ライク・アズ・ドラゴン＃３

劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾

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【ライク・アズ・ドラゴン】＃３

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（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss を使用していただけると大変ありがたいです。遂に艦これが関係なくなりましたが、宜しければ暫くの間、お付き合い下さいませ）

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深夜０時。日はとっくに沈み、満月が頂天に登る時間。ベアフィールド・ヤクザクラン組長、火熊隆信の本邸は、古い作法に則り無数の篝火が焚かれ、赤々と照らしだされていた。円陣を組む篝火の中央にいるのは、道着に身を包んだ火熊と、白いたすきをかけた、火熊の娘、麗。 1

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「……これ、ルールどうなってんの？」「オヤジはお嬢のたすきを切れば勝ち、お嬢はオヤジから奥義を引き出せば勝ちです」縁側には、伝承の儀の見届け人となった提督と鍋島が座っている。「ま、親父さんがどれほどの腕だか知らないけど、熊野は強いよ？私が見てきたから間違いない」 2

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「フゥー……ヌウンッ！」岩を前にした火熊が腕を振る。鈍い音と共に岩が吹き飛び、提督の隣の障子に散弾じみた穴を開けた。「何これ」「神戸水鳥拳ですが」「私の知ってる神戸水鳥拳と違う」「準備はいいか、麗」「……いつでも、よろしくてよ」震える提督をよそに、麗と火熊は拳を構えた。 3

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Ryu ga Gotoku 3 OST - 26 - Lyricism Without Tears: youtu.be/0GoeKzH8zQg @YouTubeさんから

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「トォォォン！」「グォォォン！」二人が飛び出したのは同時！戦闘開始！かたや奇妙な叫び、もう片方は獰猛な唸り声を上げ、手刀を振り下ろす！ガキィンッ！空気を切り裂くような金属音！「どぉうりゃあっ！」「くぅっ！」火熊のパワーが、麗をむりやり弾き飛ばす！ 4

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「あのー、鍋島さん？今凄い音がしたんですけど、あの親父さん、腕に篭手とか仕込んでません？」「何を馬鹿な。神戸水鳥拳は敵を切り裂く技、ぶつかり合えばああいう音になります」「もう深海棲艦も倒せるんじゃない？」「何を馬鹿な。鋼鉄に素手で穴を開けられますか？」「訳が分からないよ」 5

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「ヒャアッ！」吹き飛ばされた熊野が再び攻めこむ！喉への突き、そこから回転して裏拳、更にミドルキック！しかし火熊は難攻不落の巨城めいて揺らがない！「シャアッ！」丸太のような腕が熊野の胴を狙う！たすきが空気に巻かれ、危うげにはためく！まだ無事だが、これを切られては敗北だ。 6

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「どうしたどうしたぁ！踏み込みが足りないぞ、レェェェイ！」火熊が腕を振る度に、麗の耳元で拳風が唸る。掠めただけで肌を切り裂く剛拳だ。防御が苦手な麗には、たすきを気にするのが精一杯で力強く踏み込めない。「ならば！」力強く叫び、熊野が跳ぶ！ 7

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「とおうっ！」頭上から放たれる飛び蹴り！火熊はこれを腕でガード！その強固な腕を足場にして、熊野はもう一段高く跳躍、そして急降下！「神戸迅襲嘴斬！」その身を真空の徹甲弾と化し、眼下の火熊に突撃！流石の火熊もこれは受けられず、とっさに横っ飛びで避けた。 8

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「フゥー……確かに腕を上げたな、麗」火熊の道着の左腕部分が切り裂かれていた。切り口がじくじくと血に染まる。手応えあり。提督が拳を握る。その後、火熊は麗に告げた。「本気でかからなきゃならんか」火熊が大地を踏みしめる。ドスン、と重苦しい足音が、提督にまで響いた。 9

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「トォォォン……」火熊の呼吸が変わる。先ほどまでの荒々しい獣の呼吸とは違う。研ぎ澄まされた拳法家の息だ。空気が変わり、プレッシャーが熊野を覆う。額をつぅっと汗が滑る。そして、闘気が爆ぜた。「ハァッ！」「ひゃあっ！？」火熊の両手から突き出された闘気が、麗を吹き飛ばす。 10

