昭和50年代の本格ミステリについて

「新本格」(87-)以前、「幻影城」近辺の本格ミステリについて。
15
ogawab @ogawab

昭和60年代の流行である「新本格」と昭和30年代の流行である「社会派」を対比する文章を時折、見かけるけど、その間に昭和50年代の「本格ミステリ」ブームが確実にある。新本格はそうした本格ブームに対するカウンターじゃなかったの?

2010-02-24 14:27:41
ogawab @ogawab

そして、昭和50年代のもうひとつの流行であるトラベルミステリーブームが忘れられていく……。

2010-02-24 14:31:24
ogawab @ogawab

@AKIYOSHI00 詳しくは新保博久「世紀末日本推理小説事情」や「法月綸太郎ミステリー塾 国内編」に当たっていただきたいのですが、笠井潔や赤川次郎、島田荘司、幻影城出身者によるパズラー勃興期が昭和50年代にあるのです。新本格との関係はかなり微妙で、僕は「別もの」と捉えてます

2010-02-24 16:04:59
ogawab @ogawab

なぜ「別もの」と捉えるかというと、読者としての実感が大きいのですが、それに加え、実作者の世代の問題もあります。あと、昭和50年代、昭和60年代、昭和70年代と分けると、アニメやマンガ等の文化や日本経済との照応の点で、見通しがいろいろよくなるのです。

2010-02-24 16:15:52
ogawab @ogawab

編集者が商売上つけたネーミングなので、ちょっと違うと思います。あと、反発は同世代からも大きかった。RT @shostakovich 世代間論争の様なものでは。「新」とすることでS60年代の新しいファンが「ウチらの年代の方が本格派だ」とS50年代のファンに対して静かな抵抗を示した

2010-02-24 16:20:25
@sugitau

新本格は島田荘司の流れを汲む形で相次いでデビューした若い本格系作家を売り出すために講談社ノベルスと創元推理文庫が結託して打ち出した概念(のはず)だから世代間闘争とかはあまり関係ないと思いますけどね。

2010-02-24 16:16:11
ogawab @ogawab

ミステリにおける「本格」というのは、「本格的な」という意味より、パズラー(謎解きに重きを置く)というジャンルを指す言葉に近いので、その点は誤解なきよう! ただ、「新本格」以降、「本格」という言葉が変容したのでは、という点は大いに議論になるところでもあります。

2010-02-24 16:26:01
ogawab @ogawab

原義的には従来の探偵小説に収まらないもの(幻想とかSFとか)を「変格」と呼んだことから始まっているので、ミステリはすべて「本格」だという立場をとる人もおります。と書いておかないと(^^;

2010-02-24 16:29:52
ogawab @ogawab

50年代本格ムーブメントは赤川次郎から岡嶋二人、平石貴樹、橋本治まで多士済々、というのは法月綸太郎が指摘しているとおり。もちろん作家として食えなくて、伝奇バイオレンスブームへ行った笠井潔、トラベルミステリーブームに向かった島田荘司といった方々もいたわけですが。

2010-02-24 18:00:02
ogawab @ogawab

食えなくてというのは正確じゃないな、食うために、のほうが正しい。

2010-02-24 18:02:51
ogawab @ogawab

そして、この裏側では「冒険小説の時代」も進行しているわけだ。

2010-02-24 18:04:31
@sugitau

あるとしたら新本格と本格の対立ではなく社会派ミステリとの棲み分けの問題だと思うけど、まあ自分が生まれてもいなかった頃の話を知ったように語るのは自重しよう。

2010-02-24 16:19:24
@sugitau

トマ・ナルスジャック曰くミステリとは「読ませる機械」である。自分にとってもミステリはそれ以上でも以下でもないので本格の定義とかわりとどうでもいい。

2010-02-24 16:24:27
kei_ex @kei_ex

ミステリ史では松本清張以降社会派が台頭し鮎川や80年デビューの島田などを除けば80年代後半の「新本格」ブームまでは「本格冬の時代」だったと語られるけど、実は昭和50年代にも本格ブームがあったという話らしい。

2010-02-24 16:26:15
@sugitau

@kei_ex へー。島田+新本格以前は本格は冬の時代って言うけど笠井、竹本、泡坂とか70年代デビューだよね?当時全然売れてなかったの?という素朴な疑問があったのでむしろ腑に落ちる話だ。パズラー勃興期という定義はやや危ういような気もしますが。

2010-02-24 17:00:14
あるふ @alphireb

@kei_ex その辺調べたことありますけど、「幻影城」関連はブームまではいかなくて、愛好家だけの局所的なムーブメントで終わった感があります。ただ竹本健治などの作品に影響を受けたのが、のちに新本格を代表する綾辻行人たちなので、日本ミステリ史的に見逃せない存在ではあります。

2010-02-24 16:39:02
糖類の上 @tinouye

@kei_ex 幻影城の連城三紀彦氏や栗本薫氏はブームまではいってないような、というのがわたしの認識。もちろん「絃の聖域」に始まる伊集院大介シリーズは好きだけども。島田荘司氏は先駆者でもブームぢゃないのと同様に。

2010-02-24 16:56:47
あるふ @alphireb

@kei_ex 新本格のときのような仕掛け人もいなかったし、当時の人気作家が赤川次郎、山村美紗など、多作で映像化しやすい作風の人たちだったこともあったと思います。映像化しにくいトリッキーな作品を一般の読者が受け入れる土壌がまだ世の中になかったということでしょう。

2010-02-24 16:52:57
糖類の上 @tinouye

@kei_ex どういうのをブームと定義するかでしょうが、綾辻氏登場後やメフィスト賞開始後のような盛り上がりではなく、もっとクローズドな感じがします。それに冬の時代といっても、笹沢左保氏や西村京太郎氏が相当量本格作品を書いていたりもするわけですし。

2010-02-24 17:16:26
あるふ @alphireb

@kei_ex そもそも「幻影城」が目指してたのは、「探偵小説」の復権であって、必ずしも「パズラー」ではなかったのではないかと。だから田中芳樹さんみたいな一般的にはSF作家な方も輩出したわけで。その点、のちの新本格ブームはかなり「パズラー」志向が明確でした。

2010-02-24 17:36:40
あるふ @alphireb

@kei_ex ですから、むしろ作風的には「幻影城」直系は「新伝綺」のほうかもしれませんね。80年代に徳間ノベルスあたりで活躍した作家たち、つまり菊池秀行であり、夢枕獏であり、そして、田中芳樹であり、栗本薫に影響を受けた作品群という意味では。

2010-02-24 17:50:03
あるふ @alphireb

@kei_ex 元発言の方がおっしゃる昭和50年代に本格作品が増えた件は、「幻影城」発というより、映像化による横溝正史作品の再評価とか、諸々の要素が重なった結果かと思います。だから当時の一般読者にはあまり「本格ブーム」という認識はなかったというのが私の見解です。

2010-02-24 18:16:35