(兄→金←福)陰間パロツイまとめ

呟いてたら長くなってきたので自分の中での整理も兼ねてまとめ。小説じゃないょ 尻切れですが終わりましたヾ(:3ノシヾ)ノシ
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めり @tsr10_

@h_tsr91 どれだけ時間がたったのか、そろそろ茶屋の者に不審がられるかという時おもむろに寒咲が立ち上がった。ゆっくりお真の傍らに腰を下ろし、お真の指が微かに跳ね、そのまま再び沈黙が流れる。寒咲はしばし鳥の囀りに耳を傾けていたが、不意にそっとお真の肩を支え上げ、両頬を挟んだ。

2014-08-16 02:48:02
めり @tsr10_

@h_tsr91 「約束してくれ、お真。穢れたなど、価値がないなどと己を貶めてくれるな。簡単に己の命をやるなどと、二度と言ってくれるな」静かだが厳しい口調で寒咲は諭すと、ふっと表情を和らげた。「恋仲でも家族でも、俺は構わないよ。俺の大好きなお真ちゃんが泣いているのが一番辛い」

2014-08-16 02:55:42
めり @tsr10_

@h_tsr91 寒咲が親指でお真の目元を拭うと、それまでなんとか平静を保っていたお真の表情がくしゃりと歪んだ。「簡単になど、申しておりません…!」「じゃあ簡単じゃなくとも駄目だ。俺がお前の命を奪えば満足するみたいじゃないか。大事な人が出来ましたと一言言ってくれたらそれで良い」

2014-08-16 03:04:14
めり @tsr10_

@h_tsr91 「もし申し訳ないなどと思うのならば俺のところにおいで。俺の店で精一杯働いておくれ。どうせ福富の野郎もウチまで顔を出しに来るだろう。お前を預かる者として奴が骨のある男かどうかこの際しっかり見極めてやるさ。俺だってそう簡単にお前を引き渡すわけにはいかないんでね」

2014-08-16 18:09:04
めり @tsr10_

@h_tsr91 「しかしわたくしは」「しつこい。お前は俺を裏切ってなんかいない。恋心だと思い込んでいたが違った、だから何だ。俺がそんなことでお前に幻滅すると?」寒咲はお真をひしと抱き寄せる。「人を想う気持は恋心が全てじゃない。お前がたった今話してくれたじゃないか。俺も同じだよ」

2014-08-16 21:42:41
めり @tsr10_

@h_tsr91 「それとも、お真は俺のことが嫌い?」寒咲は少し腕に力を込めて囁く。お真は返事をしようとするも息が震え声にならなかった。瞳からほろと雫がこぼれ落ちたかと思うと次から次へと溢れ出し、自分の意思ではどうしようもなくなる。しかし、しゃくり上げる嗚咽が十分な答えだった。

2014-08-16 21:54:18
めり @tsr10_

@h_tsr91 「お真。ここを出たら、お前を真護と呼んでもいいかな」お真が少し落ち着いた頃、背中を優しくさすりながら寒咲が問う。「もしかしたら例の人の特権なのかもしれないが。俺だってお前を本来の名で呼びたいし、外でお前みたいないい男のことを”お真”と呼ぶのは気が引ける」

2014-08-16 23:35:19
めり @tsr10_

@h_tsr91 「例の人の特権と言うなら考えるけれど」「いいえ」口を挟むお真の声は小さいがもう震えていない。「ただ、お願いがございます。二人きりの時で構いません、時々お真と呼んでいただきとうございます。薄暗く、孤独で、しかし御縁を与えてくれたこの茶屋を忘れぬように」

2014-08-16 23:47:07
めり @tsr10_

@h_tsr91 (アッ台詞重複してる寒咲さんメンゴ)

2014-08-17 18:04:49
めり @tsr10_

@h_tsr91 お真の身請け話はすこし日が経ってから進められた。噂はあっという間に広まり、妓夫の田所は心から祝うと共におんおん泣いた。「しかし、福富の野郎はどんな反応をするだろうな」「『うむ』の一言だった」「は?もう話してたのかよ!?」「ああ。それに既に分かっていたのだと思う」

2014-08-17 00:14:16
めり @tsr10_

@h_tsr91 「さすがのあいつも諦めてたって訳か」「いいや、それは違う」「うん?」「俺は寒咲様に御恩を返しに行くのであって、別に恋仲になるわけじゃない」「…おいまて、冗談言っちゃあいけねえぜ」「ふふ。そろそろ部屋に戻るよ。今宵きっと福富様がいらっしゃるから、宜しく」

