ＡＰＨ百物語まとめ

あおぎり @samonaito

日本の家を訊ねると、彼が臓物を洗っていた。随分と鮮やかな色。新鮮そう。何の臓物？これは私の臓腑ですよイタリアくん、たまに洗ってやらないと腐ってしまいますからね。ふうん俺も手伝っていい？お手伝いの後、日本はにこにこと俺に美味しい大福をふるまってくれた。いい日だね。　＃ＡＰＨ百物語　

あおぎり @samonaito

嫌だ嫌だと日本は口元をおさえた。私はこれを失いたくない。喉元にせりあがるものを、懸命に呑み下そうとした。でもね、もう限界ね。目の前で金魚を吐いた日本に、英国は驚いた顔で、何だそれは、と言った。あなたへの慕情です、と日本は答えた。「私たち、お別れしましょう」＃ＡＰＨ百物語

あおぎり @samonaito

スペインの背中にファスナーがある。彼が寝ている間にベルギーがこっそり開けてみると、中からは巻き毛に緑の目をしたかわいらしい男の子が。ベルギーを「おかあさん」と呼び、スペインを「おとうさん」と慕う少年を、誰にも見せずに彼女は自室でこっそり育てていた。

あおぎり @samonaito

@samonaito スペインの屋敷を出て行く日。ベルギーはその少年の首をぎゅうぎゅうと絞めた。「殺すん？」「それが母親の情けやで」「勝手やなあ。おとうさんに相談もせんと」「いい加減にしい。うちは確かにあんたの母親や。でもな、あんたの父親は、うちの脳みそなんよ」　＃ＡＰＨ百物語

あおぎり @samonaito

＃ＡＰＨ百物語　とは、夏なので「怪談」をテーマにしたお話が見たいなあと作成したタグです　ＢＬＧＬＮＬ等、ＣＰ何でもありです　勿論ＣＰがなくてもかまいません　「怪談」と言っても、厳密な規定はありませんので、奇妙な話、怖い話という風にふわっと考えて自由に書いていただければ！

∠浅葱 @heatshapedgear

水面を覗く度硝子に映る度鏡を見る度、トーリスは顔を青くする。僕と目を合わせ、血の気を無くす。犬みたいに首を振って僕を無視する。ねぇ、どうして？僕は君を追いかける。僕は全部覚えてるよ、君が優しくしてくれたこと、愛してくれたこと。この胸に突き立てられた刃も、熱い血も、 #ＡＰＨ百物語

なかの @nkn0x0

「かつてこの世界には国家という制度があり、数々の悲劇を引き起こしました」本田先生が淡々と読み上げる授業は眠い。先生って見た目は少年みたいだけどいくつなんだろう？「私たちの生きる22世紀は国家の解体と世界政府の樹立という、歴史上類を見ない最高の平和とともに幕を開け、　#ＡＰＨ百物語

∠浅葱 @heatshapedgear

(立)無い、ないない見つからない。おっかしいなー、どこ置いたっけ。思い出せないとか、俺も惚けが始まったのかなぁ。それとも、どっかに落っことしてきたのかな、フェリクスやイヴァンさんに悪戯で隠されちゃったのかなぁ。｢あの、すみませんが、誰か俺の眼球…見ませんでした？｣ #ＡＰＨ百物語

yen（留守） @golden_wheat

ガイドブックには載ってないけど夕暮れのパリはお薦めだよ。時代劇風の格好をした人が沢山いて、お兄さんもよくデートしてるんだ。ロココ調ドレスを着たお嬢さん方がライトアップされた街並みを見て喜ぶのが可愛くてさ。君のベッドに行きたいな、て言うと大抵断られちゃうんだけどね。 ＃ＡＰＨ百物語

yen（留守） @golden_wheat

仕事がありますし台風ニモ負ケズ出勤しようと思ってました。なのに朝、起きようとしたら体が動かないんです。周囲の棚がひっきりなしに開く音もするし布団の中で震えていたら徹夜続きのせいでしょうか、また寝てしまいまして。結果的に疲れは取れましたが、何だったんでしょうねえ。 ＃ＡＰＨ百物語

あおぎり @samonaito

五人姉妹が美しい男の夢を見た三月後、父親は処女である娘たちの妊娠に気づいた。十月経ち、娘たちは出産した。一組の腕を、一組の脚を、胴体を、頭部を、そして脈打つ心臓を。血の中で完成したのは、夢で見た男であった。インドの地に、その大地の主人であり奴隷である男が降り立った。＃ＡＰＨ百物語

あおぎり @samonaito

内臓を摘出し、干上がった塩湖の湖底から採取した塩に７０昼夜あまり浸し、布でぐるぐる巻きにして、貴方の魂がいつかこの器に戻る時を、私はアヌビスと一緒に待っているのだ。私はもうどれほど、貴方の巨大な木乃伊の中で暮らしているでしょう。おかあさん、あなたはまだ帰らない。#APH百物語

yen（留守） @golden_wheat

レスターに再埋葬される元上司は、毎夜俺の元へ訪れる。自分が主人公(稀代の悪役だが)の戯曲があると知って内容が気になるというのだ。全く、読み聞かせなんて何百年ぶりだ。気付いたのは髭の誕生日が過ぎてからだった。今年の七月、泣きながら眠る夜を俺はまだ過ごしていない。 ＃ＡＰＨ百物語

