少子化と福祉をめぐる素人的考察(「一億総中流」幻想の弊害とロスジェネの「あきらめの境地」?)

10
直立演人 @royterek

「産め」の次は「働け」?配偶者控除見直し?安倍政権なに言ってんだ!保育園整備が先だろ!――ワーキングマザーぶちまけ座談会|配偶者控除見直しの是非を考える|ダイヤモンド・オンライン diamond.jp/articles/-/564… @dol_editorsさんから

2014-07-23 13:49:15
直立演人 @royterek

去年の春まで一年間イギリスで暮らしていたが、イギリスの保育所では週に10時間まで無料で4歳児までの面倒を見てくれる。しかも自分達のような外国籍の者でも、居住証明さえできれば例外なく無料。保育所は至るところにあり、あぶれることはまずなさそうだった。少子化対策に対する本気度が窺えた。

2014-07-23 14:32:25
直立演人 @royterek

4歳児までの保育が週10時間無料というイギリスの制度は実に合理的だ。仕事をしている親にとって保育料の負担が減るだけでなく、仕事をしてない親にとっても、お金を払わずに育児からつかの間解放される。日本では、仕事をしていない親が保育所に預けるのは金銭面はもちろん、心理的ハードルも高い。

2014-07-25 12:37:05
直立演人 @royterek

そもそも女性も働きながら子育てを安心してできる環境を確保するというのは、少子化対策以前に近代国家として当たり前にやるべき施策。逆に言えば、少子化の問題がこれほど深刻でなければ、そういった発想や努力は必要ないのかという話。この国では、問題が深刻化してもなお、発想がおかしいわけだが。

2014-07-23 14:58:06
直立演人 @royterek

イギリスも基本的にはネオリベ路線で格差は広がる一方なのだろう。しかしそれでも、保育(週に10時間は無料)、医療(予約して数日間待たされるが)、子ども好きそうな博物館などの娯楽施設などは軒並み無料だし、生活必需品には消費税がかからない等、貧困層に負担がかからないような施策が目立つ。

2014-07-24 00:19:58
直立演人 @royterek

それに引き替え、日本では低所得者層を特別に配慮した根本的な施策は乏しいように見える。これは、「一億総中流社会」幻想がいまだに(低所得者層も含めた)社会全体で尾を引いている結果ではないか。そしてこの幻想の裏返しが、「自己責任」なる言葉の横行や生活保護フォビアに顕れているのだと思う。

2014-07-24 00:28:31
直立演人 @royterek

このことを鋭く感じたのは、先の都知事選における宇都宮健児さんの選挙キャンペーンを追っていた時である。宇都宮さんは「貧困層の救済」を政策の看板に掲げており、私はその方向性に100%同意していたものの、「貧困」を強調し過ぎるのは少なくとも選挙キャンペーンとしては得策ではないと感じた。

2014-07-24 00:35:04
直立演人 @royterek

というのも、この国では「一億総中流」幻想があまりにも根強いために、当の低所得者層ですら、自分たちが低所得者層や貧困層であるという事実を受け入れたくないような心理が働き、その結果、「貧困対策」なる標語自体にすら嫌悪感や忌避感を必要以上に覚えてしまうのではないかと思えてきたのである。

2014-07-24 00:42:22
直立演人 @royterek

とりわけ、バブル経済の恩恵をふんだんに享受してきた時代を知る世代の人々にとっては(私もその一人だが)、自分が「低所得者層」や「貧困層」とカテゴライズされることは、心理的な抵抗を感じてもおかしくない。生まれ育った家庭環境が「中流」だったならば、なおさらそうした抵抗感も大きいだろう。

2014-07-24 00:46:59
直立演人 @royterek

他方、ロスジェネ世代と呼ばれる若者の多くは、上の世代と比べて客観的にはあらゆる面で割を食ってるにもかかわらず、自分たちの世代全体が(一部のエリートを除けば)似たり寄ったりの社会経済的条件にあるのだからと、よくも悪くもあきらめの境地に達し、所得などにはさほど頓着しないのではないか。