2014-08-17 00:23:03
めり @tsr10_

@h_tsr91 福富が麩を開けると三つ指をついたお真がいた。「お待ちしておりました」「…今日は"金城"ではないのだな」「これから嫌というほど逢えるでしょう?」悠然と微笑む姿は高級遊女に引けをとらない美しさだ。「きっと、お真めが福富様のお目にかかれるのはこれっきりだと思いまして」

2014-08-17 00:30:18
めり @tsr10_

@h_tsr91 お真が奏でる三味線の音を聴きながら、福富は初めて出逢った日のことを思い出していた。そのときもお真は三味線を爪弾き、けして下手ではないが特別上手くもないなどとぼんやり思った記憶がある。だがそれが顔に出ていたのか、ふと目の合ったお真にその目力をもって睨まれてしまった

2014-08-18 02:33:30
めり @tsr10_

@h_tsr91 そして次に聴いたときには驚く程に腕を上げており、目が合えば今度はどうだと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべられたものだ。もしかするとそのときにお真の芯の強さを感じ取ったのかもしれないなと、その当時よりずっと洗練された調べに耳を傾けながら福富は微かに微笑んだ。

2014-08-18 02:47:09
めり @tsr10_

@h_tsr91 床入り前、ふと福富が居住まいを正す。「いかがされましたか」「…この度の御身請け、改めてお祝い申し上げる。新たな地においても健やかに過ごされるようお祈り致す」「何ですか急に改まって」お真は思わず笑い、それを見て福富も表情を和らげるが真剣である。「おめでとう、お真」

2014-08-19 01:01:26
めり @tsr10_

@h_tsr91 福富の声に茶化した響きがないのを聞いてお真はひとまず息を吐いて笑いを落ち着けた。「身に余るお言葉ではございますが、有り難く頂戴致します」そうして深く頭を垂れる。そして再び顔を上げると福富がその手を取った。「悔しくないと言えば嘘になる、本当は俺が身請けしたかった」

2014-08-19 01:11:12
めり @tsr10_

@h_tsr91 「だがお前が晴れて自由になることには変わりない。俺にとって寒咲殿は目の上の瘤に等しいが感謝しなくてはなるまい。これからは逢いたいときに逢える。他愛のない話も喧嘩も、お天道様の下で堂々とやるんだ。そして寒咲殿にも気にってもらえた頃、今度は俺がお前を迎えに行くよ」

2014-08-19 01:18:57
めり @tsr10_

@h_tsr91 「だからお前もそれまで待っていろ。心配せずとも俺からは逃れられやしないがな。寒咲殿が何が何でもお前を寄こさないと言うのなら、そのときは攫ってやる」お真は思わずその強い視線にのまれる。が、直後微かな笑い声をたてた。「福富…お前はいつもそうやって強引だったな」

2014-08-19 01:34:58
めり @tsr10_

@h_tsr91 「笑うな、俺は真剣だ」「そいつは厄介だな。俺とて寒咲様に嫌われたくはないから攫うのは勘弁してくれ」「…今日は"お真"で通すのではなかったのか、金城」「誰もそんなことは言ってないぞ」金城は陰間らしからぬ乱暴な仕草で福富を褥に引き倒した。珍しくケラケラと笑っている。

2014-08-19 01:42:53
めり @tsr10_

@h_tsr91 「どうせなら」笑い声はすぐにピタリと止み、金城の口元が挑発的に弧を描く。「今この場で奪ってみせろよ。身も心も、全部」福富の手を取り、指を一本一本ゆっくりと絡ませ、熱っぽく囁いた。白い襦袢と青い瞳が行灯の光を受けて薄暗い部屋に妖しく浮き上がっている。

2014-08-19 01:58:08
めり @tsr10_

@h_tsr91 「ああ、喰らい尽してやる」福富もまた口角を上げるだけの笑みを浮かべ、手を繋ぎ留められたままその唇を深く奪った。だが口吸いはそう長くは続かず、目が一度ばちりと合うとどちらからともなく離れる。「…福富」「何だ」「お慕いすると言え」「…愛している」二人はまた笑った。

2014-08-19 02:05:27
めり @tsr10_

@h_tsr91 こんな感じの福金がよみたいです(完)(筆文字)(波打ち際背景と鳥が鳴いてる音)

2014-08-19 02:32:59
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