研究紹介8 どんな人が正直者?どうして正直なの? Biological Psychology, 2013
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研究紹介です。長いので分割します。 「どんな人が正直者?どうして正直なの?:前島における普段の賦活状況は欺瞞行動の個人間差を予測する 」 goo.gl/YfcOhb
2014-06-12 18:10:03英語はこちら。 【Who is honest and why: Baseline activation in anterior insula predicts inter-individual diffrences in deceptive behavior】
2014-06-12 18:10:26この研究では安静時の脳波の活動状況と、実際の欺瞞行動の関連性を検討しています。 その結果、安静時の前島(anterior insula)の活動状況が高い人ほど、実際に嘘をつく回数が減っていました。
2014-06-12 18:11:02実験課題は投資家(investor)が取引相手(trustee)に資金を預ける状況が設定されています。参加者は取引相手役で、投資家はサクラ(コンピュータ制御)でした。課題は全てPC上で実施され、両者とも匿名状況が設定されていました。
2014-06-12 18:12:11投資家は最初2$の資金を持っており、取引相手に預けると5倍の10$になる設定でした。 取引相手は増えた資金の半分の5$をちゃんと投資家に返却するか、返さないで全て着服するかを選択できました。 着服することを利己的な嘘と定義しています。
2014-06-12 18:12:56資金を預ける前に投資家はちゃんとお金を返してくれるよねと取引相手に約束を求めます。 取引相手は4段階(always, mostly, sometimes, never)の約束をして、相手から資金を預けてもらうようにしていました。
2014-06-12 18:12:32このような資金のやり取りを1ラウンド3回、合計9ラウンド27回繰り返す課題でした。 参加者は最初の約束時にほとんどalwaysを選択していましたが、実際の返却行動をクラスター分析してみると大きく3タイプに分かれていました。
2014-06-12 18:13:18タイプ1は正直タイプであり、もっぱらalways返却の約束をし、やり取りのうち約85%は資金を返却していました。
2014-06-12 18:13:30タイプ2はほどほどに正直タイプであり、もっぱらmostly返却の約束をし、やり取りのうち約44%は資金を返却していました。
2014-06-12 18:13:42タイプ3は嘘つきタイプであり、もっぱらalways返却の約束をしてるのに、やり取りのうち約15%しか資金を返却しませんでした。
2014-06-12 18:13:54安静時の脳波の解析にはsLORETAといった解析手法を用いています。これはlow resolution brain electromagnetic tomographyの略で脳波をどの部位から発せられたものかを特定できる解析法のようです。
2014-06-12 18:14:19興味深い手法ですね。ソフトウェアはなんとフリーです。sLORETAのウェブサイトはこちらです。 goo.gl/uK2MFF
2014-06-12 18:14:59前島は罪悪感を回避したい傾向と関連があるという先行知見があることから、正直な人は嘘をつく場合に罪悪感を強く感じ、嘘をつくこと自体に強いストレスを感じているため嘘をつかないのだろうと考察されています。
2014-06-12 18:15:15前島と罪悪感に関する研究はこちらです。 神経的・心理的・経済的基盤から検討した罪悪感を回避する傾向 【Triangulating the neural, psychological, and economic base】 goo.gl/EcZ3cB
2014-06-12 18:16:07今回は脳波のみの検討なので今後はfMRIなどの検討を合わせて行っていく必要があると考察されていました。 それにしても脳波の解析で特定の部位の活動も検討できるなんて知りませんでした。必要なチャンネル数はかなり大多くなるようですが、画期的ですね。
2014-06-12 18:19:17