麩そのものに味はないのですが、小豆の一つ一つが転がり落ちていきます。おいしいです。しかし加賀さんは人がもぐもぐし終わったと思うとすかさず次のぜんざいを流し込むので、熱々でホクホクの小豆が口の中へ流れ込んできます。くれとは言ったがせめて冷ます余裕ぐらいくれ。 #加賀さん観察日記
2014-04-19 17:51:18あんまりにも人の口にぶち込んでくるので手首を掴んで引き剥がそうとしましたが、加賀も譲る気配がありません。互いに睨み合って牽制しあっていると、隣の席から噴き出し笑いが聞こえました。見ると、アイボリーのキャスケットを被った少女がコーヒー片手に笑いを堪えています。 #加賀さん観察日記
2014-04-19 17:55:06「すみません、ちょっと面白くて…」こちらの視線に気づいたのか、少女はコーヒーを一口飲み干してから、キャスケットを脱ぎました。片方だけ長く伸ばされた銀髪が、さらりと解き放たれます。少女は白の手袋をはめたまま髪を整えますが、どこかで見たことのあるクール属性感です。#加賀さん観察日記
2014-04-19 17:57:55「提督さんと加賀さん、ですね?」指懐から写真を取り出して確認しますが、紛れもなく同じ駆逐艦です。「【伝令役】、浜風と申します。この度は矢矧の命により、加賀国は白山、白山比咩神社へご案内させていただきます」恭しく一礼をする浜風。不知火に似たものを感じます。 #加賀さん観察日記
2014-04-19 18:06:21ところで浜風、お前今迎えにきたっつったな。矢矧の命で。「なるほど。聞いてらっしゃらないと」お前を探せと言われた。「なるほど。しかし私は迎えに行けと言われましたし、電車の予想到着時刻も外見特徴も全部教えて貰いました」なるほど。「真似しないでください」 理不尽な。#加賀さん観察日記
2014-04-19 18:10:58代金を払って店を後にし、駅を出る。「ついてきて下さい」と浜風は言うが、どうやって行くつもりだろうか。矢矧と顔見知りのようだから信頼してもいいのだろうが、加賀に(何かあったら戦えるようにしておけ)とハンドサインを送る。艤装はなくとも格闘戦ならこちらに武がある。 #加賀さん観察日記
2014-04-19 18:32:04ここです、と浜風は言う。普通の軽自動車だが、黒いドアの下部は白のトライバル・ステッカーが鋭利にうねり、取り巻いている。「送ります、乗ってください」お前の車か。「ええ、公共交通機関はかなり時間がかかりますので」待て、その前に一つ聞きたいことがある。 #加賀さん観察日記
2014-04-19 18:36:44お前は本当に矢矧の命令で来たんだな?「そうですが」何者なんだ、お前も、矢矧も。「なるほど。つまり、何者、と聞いてすぐに答えなければ、車に乗らないおつもりですね。私は陽炎型駆逐艦13番艦、浜風。最終所属は、第二水雷戦隊です」浜風は車のキーリングを指で回し、掴む。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 00:41:05第二水雷戦隊。神通がよく出撃の際に口にしている言葉だ。同じく、矢矧も。彼女達元二水戦に何か特別な繋がりがあるのか?「提督は流石に、私達最後の二水戦がどこへ出撃したか、誰を護衛していたかぐらいは、御存知ですよね」ごめんわからん。「……なるほど、想像以上に手強い」 #加賀さん観察日記
2014-04-20 08:14:00「坊ノ岬って言えば流石にわかりますよね」なんか聞いたことある。大和がどうこう。「その時に出たのが二水戦です」あっ今繋がった。つまり、矢矧をはじめとしたお前ら元二水戦は、大和について回ってる、ということだな?「…なるほど、手強いが察しの良さは武蔵様の言うとおり」 #加賀さん観察日記
2014-04-20 08:20:15「私達のグループは、矢矧を中心に、大和の護衛をしていたあの『最後の二水戦』のモデル艦で結成されています」やっぱりヌーディストビーチか。「ヌーディ…?確かに矢矧は突然わけもなく脱ぎ出しますが…ああ、なるほど。それでヌーディスト」浜風は一人何かを納得しています。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 09:13:32「元々私達は別の【ゲーム】で大和とパーティーを組んでいた…えーっと、ポケットモンスター?でしたか。殿堂入りメンバーだと思ってくだされば」お前らたまにそういうこと言うから変な気分になる。「私は的確な表現をオンライン辞書から探してるだけで、遊んだことはないですよ」 #加賀さん観察日記
2014-04-20 09:19:42【プレイヤー】ではないのか。「ここだって大和以外は皆人工知能持ちのNPC扱いですよ。【プレイヤー】がNPCを殺しても構わないし、レイプしても咎められない。あの人が神みたいなものですし、人権なんてありませんから」こわ。とじまりすとこ。「提督のスラングは難解です」 #加賀さん観察日記
2014-04-20 09:24:25「それで、私達に話を戻しますが、別【ゲーム】で大層お気に入りだったらしいので、そこからデータを引っこ抜き、このステージで私達は個別に役割を与えられているのです」それでお前は【伝令役】か。「ええ、【運営】からの通達を届ける役割。本来ならば。」#加賀さん観察日記
2014-04-20 09:26:44なるほど。お前らが大和の手先なのはよくわかった。「真似しないでください」納得しただけだろうがよ。「これ以上は長くなりそうですし、後は車内でお話致します」そう言って浜風は後部座席のドアを開けました。100%信頼はしてませんが、ここは乗るのが懸命そうです。#加賀さん観察日記
2014-04-20 10:23:24「…スンスンスーン、ヤンスンスンスーン」かかってるDir en grayと全く関係ない鼻歌を歌いながら、浜風は指でトントンハンドルを叩いてリズムを取りつつスイスイ道なりに車を走らせていきます。加賀さんは後部座席で鞄を枕に寝そべって暇そうだし、狭そうです。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 10:32:39「ここあたり、バスの本数が少ないし遠いので、車できた方が早いんですよ」ウインカーを出し、浜風は注意深く窓の外を見ながら車線を切り換えていきます。不知火のトラック運転を思い出すのですが、陽炎型は車の運転に長けているよでしょうか。それとも手袋補正でしょうか。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 10:37:08「すみません、少し吸ってもいいですか」浜風は助手席側の物入れに手を伸ばします。煙草か、構わんぞ。そう言うと浜風は一礼し、物入れを開けてピーピーラムネを取り出しました。片手で器用に剥いて一つ唇で挟むと、ピィーッ、ピィーッと景気良く吹き鳴らします。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 10:50:43こいつ何やってんだと思いながら見ていると、スッと目の前にラムネが差し出されました。浜風はこちらをチラッと見て、ピョロロと気の抜けた音を鳴らしてます。手を縦にして礼を表し、一つ咥えてピィーッと吹き鳴らすと、浜風は満足そうにウンウン頷きました。なるほど。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 10:57:26車は次第に山道に入っていきます。「この辺り、採れたてのタケノコが美味しいんですよ」そうなのか。「ええ。加賀から聞いたりしてないんですか?」そうなのか?後ろの加賀に聞いても暇そうに前髪を弄ってるだけです。そういえばこいつ、ほぼ大阪から出たことがないのでした。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 11:22:59