アイドル・アンド・ハリセン・ライブ#1
- arisa765_fake
- 1752
- 0
- 0
- 1
◆鯛◆ドーモ、皆さん。ヘッズシホです。いつもお世話になっております。このなんかbotも皆さんのおうえんでよくやってると思う。それを記念してちょっとしたプログラムを放送する。これは決定事項だ。慈悲はない◆鳥◆
2014-08-03 12:00:24◆亀◆とはいえ、皆さんにはミュートとかブロックなどの機能を使える。実際お目汚し重点なのでそれらの使用は自由であり権利だ。使おう。もしくはカラテだ。備えよう。しかし、公式本編の更新があった場合、速やかに実況行為に移行する。カラテだからだ。それではヨロシクオネガイシマス◆猫◆
2014-08-03 12:05:04そして、その夜。
どんよりと澱んだ曇り空は、ここネオサイタマにおいてはもはや常識と化した風景である。むしろ、人体に悪影響を及ぼす重金属酸性雨が止んでいる今日のような日こそ珍しいだろう。それ以外は普段通り、街頭スクリーンの中では流行のアイドル達が最新曲を披露している。
2014-08-03 21:10:08天を衝く一等地高級ビル群の中に一際高く聳える建物あり。広大な敷地に巨大ビルだけではなく、レッスンスタジオ、コンパクトな劇場から大容量を誇るアリーナまでも完備したその空間こそ、ナムコ・アイドルプロが所有する本拠地だ。
2014-08-03 21:15:03ビルにある事務所には事務員が常駐し、膨大なデスクワークに追われつつアイドル達にチャやオカキを供することを生き甲斐としている。最上階には社長室があるが、実際謎めいた存在であり、ニンジャや天狗などどいう噂が実しやかに囁かれているが、実態を知る者は多くない。
2014-08-03 21:20:09地上13階では、給湯室や応接間、ザゼンルームが備えられ、時間の空いたり帰還したばかりのアイドル達の憩いの空間となっている。今日も何人かのアイドルが暇を持て余していた。……「ミライ=サン!今日の収録お疲れ様でした!」「うん!お疲れ様セリカ=サン。楽しかったね!」
2014-08-03 21:25:06ミライとセリカはナムコ所属アイドルだ。彼女たちは番組の収録を終え事務所に帰って来たばかり。そこにはもう一人アイドルがいた。ソファに腰掛けている黒長髪の少女に二人がアイサツする。「タダイマ、シズカ=サン」「ドーモ、オカエリ」シズカは奥ゆかしく微笑み、湯気を立てる湯呑を差し出した。
2014-08-03 21:30:20「そろそろ帰って来るころだと思って」「ヤッター!」「アリガトゴザイマス!」少女たちはチャを飲みながら他愛のない話に花を咲かせた。アイドル稼業の花道は狭く、バランスを崩せば容易く転落してしまう。そんな日々の平安は友人達との交流によって保たれている。ユウジョウだ。
2014-08-03 21:35:07「でね~、今日のセリカ=サンは絶好調だったんだよ!三人抜きだもんね!」ミライが興奮してまくし立てるのに相槌を打ちながら、シズカが視線を移す。テーブルの上にはセリカが置いた台本。「で、ミライ=サンはどうだったの。『トッテタタク』は?」「私もいい所まで行ったんだけど…」
2014-08-03 21:40:07トッテタタクとは平安時代から存在する対人ゲームである。両者の間にハリセンとヘルメットを置いて向かい合って正座し、ジャンケンを行う。勝ったならばハリセンを取り相手を打つ。この時、守り手はメットを以てこれをガードする。見事アタックが成功したならば攻め手が勝者となる。
2014-08-03 21:45:03ハリセンとヘルメット。このシンプルな組み合わせが生み出す攻防が人気を生み、今やアイドル番組でも目にすることは多い。起源は果し合いであり使用されるハリセンは鋼鉄製であったが、現在では紙のため打たれても安全だ。適度なスリルも観客の興奮に一役買っている。
