矢野浩一(応用統計学)さんによる「経済統計の改定」問題

矢野浩一さん( @koiti_yano )がGDP統計に関する改定について解説して下さってます
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ときわ総合サービス研究所 @tokiwa_soken

25年度補正予算の88%が契約 6月末の執行状況調査で sankei.jp.msn.com/economy/news/1… 家計消費も設備投資もぜんぜんダメなので4-6月期の成長率はすごい数字になりそうですが、その分7-9は景気が急回復して(もちろん公共事業のおかげ)、消費税率の引き上げも安泰ですw

2014-07-29 23:35:00
ときわ総合サービス研究所 @tokiwa_soken

@garagononn たしかに景気対策として公共事業がどの程度有効か(持続性があるか)、というところはありますね。まぁでも7-9月のGDPの速報値の数字がとりあえずよければよい、という向きもあるかもしれません(確報が出るのは総理が「10%」の決定をしたあとなので(笑))

2014-07-29 23:44:30
雨樋 @rikuhare

.@tokiwa_soken 確報と言っても今年末に出るのは2013年のもので、2014年の確報は2015年末ですね。せめて消費増税決定は2014年確報(2015年末)まで先伸ばしにして頂きたい(∵改定値が小さくないから)です。欲を言えば確々報(2016年)まで先延ばしに。(続

2014-07-30 02:38:26
雨樋 @rikuhare

.@tokiwa_soken 2014年7-9月GDP速報での判断は危険かと。なぜならば、予算執行前倒しで高めの値が出ること、それを季調済年率換算して過大に見せますので。また、季調については、日本型休日補正はされてないしデータ端等の問題があるので、精度は如何程かというのも理由です

2014-07-30 02:49:09
yasuhiro @yasuhiro392

鉱工業生産や失業率といった重要指標が頭打ちを示しはじめているのに、増税の反動減和らぐとか、景気の上方修正とか、つまらなすぎるギャグとしか思えないのだが。 戦況苦しいが、そんなこと知られたらまずいのど、なんとか取り繕い、消費税率10%に向け戦意向上させているんでしょうか。

2014-07-30 09:46:56
矢野浩一 @koiti_yano

「経済統計の改定」問題というのは実は「地味に深刻」です。これまでも問題でしたし、今後も深刻な問題になると思うので、少し呟きます。@tokiwa_soken @rikuhare @shinchanchi

2014-07-31 01:05:44
矢野浩一 @koiti_yano

[経済統計の改定問題] 皆さんは会社員だとします。ある日、社長がやってきて「我が社は業績がいいので、ボーナスは10万円アップです!」と言ったとします。ボーナスが払い込まれた後、また社長がやってきて「よく調べたら我が社の業績は実は悪かったので、アップした10万円を返してください」

2014-07-31 01:13:43
矢野浩一 @koiti_yano

こんなことがあったら、地味に嫌な問題ですよね?でも、経済統計(国や公共団体等が作成する経済データのこと)では、こういう問題はよく起こるのです。経済統計には国内総生産(GDP)、消費者物価指数(CPI)、完全失業率などがあります。ちなみにこの3つはマクロ経済学の授業で必ず学びます。

2014-07-31 01:18:55
矢野浩一 @koiti_yano

これら「三大経済統計(GDP、CPI、失業率)」で最も重要な指標はGDPです。GDPは大雑把に言えば「日本経済の規模」を表します。「日本経済の規模」ですから、景気が良ければGDPは増加し、景気が悪ければGDPは減少します。そのため、政府が最も重視する経済統計でもあります。

2014-07-31 01:24:38
矢野浩一 @koiti_yano

問題なのは「日本経済は極めて大きい」(つまり日本経済の規模は世界でもトップレベルの大きさ)なので、GDPを作るのには「非常に長い時間がかかる」という点です。GDPは最初に「四半期毎のGDP」が作られ、その後「1年分のGDP」が作られるのですが、最初の発表から何度も改定されます。

2014-07-31 01:32:52
矢野浩一 @koiti_yano

たとえば、今年の第2四半期(2014年4月〜6月)のGDPは来月8月13日(水)に発表されます。これを「1次速報」といいます。この時点では法人企業統計という重要な経済統計が未発表なので、それを加えて改定したGDPが9月8日(月)に発表されます。これを「2次速報」といいます。