∠浅葱 @heatshapedgear

｢…入るかい？｣ 雨降る道端、小さな地蔵の前に立つ菊に傘を差し出した。｢あら…、ありがとうございます。でも…この人数はムリですから｣変なこと言うなぁ、君１人じゃないか。…ただ、菊の両手は緩く握られてた。手を繋いでるみたい。どこからか子供の笑い声が聞こえた、気がした。#APH百物語

∠浅葱 @heatshapedgear

…うう、明らかな寝不足。冷水で顔を洗えば眠気は一瞬飛ぶけど、隈も思考の靄も薄れてはくれない。｢…けど、仕事もイヴァンさんも待ってくれませんもんね…｣溜め息を吐く。と、鏡の中の自分に笑いかけられた。なんだか元気が出た気がして笑い返す。今日も頑張るか。僕は眼鏡をかけた。#APH百物語

あおぎり @samonaito

アーニャ・ブラギンスカヤは美しい娘で、多くの恋人を持って来たが、なぜか彼らは寝室に招かれた翌日には彼女から逃げ出していた。ある夜、俺は裸の彼女の脚を開く栄誉を授かった。脚の間で艶めく中からは、両眼がのぞいていた。「何の用だチンカス野郎」と彼女の弟の声が聞こえてきた。＃ＡＰＨ百物語

yen（留守） @golden_wheat

冬の夜見張りに立てば寒さは頬をぴしぴしと打つ。かじかむ手で煙草を出したがマッチが見付からない。ぱちり、弾けた火花がこちらに近付く。「すまないのである」気配だけ感じながら深く吸い込めば隣からも細い煙。やがて地平線が赤く滲みだす。ふと隣を見ればそこには誰もいない。 ＃ＡＰＨ百物語

yen（留守） @golden_wheat

夜、目を覚ましたのでミルクを飲もうと食堂へ参りますと、薄闇の中、遠い戦場に行った筈の兄様が青白い顔で壁をじっと睨んでいる姿が浮かんで見えたことがあります。呼ぼうと思った途端にかき消えた、けれどあれは確かに兄様でした。壁は東側、戦場で兄様は朝を待ってらしたのです。 ＃ＡＰＨ百物語

花拾は瀕死 @hana_hiroi

＃ＡＰＨ百物語 子氷でほんのりなお話。140字に収まらなかった… 子どもの頃。 お昼に出たスープの人参を残してノーレに叱られた僕は、リビングの暖炉の中に隠れていた。しばらくいじけているうちに眠ってしまったようで、僕を… twishort.com/0HOfc

yen（留守） @golden_wheat

戦争なんてお下品なものですね。オペラ座から歌声が聞こえた時、だから私は必死に駆けた。髪に椿を挿したプリマが楽団とコーラスを従え歌う。Godiam! 最後の余韻が消え、手を叩いた私は瞬間、瓦礫の中に取り残される。それでも、いえだからこそ、私は手を叩き続けたのです。 ＃ＡＰＨ百物語

∠浅葱 @heatshapedgear

白皿を埋める蟻の大群、菊は無表情に１匹１匹スプーンで潰す。｢何これ？｣｢声にならなかった本音の処理です｣けど蟻は多すぎて、潰す前に皿から逃げる。菊の顎によじ登る１匹を俺は潰してあげた。ぷちん。｢…有難うございますフェリシアーノ君｣微笑む唇から、もぞり、蟻が這い出す。#APH百物語

あおぎり @samonaito

何の柄でしょう、と本田菊が着物を広げて訊ねたので、アルフレッドは朝顔と答えた。「いえ、庭です」数年後の冬、本田が亡くなり、形見にアルが受け取ったのは銀鼠色の雪景色の着物であった。春には着物に桜が咲いたが、世話が悪く、そのうちただの枯れ草色の着物になってしまった。#APH百物語

あおぎり @samonaito

ハワードの主人はよく屋敷の中で姿を消す。ある日、使われてない客室に主人が入るのを見、彼も中へと続いた。しかし誰もいない。ふと、壁にかけられた、森の中を描く絵画の中に、奇妙な足跡が描き込まれているのに気がついた。木々の間に金髪が見えた気がしたが、すぐに消えてしまった。#APH百物語

あおぎり @samonaito

フランシスは南の島の娘と結婚しパリに新居を構えたが海を恋しがって妻は元気がなくなっていった。ある日彼が帰宅し玄関の扉を開けると海水があふれだした。泳ぎながら妻を探すと浴室に広がった故郷の海で妻が手を振っていた。「迎えに来てください」今では南の島で二人は暮らしている。#APH百物語

光合成する抹茶アイスの苗の妖精 @soundwing07

フェリ「学校の七不思議で、誰もいない音楽室からピアノの音が聞こえるっていう話があるけれど、あれ、ローデリヒさんだよ。放課後、ピアノと女の人の歌声が聞こえたから音楽室のドアをノックしてみたんだ。そしたら、ピアノの音が止んで、中からローデリヒさんが出てきたもの。」　#APH百物語