2014-08-03 21:50:08「それでですね、シズカ=サン。この後スケジュールはありますか?」「え?後は…もうないけど」「それじゃあ!第一回ミリオントッテタタク大会~!」そう叫ぶと、ミライはカバンからハリセンとヘルメットを取り出した。「ちょっと、それどうしたの?」シズカが目を丸くする。
2014-08-03 21:55:05セリカがハリセンを手に取りピコピコ振る。「番組のスタッフさんがくれたんです!」「…そう」「はい!それじゃあやろう!」「待って、三人じゃ一人余るじゃない」「シードでいいよね?」「でも…」シズカが渋る。その時、休憩室のドアを開けて一人のアイドルがしめやかにエントリーした。
2014-08-03 22:00:09「…ドーモ」「あ、シホ=サン!オハヨウゴザマス!」「シホ=サン!オハヨ!」「…オハヨウゴザイマス」シホは三人にアイサツすると、そのまま前を素通りしようとした。だが「イヤーッ!」その眼前にミライが立ち塞がる!シホは踵を返し出入り口へ「イヤーッ♪」その眼前にセリカが立ち塞がる!
2014-08-03 22:05:07「…何ですか」「シホ=サンもやりましょう。トッテタタク!」セリカがハリセンを振りアピールする。彼女の眩しい笑顔に当てられシホは目を細めた。「私はいいです」素っ気なく答え、シホはセリカの脇を通り抜けようとした。セリカは慌てて手を広げる。「…あれ?」シホはドアノブに手を掛けた。
2014-08-03 22:10:09「シツレイします」そのまま開けて「逃げるの?」シホの動きが止まる。「…何ですって?」静かな怒りを湛えた眼差しがシズカに向けられる。ニュービーなら失禁を免れぬであろう殺気が湧く。彼女は鼻で笑って続けた。「ゲームで私に負けるのが怖いんでしょ?」
2014-08-03 22:15:07「あとで吠え面かかないでよ」シズカを睨み付けたまま、シホはテーブルのヘルメットを鷲掴みにした。「シホ=サンヤッター!」無邪気にミライが歓声を上げる。シホとシズカが犬猿の仲であることは有名であり、殊更取り沙汰すことではないのだ。セリカも笑ってザゼンルームのフスマを開けた。
2014-08-03 22:20:08ザゼンルームはタタミが敷き詰められた中部屋である。ここは仕事前のアグラ・メディテーションや、簡単なミーティングをする為に利用される。壁には「人生」「百万運命」「疾風迅雷」などのショドーがあり、静謐なアトモスフィアを醸し出している。「ルールはマッタナシの一本勝負」
2014-08-03 22:25:05「途中、膝を浮かした場合も負けだよ」「優勝者には私が持ってきたオカシをプレゼントです!」ミライとセリカのルール説明はシンプルだった。「じゃあ、オミクジを引いて」四人は各々のクジを示した。ミライとシズカのクジに聖獣アルパカの印。第一戦目の組み合わせだ。「シホ=サン」シズカの耳打ち。
2014-08-03 22:30:09「必ず勝ち上がってよ。…私が叩きのめすから」不敵な微笑を残し、シズカとミライが向かい合う。「ドーモ、ミライ・カスガです。ヨロシクオネガイシマス」「ドーモ、シズカ・モガミです。ヨロシクオネガイシマス」オジギをしてのアイサツはアイドルの絶対の礼儀だ。古事記にもそうある。
2014-08-03 22:35:07再び視線を交わすとミライの手が揺らめき、次々と妖しげな形を展開させた。これは古代ローマカラテの型!ミライの特技であるカラテを高める演武だ!ハッケヨイ!シズカは厳かに手を膝の上に置き、虚空を見つめる。危険な沈黙!「イヤーッ!」ミライが動く!
2014-08-03 22:40:06