2014-07-31 01:41:46
矢野浩一 @koiti_yano

まず問題なのは、「1次速報から2次速報」の間にGDPが大幅に改定されることが少なくないという点です。まあ、「大幅に」というのがちょっと主観的な言葉なので、どの程度を「大幅に」というかは人によりますが、個人的には少しびっくりするくらいGDPの値が改定されたりします。

2014-07-31 01:44:34
矢野浩一 @koiti_yano

さらに、2次速報の後、さらに改定された「確報」が出るのは来年(2015年)12月です。@rikuhareさんが言っているのはこの話ですね。 twitter.com/rikuhare/statu…

2014-07-31 01:52:23
矢野浩一 @koiti_yano

「2次速報でいいじゃん。来年12月の確報(今年2014年のGDPの確報です!)まで待つ必要あるの?」と思う人もおられるかと思います・・・が、実は昨年(2013年)12月に「2012年度の実質GDPがこれまでの前年比1.2%から0.7%へ大幅に下方修正」という出来事が起こりました。

2014-07-31 01:56:10
矢野浩一 @koiti_yano

この出来事は結構深刻な問題で、矢野のように実証を行う研究者や多くの民間エコノミストの方々が(2012年度の実質GDPの大幅下方修正に)みんな頭を抱えた・・・という出来事でした。たとえば、jcer.or.jp/angle/print467…

2014-07-31 01:58:51
矢野浩一 @koiti_yano

で、まとめると(1)GDP(国内総生産)は日本経済の規模を包括的に表す重要な経済統計である、(2)しかし、確報が出るまで何度も改定されるためそれを政策判断に用いることには慎重でなければならない。それだけでなく他にも問題があります。

2014-07-31 02:07:25
矢野浩一 @koiti_yano

.@tokiwa_sokenさんが言うように、 twitter.com/tokiwa_soken/s… 今、「公共投資の前倒し」をやっているというのはGDPによる政策判断を間違わせる原因であると思います。建築業は供給制約下にあると思いますが、それでも効果ゼロということはないでしょう。

2014-07-31 02:10:08
矢野浩一 @koiti_yano

なお、公共事業って、最初に受注・着工した時点で換算すべきか、完成した時点で換算すべきかとかいろいろあって、複雑なので、矢野も分からないことが多いです・・・特に今のように建築業の供給制約が深刻な場合、受注してもなかなか工事が進まないのが現状だそうなので・・・

2014-07-31 02:16:07
矢野浩一 @koiti_yano

最初に挙げた「社長がやってきて『よく調べたら我が社の業績は実は悪かったので、アップした10万円を返してください』」と似たことは経済統計ではよく起こります。年末にかけて「消費税率10%への引き上げ」論議がなされるでしょう。政府にはGDP以外にも総合的に判断してもらいたいものです。

2014-07-31 02:21:01
矢野浩一 @koiti_yano

[補足] 第2四半期(2014年4月〜6月)のGDPは「1月〜3月に駆け込み需要」の反動減で落ち込みますが、その反動減が終わる第3四半期(7月〜9月)は「GDPが急回復する」ことはほぼ明らかです。こういう現象を「死んだ猫でも高いところから落とせば弾む」といいます。猫が可哀想。。。

2014-07-31 02:27:51
矢野浩一 @koiti_yano

「死んだ猫でも高いところから落とせば弾む」は元は英語で"Dead Cat Bounce"といいます。やはり猫が可哀想ですね。(矢野は犬派ですが)

2014-07-31 02:29:49
ときわ総合サービス研究所 @tokiwa_soken

@koiti_yano そうですね。問題は2つあって、ひとつはQEの段階では公共投資が実際にきちんと出ているかわからないこと(確報で大幅に下方修正されることも)。もうひとつは、成長率の数字だけが一人歩きして、内訳(需要項目別の)の点検が疎かになること(特に永田町で)だと思います。

2014-07-31 02:42:57
雨樋 @rikuhare

.@koiti_yano 2014年確々報(2016年)もお忘れなく。∵確報(2015年末)から工業統計表品目編などの新たなデータが加わり確報を改定しますので。出来れば消費増税決定は2014年確々報(2016年)まで先延ばしにして下さい。速報性と正確性はトレードオフの関係ですよ。

2014-07-31 03:15:31