなただから手伝ってくれたんです。ありがとう。大切にします」「おう！　なんなら今晩、添い寝してこの絵本読んでやろうか！」「お願いします」「え？」「お願いします」「や、冗談だって……」

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これこれ、バディはこうでなくちゃね！　と思いつつ。市民は笑顔で呟いて家路に就きます。「なぁんであのバディ、付き合ってないんだろ！」散々な日だったかな？　でも、バディにとっても、市民にとってもなかなか素敵な日だったよね？　ここはシュテルンビルト。正義の女神が微笑む街。

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お疲れ様、ヒーロー！　でも今日は本当にもう、事件は勘弁してあげて！

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「んじゃ、改めて。みんながバニーのこと思って一所懸命探してくれた本当にこの街の全員が関わったくらいたくさんの人がお前にこれを届けてくれたんだぜ、バニー」「……大事にします。もう！　僕が用意した本を出しにくいでしょう！」そう言ってバーナビーが出したのは『レジェンドオブレジェンド』。