坂本龍一『戦メリ』を分析する(その7)

その6はこちらhttp://togetter.com/li/708642
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It happens sometimes @ElementaryGard

togetter.com/li/708642 戦メリ分析いきます。前回はここまで音を組み立てました。youtu.be/iIeDJiNH9As

2014-08-20 14:28:16
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旋律の基本骨格がレとミにあることは説明したとおりです。聴けばわかりますよね。これで十分戦メリっぽくなっているのだから。

2014-08-20 14:29:11
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ですが先に説明したように、作曲者がレとミを旋律に選んだのは、この音が東洋音階(別名、五音音階)の音だからです。togetter.com/li/706959

2014-08-20 14:32:14
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和音、というか和声進行は西洋の音楽文法に則るけれど、旋律は東洋的とされる五音音階を使うことで、映画『戦場のメリークリスマス』のテーマである東洋と西洋の衝突と和解を表現しよう、と考えたわけです龍一先生は。

2014-08-20 14:33:44
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レミレミレミ…桜の花びらが舞い散るイメージがします。とはいうもののさすがに単調ですよね。そこでところどころにレでもミでもない音を混ぜてアクセントをつける。どういう音を混ぜるべきか。そりゃあ五音音階の音ですよ。

2014-08-20 14:35:21
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youtu.be/v5Vk3f1mNMQ どうでしょう。第一小節に「ラ」を挟んでみました。♪レミレラレー♪ 和音からしてファの和音すなわちファ・ラ・レなので(この楽譜ではファ・ファになっていますがこれはシーケンサーの音の性能の問題であえてこうしています。本当はファ・ラ・レ)

2014-08-20 14:41:51
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レとミの音以外に、五音音階に属する音にして和音の構成音でもある「ラ」を旋律に入れてみたわけです。

2014-08-20 14:42:49
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「ラ」ではなく「ド」ではいけないの?いいですよそれでも。youtu.be/b0IabIoJBv0 ただ、♪レミレドレー♪だといまひとつ歯切れがよくない。なぜならミレドときれいに音が並んでしまうから。滑り台をすーっとすべっていくようで、歯切れがよくない。

2014-08-20 14:46:29
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なぜ♪レミレラレー♪のほうがいいのかというと、ミレラなら滑り台のように滑っていかないからです。ミからレに下降する角度が斜め30度だとしたら、レからラへの角度は斜め60度。これならレが出っ張った形になって「俺はここにいるぞ」と存在感を示せる。滑り台の途中パーツに終わらない。

2014-08-20 14:49:00
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歯切れがよくなるわけです。坂本の曲はよくリリカル(乾いた叙情性)と評されますが、その秘密はこういう工夫にあります。旋律の音はジグザグ進むか、下降や上昇でも途中で必ず角ができるよう音を選ぶのです。♪レミレラレー♪も、上がる・下がる・急角度で下がる・上がる。ジグザグ。

2014-08-20 14:51:52
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youtu.be/zj5OvRfMQdE 2小節目もいじってみましょう。♪レミレミ「ソ」ミ♪ ソの和音なので、五音音階にも属する音の候補はソとレ。レはもう使っているのでソを挟んでみました。坂本のジグザグの法則にも則るように。

2014-08-20 14:57:06
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youtu.be/V40jfWkZJ6I 3小節目も同様に工夫。♪レミレ「ラ」ドー♪ ラの和音の構成音で、なおかつ五音音階の音となるとラとミの二つ。ミはもう使われているのでラを挿入。坂本のジグザグの法則に則って挿入。

2014-08-20 15:02:04
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こんな風に作曲者は音を組み立てていったのです、たぶん。

2014-08-20 15:06:35
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ただ4小節目でわずかにつんのめる感じがします。なぜそう感じてしまうのかというと、この曲のリズムは♪ずんずんちゃーん、ずんずんちゃーん♪だから。和の心ですね。4小節目の冒頭二拍で旋律に空白ができると、このリズムに合わなくなってつんのめる感じになってしまうのです。

2014-08-20 15:12:34
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そこでこう工夫します。 youtu.be/c-2l7h__9PE 4小節目前半ではラの和音。ということは「ド」を新たに挿入するのがヨロシ。続く♪シソミ♪にスムーズに進むように1オクターブ高い「ド」に。

2014-08-20 15:15:01
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youtu.be/uzWv5aqK7Ko このほうがいいかな。1小節目の旋律の末尾と、3小節目の旋律の末尾が、次の小節に持越しになる点で同型だと気が付くかな。

2014-08-20 15:19:42
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こうやって作曲されたのだと想像します。楽しんでいただけたでしょうか。ちなみに作曲当時のメモが残されています。『坂本龍一・全仕事』という分厚い本に収録されているので興味のあるかたは図書館で探してみてください。

2014-08-20 15:22:17
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映画予告編。 youtu.be/nVBtQX3Ovrs ボウイばっかし映ってる。

2014-08-20 15:26:31
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