【第二部-弐拾壱】二人を見守る五月雨 #見つめる時雨

五月雨,由良
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とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…私、夕張さんに言ってきます」 「え…?」 「由良さんの為に、今日は早く寝てくださいって、言ってきます!」 「え!?ちょっと待って…五月雨ちゃんにそんなことさせられないわ…」 「でも…由良さんが」 由良さんがこんなに悲しそうにしてるのに、黙って見ていられません!

2014-08-20 23:50:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「いいから、本当に…」 少し泣きそうな声で由良さんが言う。…そう言われてしまうと、私も何も出来ません。…でも、どうして? 「由良さん、どうして言わなくていいんですか?由良さん、辛そうです…」 「…わかんない、わかんないよ…」 由良さん…。

2014-08-20 23:55:25
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…由良さんが辛いって思ってること、夕張さんに伝えた方がいいと思います。黙ってちゃダメです」 「……」 「由良さん、いつも夕張さんにビシビシ言ってるじゃないですか。あんな感じに!」 …由良さんは何も言いません。ただ項垂れて、私の話を聞いているのかも、よくわかりませんでした。

2014-08-21 00:01:16
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…私の中で、段々と何かがこみ上げて来ました。…私、怒ってるんでしょうか?…そうです。私、由良さんに怒ってます。 「由良さんは、このままでいいんですか?」 「…知らない、あんなやつ」 子どもみたいなことを言う由良さん。相当参っているのでしょう。それはわかっていました。でも…。

2014-08-21 00:05:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…よくありません!!」 「…五月雨ちゃん…」 自分でもびっくりするぐらい、大きな声が出ました。 「…どうして、そこまで私達のこと…」 「だって、だって…」 気づいたら、泣いていました。怒りたくて、悲しくて、泣いていました。

2014-08-21 00:10:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…由良さんと、夕張さんには笑っていて欲しいんです…。辛そうにしてる顔は見たくないんです…。だから…」 私はそれ以上喋ることが出来ませんでした。…由良さんは戸惑っている様子でした。当然だと思います。私の反応は、度を越したものだから…。

2014-08-21 00:15:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…五月雨ちゃん」 由良さんの手が伸びてきて、私はそれに…抱き寄せられました。 「…ごめんなさい。貴女にそんな思いまでさせてしまって…」 私は由良さんの胸の中で、嗚咽と戦っていました。もう何も考えられません。もう、いっぱいいっぱいでした。

2014-08-21 00:20:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

逃げる由良さんなんて、見ていたくない。由良さんには夕張さんに向き合って欲しい。夕張さんも由良さんに向き合って欲しい。お二人にはそうやって、お互いを見ていて欲しい。そうすれば、私は諦められる。この気持ちを本当にしまい込めることができる。こんな気持ち、私が持ってはいけないんだから

2014-08-21 00:25:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…由良さん」 「…何?」 「…応援してますから…私…」 「……」 由良さんは私の耳元で、小さく…「ありがとう」と言いました。そして同時に擦れるような声でもう一度「ごめんなさい」と言いました。

2014-08-21 00:30:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

最後の謝罪の意味。それを考える余裕は、今の私にはありませんでした。でも、私の気持ちは届いたと、そう信じています。由良さん、頑張ってください。きっと夕張さんも、答えてくれますから――

2014-08-21 00:35:21