2014-07-24 01:06:01
直立演人 @royterek

所得にさほど頓着しないということは、当然ながら、結婚、ましてや子育てなど、ますます自分とは無縁な世界の物語だということになっていくのだろう。仮に頓着したいと思っても、自分の力ではどうにもならないという圧倒的な現実を目の当たりにすれば、そもそも頓着する気力さえも失っていくのだろう。

2014-07-24 01:15:06
直立演人 @royterek

この私の勝手な見立てが必ずしも的外れでないとすれば、この「あきらめの境地」は、ソ連時代のエリートを除いた圧倒的多数の庶民の感覚に近いのではないかと察する。彼らの多くは、自分たちがいかに努力しようとも、出世や社会的名声を得ることなど全く望めないので、ミニマムに生きる処世術を学んだ。

2014-07-24 01:23:17
直立演人 @royterek

だが、ソ連時代の圧倒的多数の低所得者層と日本のロスジェネ世代の若者が置かれた社会的環境には天と地の差がある。前者にとって、少なくともみな同じ程度、居住、出産、保育、教育、労働、休暇等の必要最低限の暮らしが保障されていたのに対し、後者の場合、ほとんどすべての点で保障の限りではない。

2014-07-24 01:32:11
直立演人 @royterek

かつてモスクワに留学していた時、飼い犬か野良犬かよくわからないのに片足の脹脛を咬まれたことがあった。貧乏留学生だったので途方に暮れていたところ、ロシア人の友人が近所の診療所に連れていってくれた。そこで得体の知れない注射を背中に打たれたが、腫れが引いた。費用を心配したが無料だった。

2014-07-24 02:50:20
直立演人 @royterek

同じ年、歯痛が止まらず絶望的な境地に陥っていたところ、やはり同じロシア人の友人に連れられて近所の診療所に行ったところ、得体の知れないやり方だったが、応急処置を施してもらったら、痛みが引き、帰国するまでもった。その時も無料だった。友人に無料の理由を聞くと、そうだからとのことだった。

2014-07-24 02:54:31
直立演人 @royterek

一昨年から去年にかけてイギリスに暮らしていた時、一週間以上も咳が止まらなくなった。イギリスには無料の診療所があると聞いていたので、とりあえず行ってみることにした。予約した日から一週間後に来るようにと言われて、一週間ほど咳に耐えた後、いざ行こうとしたら収まったので結局行かなかった。

2014-07-24 02:59:18
直立演人 @royterek

イギリスの診療所は、子ども以外は予約してもすぐさま診てくれないというのはある意味で致命的であり、評判は悪いが、完全に無料である(金持ちはバカ高い診療所に行く)。ロシアでは、今はどうか知らないが、少なくとも1990年代後半の段階で、誰でも無料で診てくれる診療所がそこかしこにあった。

2014-07-24 03:04:00
直立演人 @royterek

ロシアの診療所は明らかに社会主義時代からの名残であり、イギリスの無料診療所も、イギリスに特有の労働者階級向けの社会主義的精神の制度的名残だろう。いずれの診療システムも、制度的に欠陥があったり、医療水準も最低限のものに違いない。しかし、心理的にこれほど有り難いシステムはないと思う。

2014-07-24 03:09:03
直立演人 @royterek

対して、日本社会の最低なところは、集団主義が高度に発達しているにもかかわらず、あるいはそれ故に、生活保護受給者に対する偏見やバッシングが横行するとともに、「自己責任」なる用語が大手を振るって歩いていることなどである。

2014-07-24 03:29:58
直立演人 @royterek

震災などの災害が起きれば「助け合いの精神」などといった口当たりのいいスローガンで公共空間が埋め尽くされはするが、その実、それは一過性のものでしかなく、通常は、集団主義的陰湿性を伴ったハイパー個人主義が社会全体を覆い尽くしているかのように思えて仕方ない。極端でグロテスクなまでに。

2014-07-24 03:32:12