「千の想いを」～第四章「絶望」・分岐イベント「血」～

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

【第四章『絶望』　分岐イベント『血』開始】 【医療ドッグ・廊下　３日目　２２３０】 【介入制限：龍田のみ】

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【分岐条件：飾が７以上　未達成】 【『血』蝕ver.で進行】

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【注意】 この先、グロテクスを含む流血表現が含まれます。 ふふふ…、怖いぜ。　と言う人はご注意下さい。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

うーむ。すっかり夜になってしまったわ。 紙袋を手に暗い道を歩きながらうなだれる。パジャマは数着あるから貸すのは問題無いんだけど、いざ持っていこうと思うとなんとなく恥ずかしくなって、新しく１着作ってしまったわ…。 モノクロだからあいつも気に入るだろう。ダメ出ししたら叩いてやる。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

ふわぁ…。 １度自作した時の型紙が残ってて良かったわ。それが無かったら流石に作ったりしなかったもの。 とぼとぼと歩く。ついでにお姉への差し入れも持ってこようと思ったけど、時間が時間だからやめておいた。 お姉もいつ戻ってくるんだろうなぁ。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

お姉の部屋の電気がもし点いてたら、天龍の所に行く前に顔を出そうっと。まぁ、無いと思うけど。 おや…？ 病室棟を見上げると、１つだけ明かりの灯っている部屋があった。 何を隠そう、その位置はまさしくお姉の部屋である。 起きてるの…？ さっき決めた自分ルールも忘れて驚く。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

目を凝らしてみれば、お姉の姿が見えた。 窓に手を当てて、外を眺めている。 そうとなれば考えるより先に身体が動いていた。 ぶんぶかと両手を振る。紙袋ががっさがさとうるさいけど気にしない。 おーい、お姉ー。千代田だよー。 ぶんぶん。がっさがっさ。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

あ、れ…？

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

気付かない。 外のどこか一点を見詰めたままお姉はこちらに気付かない。 暗過ぎて見えない？　いや、街灯が近いからそれはないと思う。 視界に入っていない？　いや、何かに集中してるみたいだけれど、視界の端で動くものに反応しないようでは艦娘失格だ。 じゃあ…。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

唯一明かりの点いた病室で、お姉が何かをじっと見ている。 動かない。 寝てるんじゃないかと思いもするが、両目とも開いている。それがわかるくらいに、こっちからは見えている。 だから、向こうから全く見えない、なんて事は無い筈なのだ。 じゃあ…。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「……お姉？」 届くわけも無いのに声が漏れていた。 じゃあ。 考えられるのは、無視されている、しか残らない。 ちらりともこっちに目線を移したように見えなかったけれど、気付いた上で放置している、としか思えなかった。 なん、で…？ 本当に気付いてないの？

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

お姉の部屋とお姉を見上げたまま、立ち尽くす。 他に何をしたらいいのかわからない。 もっと激しく動き回ってみれば答えもわかるのかもしれないけれど、そうする気にもなれなかった。 あたしと違ってまともに戦闘もできて、旗艦を務めるお姉が、あたしに気付いていない筈が無いのだ。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

…帰りに寄ってみよう。 そう決めたのは、逃げだとわかっている。 本当に気になるのなら、替えのパジャマを届けるよりも先に会いにいくべきだ。 会って聞いてみるべきだ。 何を？ 考えるだけで、くらりと眩暈が襲ってきた。 あたしを無視したの？　って？

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

なんで？　あたし何かしたかな。そう言えば演習なのに開始前も開始後も会いに来てくれなかった。扶桑さんや金剛さんが来てくれたくらいなのに。何か怒ってるの？　またあたし何か悪い事した？　演習頑張ったんだよ、逃げたかったけど最後まで戦ったよ。あたしの力じゃない面ばかりだけど逃げなかった。

龍田@GM @GM_tatuta

@tiyodadayo あら～？　良かったぁ。一緒に行きましょ？

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

声に。 思考が止まる。 ドッグの出入り口で龍田さんが手を振っていた。手にはパンやお菓子が入ったビニール袋を提げている。この時間に頼まれていた日用品を持ってきたとは考えにくい。多分、１度届けた後で夜食を買ってきたんだと思う。 「こん、ばんわ」 声が、上手く出なかった。

龍田@GM @GM_tatuta

@tiyodadayo こんばんは〜 ……どうしたの？ 幽霊でも見たみたいな顔、してる。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

軽快に近寄ってきて、あたしの顔の前でにこやかに首を傾げてきた。 あ…。 「そうだ、龍田さん、手を振ってほしいの」 不思議そうにぱちくりと瞼を開閉させた龍田さんに、指でお姉の部屋を示す。しめ…す…。 え…？ 電気が消えていた。見える窓は全て真っ暗で、どこも点いていない。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

呆然と見上げたまま動けない。 お姉の姿も見えなかった。 …。 あたしが目を離した隙をついて、電気を消した…？

龍田@GM @GM_tatuta

@tiyodadayo 手を振ればいいの？ あの部屋に向かって？

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

この状態では意味のわからないお願いだろうに、それでも龍田さんは拒む色を少しも見せずに右手を伸ばして左右に振り始めてくれた。 吐き気が。 いやいや待って考え過ぎじゃないかしら。最初から明かりの点いた部屋なんて無かったような気がしてきた。さっきも全部真っ暗だったと思う。うん。

龍田@GM @GM_tatuta

@tiyodadayo ね、千代田さん。 疲れてるんじゃないかなあ？　顔色も、なんだか悪く見えるし…早く渡しにいこ？

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

龍田さんが空いている手であたしの手を引く。 何も聞かないでいてくれる優しさに感謝が湧くも、言葉が出てこなかった。 うん、そう、絶対にそうだよ。部屋に明かりなんて点いてなかった。全部暗かった。 お姉の姿を見てない。見えたような気がしただけ。あはは、ほんとに疲れてるのかな。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

だって。 お姉があたしを無視するわけがないもの。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

……千代田と龍田が建物の中に入っていく。 それを始終見下ろしていた２つの瞳がある事に。 結局２人のどちらも気付く事は無かった。