三成兄さん(27)と妹左近ちゃん(17)とその周りの人の話

豊臣兄妹(http://togetter.com/li/665952)にかかわる周囲の人達から見た豊臣兄妹の日常のまとめ。過去話が多いです。
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澪@原稿に追われている @mskiktsk

三成兄さん(27)と妹左近ちゃん(17)の話。二人は片や中一片や三才という幼さで両親をなくしたため、三成さんが就職するまで面倒は刑部叔父さん(実はうっすら記憶有り)が見ていました。

2014-05-15 23:24:26
澪@原稿に追われている @mskiktsk

刑部さんのお仕事は大学教授。民族学を専門に教鞭をとっています。豊臣兄妹を分かりにくい暖かな目で見守ってきました。ちなみに特に大病はしていません。

2014-05-15 23:35:47
澪@原稿に追われている @mskiktsk

三成兄さんと妹左近ちゃんの話では刑部さんは半兵衛さんの年の離れた弟。前世の記憶はうっすらとだけどあるし姉とも仲は良かったから三成さんや左近ちゃんのことが普通に可愛くて堪らない。ただ記憶がはっきりある三成さんとは叔父甥の関係というより本当に友人として対等な関係で付き合っている。

2014-05-16 00:24:57
澪@原稿に追われている @mskiktsk

だから姉夫婦が事故に遭い幼い兄妹が残されたと電話で聞いたときは血の気が引いた。(ちょうどフィールドワークで遠野に居た。)

2014-05-16 00:26:24
澪@原稿に追われている @mskiktsk

慌てて戻ってきたときには時すでに遅く、二人の死に目に会うことは出来ませんでした。刑部さんが見たのは泣き疲れて寝入る幼子を抱えた兄の方でした。

2014-05-16 00:28:13
澪@原稿に追われている @mskiktsk

「……刑部。」 三成は此方を向かないままぽつりと言いました。視線は腕に抱いた妹。とても中学に上がったばかりの、それも両親と死に別れた少年のものとは、とても思えない静かな声音に、ああ、と刑部は思いました。知ってしまったのだな、三成よ、と。

2014-05-16 00:31:04
澪@原稿に追われている @mskiktsk

「……賢人は、何と。」「……我が豊臣家の末娘を、私の幼い妹を、守れと。」「……そうか。」降りる沈黙。病院の廊下に幼児の寝息だけが聞こえてきます。

2014-05-16 00:33:15
澪@原稿に追われている @mskiktsk

「……刑部は、覚えていたのか。」「……否、ぬしほど明確ではない。午睡の如く曖昧な夢よ。恐らくは、賢人も。われの知る限りそこまではっきりと過去を抱くのはぬしだけよ。」「……そうか。」

2014-05-16 00:35:34
澪@原稿に追われている @mskiktsk

唇を噛み、三成は何かに耐えるように俯きます。震える拳。虚偽はかつての三成が最も嫌ったもの。良かれと思い黙っていたとは云え、このような状況ではどう転ぶか分からず、刑部は数珠が使えなくなったことを少しだけ後悔しました。二本の脚で歩ける体には、輿も数珠ももう必要ないのです。

2014-05-16 00:38:36
澪@原稿に追われている @mskiktsk

「……刑部。私は此処に宣誓する。」「……三成?」「私は豊臣の後継として、秀吉様の御遺志と半兵衛様の御遺思を……父上と母上の願いを継ぐ。」今度は遺言を聞けたのだからと、三成は言います。

2014-05-16 01:03:04
澪@原稿に追われている @mskiktsk

「先の世がどうであれ、今の私はこれの兄。お二方が私に託した命は、……左近は、私が守る。」

2014-05-16 01:03:26
澪@原稿に追われている @mskiktsk

眠る左近を抱き締めて誓う三成。決意を秘めた柳色の双眸は、もはやいっぱしの男の顔でした。それを見て、刑部もまた決めました。「……あいわかった。ならば我も力を貸そ。」「刑部?」「今はいつかほど力業の通ずる世でもあるまい。年嵩が背に居るだけで通る道理もあろうて、三成。」

