緋色の珈琲#1

旅人のイスルは、緋色の珈琲という不思議な飲み物を探してはるばる旅をしてきました。しかし見つけた店は少し変わっていて……。小説アカウント @decay_world で公開したファンタジー小説です。この話は#4まで続きます
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 イスルは不思議に思った。珈琲を淹れるのにどんな時間が必要だというのだろう。「すみません、どれくらい時間がかかるんですか?」 「大体2時間程度かかりますね」 24

2014-05-21 17:19:49
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 2時間! 想像を超える長さである。一体どんな手法で珈琲を淹れたらそんなに時間がかかるのだろうか。そこを聞いても、秘伝の方法ですので……としかレミウェは答えてくれなかった。2時間は流石にかなりの長さである。 25

2014-05-21 17:30:06
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 幸い緋色の珈琲の値段自体は少し高価な珈琲という所であった。ここまで長旅をしてきたのだ。それが2時間増えた所でどうなるだろう。イスルは緋色の珈琲を注文することにした。それを聞いたレミウェはナイフで切り裂いたような笑みをまた浮かべる。 26

2014-05-21 17:35:22
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「承知しました。早速準備しますね。席についてお待ちください」 そう言ってレミウェは厨房の奥へと行ってしまった。店内は静まり返り、異様な緊張感をもたらした。 27

2014-05-21 17:37:54
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 耳鳴りがするほどの静寂だ。イスルは手持無沙汰になり、席についてテーブルの上にあるおもちゃのルーレットを回して時間を潰した。硝子の中に盤面と小鉄球が入っており、カラカラ回して遊べるのだ。 28

2014-05-21 17:39:15
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 鉄球がカラカラ回る音が静寂を和らげてくれた。しばらくすると、店内に落ちついた音楽が流れ始めた。ひょっこりとレミウェが顔を出し、ウィンクする。「すみません、音楽、つけるの忘れてました。なにぶんお客が来ないので……」 29

2014-05-21 17:42:59
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 レミウェは仕込みが終わり抽出に入ったと行ってくれた。しかしそれにかなりの時間を費やしてしまうらしい。「お待ちいただいて申し訳ないのですが、鮮度が命ですので……その分素晴らしい味と香りですよ。ご期待くださいまし」 30

2014-05-21 17:45:15
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 そうはいっても、イスルは早くも飽き始めてきてしまった。何か他のメニューは無いかと聞いてみる。小腹も空いてきた頃だ。何か食べて、ゆっくりして、食後のコーヒーにしよう。そうイスルは思った。レミウェは愛想よく笑う。 31

2014-05-21 17:49:25
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「そうそう、新作のパイがあるんですよ。是非食べてみてくださいまし」 32

2014-05-21 17:51:32