烏賀陽弘道@hirougaya氏のポエム；「若い記者たちよ」 …第二章

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。君が妻や恋人、子どもたちと過ごすはずの人生を投げうつほどの価値が、記者クラブゲームにあるのか。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。君の恋人や妻が孤独を味わい、子供たちが父親のいない生育期を送らなければならない価値が、記者クラブゲームにあるのか。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

読み手とは恐ろしい存在だ。あなたは価値判断しているつもりかもしれないが、実は価値判断されている。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

上関原発（山口県）のニュースも、高江米軍ヘリ発着場（沖縄）のニュースも東京の紙面に全然載らないのはどうしたわけか。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

スカイツリーが建設されてどうたら、なんて本当にどうでもいいから、せめて上関原発（山口県）がどうなっているのかくらい東京の紙面に載せてくれまいか。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

ぼくは怒りっぽいので不寛容なのでもない。他の人は君に感情も時間も無駄遣いしたくないから無視しているだけなのだ。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

教室とサークルとバイト先と家にしか、君の世界はないのか？

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者へ。非凡な言葉あるいは非凡な発想あるいは非凡な対象があなたの記事に現れているなら、あなたは何とかなる。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

群馬から７１歳女性が来た。銀座のグルメ情報を東京に住んでいるぼくよりはるかによく知っているのはテレビを一日中つけているからだそうだ。なるほど、民放テレビ局はこういう人がお客さんなんだね。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

ブログやツイッターでみんなどかどか活字を綴り始めたとたんに、新聞社や出版社が「活字離れ」という言うのをやめた。笑

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。就職活動で勝ったことが君の人生の最後の輝きだった、などという現実はつらくないか。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。あと５分で午後１１時だ。いま夜回り先か戻ったクラブでこのツイートを見ているのか。おつかれさま。今すぐキャップまたはデスクに「おれの人生を返せ」と叫んでみてはどうか。すっきりする。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

「私は人を殺していない。が、人生を無駄にしたという罪だけは認める」（映画『パピヨン』より）

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。君がマスコミの社員であるというだけで卑屈なもみ手をする人間に取り囲まれた毎日はつらくないか。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

８０〜９０年代、売れ行きが思わしくなくなった新聞社や出版社は「活字離れ」と叫んで「読者が悪いのだ」とお客を非難し始めた。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

ブログやウエブ、ツイッターが証明したのは「活字離れ」などという言説はウソで、そう言う新聞社や出版社が「読者がほしがるコンテンツ」を作れなかった敗者に過ぎないという事実だ。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。人によって差はあるが、仕事を始めて10年ほどで記者クラブ取材はプラスよりマイナスの方が上回る。どうか気をつけて。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。君が「××新聞社」「△テレビ」の記者だからその記事が書けたのではなく、何もかも君個人の努力と信用だけで実力が証明される世界が、どんなに心晴れ晴れとするか、想像してほしい。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。その心晴れ晴れとする自由な世界は、すぐそこにある。「決心」という国境線の向こうに。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。いつも「周囲の期待」ばかりを気にして、それに応えようとする人生はつらくないか。ぼくはつらかった。もう持たなくなった。だからやめた。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。多くの場合、君たちの問題は「努力が足りないこと」ではなく「努力しすぎること」なのだ。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。周囲の期待に応えようとして努力しすぎてしまうあなたの生真面目さを利用しようと待ち構えているのが、「上司」であり「先輩」であり「会社」なのだ。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

「何かが　足りないのでは　なく／何かが　多すぎる　のだ」（早川義男の歌詞）

烏賀陽　弘道 @hirougaya

仕事相手に「朝日さん」と呼ばれていたころのぼくは最低の気分だった。「烏賀陽さん」と呼ばれるようになってやっとまともな人生になった。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

若い記者よ。あなたがマスコミ企業の社員であることを魅力のひとつに計算しているような人間とだけは結婚するな。