2014-05-16 01:11:58
澪@原稿に追われている @mskiktsk

「……承知した。すまない、刑部。」「ナニ、これも義のため、ぬしの……否、われがそうしたいからするまでよ。」ヒヒッと笑いながらも、刑部の胸のうちには惜しむ思いがありました。 嗚呼、これで本当に、三成の『少年』は終わってしまうのだな、と。

2014-05-16 01:16:46
澪@原稿に追われている @mskiktsk

こうして二人の幼い兄妹は叔父の家に引き取られることになりました。三成と左近が今まで住んでいた豊臣の家は、管理が出来ないということで売却されることに。 「……すまぬな、守れなんだ。」「刑部が謝る必要はない。私も納得している。」

2014-05-16 01:24:15
澪@原稿に追われている @mskiktsk

「土地は買い直すことも出来よう。家も建て直すことは可能だ。何故なら父上と母上は私の中に居る。何も失ってはいない。」 それに。 取り壊される家を見つめながら、三成は隣にいる小さな柔らかい掌をぎゅっと握りました。 「……私が真に守っていくものは、此処に在るのだから。」

2014-05-16 01:27:33
澪@原稿に追われている @mskiktsk

こうして三成が大学を卒業し、就職するまでの十年間、二人は刑部叔父さんの家にお世話になったのでした。

2014-05-16 01:28:47
澪@原稿に追われている @mskiktsk

三成兄さん(27)と妹左近ちゃん(17)の話。~番外編:刑部叔父さんの話~ でした。

2014-05-16 01:29:19
澪@原稿に追われている @mskiktsk

三成兄さん(27)と妹左近ちゃん(17)の話。三成さんは普通自動車免許と大型二輪免許を持っています。自分で色々カスタムしてあるその大型バイクの名前は「天君」。遅刻しそうな左近ちゃんを送っていく時などにも役立ちます。

2014-05-13 10:19:33
澪@原稿に追われている @mskiktsk

そうそう、三成兄さんの愛車「天君」は初め大谷さんの邸の置かれていましたが三成が高校生の時バイク屋の息子長曽我部君と知り合ってからは彼のおうちに預かってもらっていました。

2014-05-22 23:49:25
澪@原稿に追われている @mskiktsk

三成さんは奨学生で公立高校に入っているのですが出来るだけ食い扶持は自分で稼ぎたいとバイトを探していました。しかし奨学生は勉強が本分、労働禁止です。そこで「友人の家を少し手伝っただけ」と言い逃れ出来る長曽我部君ちで高校三年間働いていた訳です。

2014-05-22 23:54:34
澪@原稿に追われている @mskiktsk

長曽我部君は元々非常識なほどストイックな三成さんに興味を抱いておりましたので、三成さんが「……貴様の家が二輪車販売店だと云うのは本当か」と訊いてきた時ものすごい驚いたそうです。

2014-05-22 23:57:15
澪@原稿に追われている @mskiktsk

「あんたバイクに興味あるのか?」「詮索は許可しない。質問にだけ答えろ…真か」「ん?あー、まあそうだが…」「…ならばもう一つ。貴様の家業、人手は足りているか?」「まあ足りてるっちゃ足りてるけどよ、うちに来てえって奴はいつでも大歓迎だぜ」「…ならば今日、貴様の家に連れていけ」「!?」

2014-05-23 00:01:12
澪@原稿に追われている @mskiktsk

これが入学してから一ヶ月、クラスメイトの二人が初めて交わした会話でした。

2014-05-23 00:02:07
澪@原稿に追われている @mskiktsk

訳も分からず取り合えず店に連れて行く長曽我部君(いいやつ)。三成君は全く表情が変わりませんが、どうやら興味津々で商品やガレージを見ています。

2014-05-23 00:28:10
澪@原稿に追われている @mskiktsk

「そんでよぉ、あんた一体何だってうちに来たがったんだい。単なる興味本意、ってわけじゃ無さそうだが」「……単刀直入に言う。私を、此処で働かせてくれないか」「ふぁっ!?」

2014-05-23 00:31:28