シモニタ研究所の料理店

くがじろー保育係 @kugaziro_yusa

　それから大急ぎで扉をあけますと、その裏側には、 「クリームをよく塗りましたか、耳にもよく塗りましたか(=´∀｀)人(´∀｀=)」 と書いてあって、ちいさなクリームの壺がここにも置いてありました。24 #シモ研

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「そうそう、ぼくは耳には塗らなかった。あぶなく耳にひびを切らすとこだった。ここの主人はじつに用意周到しゅうとうだね。」 「ああ、細かいとこまでよく気がつくよ。ところでぼくは早く何か喰べたいんだが、どうもこう、どこまでも廊下じゃ仕方ないね。」25 #シモ研

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するとすぐその前に次の戸がありました。 「もてなしはもうすぐできます。 　十五分とお待たせはいたしません。すぐできます。早くあなたの頭に瓶びんの中の香水をよく振ふりかけてください。(・ω・)ノ」26 #シモ研

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そして戸の前には金ピカの香水の瓶めいたものが置いてありました。 　二人はその香水を、頭へぱちゃぱちゃ振りかけました。 　ところがその香水は、どうも酢すのような匂においがするのでした。27 #シモ研

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「この香水はへんに酢くさい。どうしたんだろう。」 「まちがえたんだ。消毒液かなんかをまちがえて入れたんだ。」 　二人は扉をあけて中にはいりました。扉の裏側には、大きな字でこう書いてありました。28 #シモ研

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「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。ドーモスミマセン。これで終わりな。どうかからだ中に、壺の中の粉をたくさんよくもみ込んでください。」29 #シモ研

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　なるほど立派な青い瀬戸の壺は置いてありましたが、こんどというこんどは二人ともぎょっとしてお互にクリームをたくさん塗った顔を見合せました。 「どうもおかしいぜ。」 「ぼくもおかしいとおもう。」30 #シモ研

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「沢山たくさんの注文というのは、向うがこっちへ注文してるんだよ。」 「だからさ、研究所というのは、ぼくの考えるところでは、研究を、来た人に見せるのではなくて、来た人を材料にして、研究するとこういうことなんだ。これは、その、つ、つ、つ、つまり、ぼ、ぼ、ぼくらが……。」31 #シモ研

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がたがたがたがた、ふるえだしてもうものが言えませんでした。 「その、ぼ、ぼくらが、……うわあ。」がたがたがたがたふるえだして、もうものが言えませんでした。 「にげ……。」32 #シモ研

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がたがたしながら一人の紳士はうしろの戸を押おそうとしましたが、どうです、戸はもう一分いちぶも動きませんでした。 　奥の方にはまだ一枚扉があって、大きなかぎ穴が二つつき、銀いろの卵となんかの生き物の形が切りだしてあって 33 #シモ研

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「いや、わざわざご苦労です( ´ ▽ ` )ﾉ大へん結構にできました。(・ω・)ノ 　さあさあわたしのおなかにおはいりください(=´∀｀)人(´∀｀=)」 と書いてありました。おまけにかぎ穴からはきょろきょろとたくさんの青いめだまがこっちをのぞいています。 34 #シモ研

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「うわあ。」がたがたがたがた。 「うわあ。」がたがたがたがた。 　ふたりは泣き出しました。 　すると戸の中では、なんか大きい声でこんなことを云っています。35 #シモ研

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「センセイー。あたらしいかんじゃさんです。センセイドーゾ」 「ドーモ！シモニタせんせがくるまでその部屋でちょっとまっててくださいね！怖さは実際無くすぐおわる」 「お二人さんはたぶんいっしょになんかされるので二人ともナカヨシのまんまであることですね？」36 #シモ研

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「迷いもなくシモニタ理念。シモニタナカヨシ！こわくないよ！」 「さてじゅんびできましたよ。おおおおお客さん方、早くいらっしゃい。エーラッシェー！しゅじゅちゅだいも洗ってありますし、アレももううまい具合になんか配慮しておきました。あとは実際あなたがたが来るだけです」37 #シモ研

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「へい、いらっしゃい、いらっしゃい。それとも後遺症とかが怖いですか。そんならとにかくさいしんのぎじゅrうですごくて安心です」 二人はあんまり心を痛めたために、顔がまるでくしゃくしゃの紙屑かみくずのようになり、お互にその顔を見合せ、ぶるぶるふるえ、声もなく泣きました。38 #シモ研

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中ではなんかがまた呼んでいます。 「エーラッシェー！エーラッシェー！そんなに泣いては折角のクリームが流れるじゃありませんか。じきつれてまいります。さあこちらへドーゾ」 「早くいらっしゃい。せんせがもうしゅじゅちゅのじゅんびを終えてお客さま方を待っていられます。」39 #シモ研

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二人は泣いて泣いて泣いて泣いて泣きました。 　そのときうしろからいきなり、 「わん、わん、ぐゎあ。」という声がして、あの二人の飼っていたような犬が二ひき、扉をつきやぶって室へやの中に飛び込んできました。40 #シモ研

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鍵穴の眼玉はたちまちなくなり、犬どもはううとうなってしばらく室の中をくるくる廻まわっていましたが、また一声 「わん。」と高く吠ほえて、いきなり次の扉に飛びつきました。戸はがたりとひらき、犬どもは吸い込まれるように飛んで行きました。41 #シモ研

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　その扉の向うのまっくらやみのなかで、 「ドーモ！イラシャイマセ！今日は実際おきゃくさんが多い」という声がして、それからがさがさ鳴りました。 　室からけむりがたちのぼり、二人はぶるぶるふるえて、床の中に立っていました。42 #シモ研

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見ると、部屋の奥から、あたらしい生き物の気配がします。あっちの体のパーツがふえたり、こっちの目玉もふえて、髪はざわざわ、体毛はもふもふ、足はごとんごとんと鳴りました。 　犬がシモニタどうぶつになって戻ってきました。 43 #シモ研

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そしてその犬だったものからは、 「だんなあ、シモニタ、ナカヨシ！」と叫びました。 　二人はにわかに恐ろしくなって 「アイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ！！！！！」と叫びました。44 #シモ研

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そして扉の奥から卵めいた形をして大きい口をひらいたシモニタせんせいが、シモニタなかまをざわざわひきつれてやってきて、さいしんのぎじゅつで二人をなんかしました。 　そこで二人はやっと安心しました。45 #シモ研

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そしてその後二人はせんせいのつくった団子をたべ、途中で十円だけ山鳥を買って東京に帰りました。 　しかし、さっき一ぺんシモニタになった二人の身体だけは、もうもとのとおりになおりませんでしたが、二人はしあわせでした。シモニタナカヨシだからです。 めでたしめでたし 46 #シモ研