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「神戸水鳥拳・掌波滅風陣」更に火熊が駆ける！闘気の波でバランスを崩した熊野を容赦なく蹴り上げ、自身も後を追って跳躍！「せいやぁっ！」拳に闘気を纏わせチョップを放つ！麗はこれを辛うじてガードするが、圧倒的パワーにより地面に叩きつけられる！そこに振りかかる火熊！ 11

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「ッ！」間一髪、地面を転がって火熊のストンプを回避！だが、立ち上がった麗を待っていたのは、両腕を交差させ息を整えた火熊だった。「切り裂けッ！南斗凄気網波！」迅風と共に、火熊の両腕が消失した。一瞬後、彼の両腕があるべき場所に戻ると同時に、熊野の全身が切り裂かれた。 12

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「こいつは……」見守っていた提督は言葉を継げなかった。あの技は以前見たことのある技だが、破壊力が桁違いだ。熊野だけでなく、その背後に並んだ木々をも粉微塵である。「防いだか」火熊が呟く。麗はまだ立っていた。体は傷だらけだだが、たすきは無事だ。まだ、戦える。 13

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火熊は追撃を仕掛けようとし、足を止めた。麗の目は死んでいない。麗が艦娘になる前、一度継承の儀を行った時は、火熊のパワーに圧倒され最後には戦意を喪失していた。だが今、彼の亡き妻譲りの青い目の奥には、確かな闘志の炎が灯されている。青い炎が、すうっと寄ってきた。 14

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「ッ！？」音もなく間合いに入った熊野に、火熊は反射的に拳を繰り出した！「激流を制するのは」だが熊野は拳の外側に流れるように回りこむ！動く先にあるのは、火熊の脇腹！「静水！」掌底！内蔵に衝撃が走る！「ぐうっ……！？」初めて火熊が表情を歪めた！ 15

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「シャアッ！」火熊が吠えた。先ほどの奥義にも劣らぬ高速の連撃が繰り出される！だが熊野は致命的な暴風を躱し、いなす。たすきはひらひらと舞い続けているが、先ほどのように千切れそうな危うさは孕んでいない。火熊の拳と威力を完全に見切り、熊野は的確にカウンターを打ち続ける！ 16

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「柔の拳！？」鍋島が身を乗り出した。彼とて火熊の部下である以上、拳法にはそれなりに詳しい。熊野の動きが幻の暗殺拳・京洛神拳の物であることは一目で分かった。だが、どこであんな技を？「戦いの中で身につけたんですよ。熊野はウチの鎮守府のベテランですから」提督が自慢気につぶやいた。 17

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「家の中でちゃんとした修行を積むのも大事ですが、強敵と拳を交わすこともまた成長です。それに、毎日毎日、晴れの日も雨の日も、あの子は神戸水鳥拳を特訓してたんです。私は拳法は分かりませんけど……昔より成長してるってことはハッキリ言えます。ずっと見てきましたからね」 18

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「ずえりゃあっ！」火熊の膝蹴り！熊野はその岩めいた膝に両手を重ね、火熊の膝上でウインドミルを放つ！なんたるバランス感覚か！「ヒョウッ！」踵が火熊の顎を打ち抜く！「ガッ……」よろめく火熊、その頭上を熊野が跳び越える。彼女の体は、練り上げられた気により青く輝いていた。 19

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「トォォォン……」静かに、だが力強く熊野が息を吐く。今の今まで神戸水鳥拳を使わなかったのは、練り上げた気を一分も発散させないため。そして今、溜め込んだ気を吐き出す時が来た。それに気づいた火熊も、己の気を整える。「とぉぉぉん……」溢れだす二者の気が逆巻き、渦を描く。 20

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「行くぞっ！」二人が青白い光を残して、跳んだ。「あれはまさか！？」「ああ、神戸水鳥拳奥義・飛翔白麗だ！」奥義を伝授されずとも、熊野は見様見真似であの技を繰り出すことができた。火熊もそれに気付いて跳んだが、気を練り続けていた熊野よりも僅かに低い！ 21