フラグゲーム(第二軸章)

チャンジャ胡麻油ナンプラー @fish_soup_can

作者：PuofeevaID《水森鱗魚》 創作世界観｢Flagger｣ Rionesil：Flagger：Desil02-title"Frag:Fragments-Re-"

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フラグゲームルール：｢死亡フラグ｣に関与する能力を持つ人間が無作為に選ばれ、能力別に三種のプレイヤー｢ピッカー｣｢オブザーバー｣｢ブレイカー｣に分かれて参加。チーム戦に持ち込むか個人戦で戦うかはプレイヤーが自由に決めてよい。ピッカーの殲滅もしくは他二種の全滅がゲーム終了条件。

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ピッカー:死亡フラグを｢立てる｣者。自分自身を含むプレイヤーすべてに死亡フラグを刺すことで対象を事故や急病などの自然な死亡に追い込むことが出来る。死亡時刻、死亡理由を選ぶことはできない。自身が立てたフラグをブレイカーに折られるとピッカー自身が死亡する。　#フラグゲーム概要

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オブザーバー:死亡フラグを｢観測する｣者。自身を含むすべてのプレイヤーに刺さったフラグの有無を視認する能力を持つ。既に立てられたフラグを除去することは出来ない。　#フラグゲーム概要

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ブレイカー:死亡フラグを｢折る｣者。自身を含むすべてのプレイヤーに立てられた死亡フラグを破壊することが出来る。破壊する際フラグの刺さっている箇所に正しく触れる必要があるため、偶然もしくはオブザーバーの協力を必要とする。　#フラグゲーム概要

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このゲームのために開発された特殊なフラグ観測装置により、既に死亡した者のフラグは可視化され、またピッカーは自身の立てたフラグを目視することが可能。フラグカラーを選別できれば「誰がピッカーであるか」を推測することも不可能ではない。　#フラグゲーム概要

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フラグ回収までの時間は未定。ピッキングから回収までの平均時間は１時間前後。　#フラグゲーム概要

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参加者10名。これで締め切り。

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Flag:Fragments-Re-

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人は必ず「フラグ」を操ることができる。「立てる」か、「折る」か、「気づく」か。幼児検診でフラグの方向性を、知能テストの追加検査でその傾向を測る時、親達は祈る。遺伝にとらわれないこの能力が、子供の障害とならないように、ただ祈るしかない。たとえそれが、何の意味のないものだとしても。

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心臓が奇妙な震えを発した事に気づく必要は無い。自分を背後から突き飛ばして逃走した女の腕には腕章が見えた、つまりあれは、紛れもないプレイヤーだ。「フラグを立てられた」。平静を取り戻そうと深呼吸を繰り返すさやあきの指は、かじかんだように感覚が麻痺していた。

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「死亡フラグ」を操る者が呼びだされる催し物、通称フラグゲーム。ここで開始早々にフラグを立てられるという失態は、そのまま「無能」の烙印となり仲間を得る好機を著しく損なう。勝機は薄いことを彼は悟っていた。手の震えが徐々に痛みへと換わってゆく。焦りが徐々に絶望へと変わっていく気がした。

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煤けた街灯の明りが落ちる白い売店の壁によりかかり、道を眺める。怯えたように歩く他のプレイヤーがさやあきの眼に映る。（どうせ死ぬのなら……）そうだ、よく考えたら。左手に力にも似た痛みが走る。死は確定した。ならば、他に何を恐れる必要がある。彼にとって最早ピッカーは脅威ではないのだ。

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言いようのない万能感に心臓が跳ね上がる。そう、どうせ死ぬのなら。いつ来るかもわからない制限時間の中で、救うことを、殺すことを、誰も咎めない最高のゲームに変わる。そして偶然にも、さやあきには救うも殺すも好きにできる能力が備わっているのだ。興奮で咽喉がひきつる。

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もう迷う必要は無い。さあ、あのプレイヤーに話しかけよう。彼はひどくつらそうな顔をしているじゃないか。もう手の震えは感じない。身を預けていた壁から離れ、踏み出した足は消し炭のように崩れ落ちた。同時に強い痛みが胸を貫く。なぜ、と、問う暇すら得られないまま、さやあきの意識は暗転した。

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：：： １9時7分26秒　プレイヤー一名死亡　残り参加者　9名 ：：：：

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無機質で聞き取りやすい人工音声が響く。飲食店街に軒を連ねるバーの二階テラス席で、椛刀はその情報を聴きとった。それ以前に、彼は見ていた。視力に秀でた彼の視線の先。白い壁の建物の傍らには、背中に鮮やかな緑色の旗が刺さった男が倒れていた。「えげつないゲームだなこれ」誰ともなく呟く。

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先ほどのフラグ成立は見事だった。ピッカーの女と、もう一人は能力不明の男。どちらも表面上は不安げな表情を浮かべていたが、フラグ回収を見届けるとすぐに合流し、どこかへ消えた。おそらくは男のほうもピッカーだろう。他の参加者の情報が得られない以上、観察と考察を重ねる必要がある。

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「どうしたもんかねえ」気配の察知は怠らずに、ジン・トニックを一気に飲み干す。最期の晩餐となるかもしれないこのゲームの食事は、どれを選んでも極上品だ。出来るだけ多く死んでほしい。ともとれる演出に、ゲーム主催者の悪趣味さが窺える。酔いが来ないほど上質な酒を楽しんで、椛刀は店を出た。

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「あの、椛刀さん……ですよね？」一瞬間を置いて振り返る。気配が全く感じられなかった。思わず身構えたが、襲ってこない。「やっぱり椛刀さんだ！私いろおにです、同じ道場の！」そういえばこの女の顔には見覚えがある。雇われ師範である椛刀がたまに顔を出す道場の門下生、いろおにだ。

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「いろおにさんか、何でまたこんなゲームに？」椛刀の知る限り、彼女は物騒な能力は持っていないはずだ。「あ、私『見える』んです。賞金欲しかったし、それで招待お受けしたんですよ」彼女のお気楽そうな表情に力が抜ける。２０歳にも満たない少女を招待するなど、主催者は何を考えているのだろうか。

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確かに、オブザーバーであり、武術の心得もそれなりにある彼女なら生き残れる可能性は高い。が。「アホかお前は。命かかってんだぞこのゲーム」「命はお金で買えます！」「死んだら買い戻せないだろうが」アホすぎる門下生にゲンコツを食らわせる。男女平等が椛刀の信条である。

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「とにかくあれですよ椛刀さん。よかったら私と組んでいただけませんか？」いろおにが切り出す。本題はそっちだったようだ。「先ほどの緑のピッカー女、私も見てたんで顔とか覚えました」対象を助ける、という選択をとらなかったあたり、まだそこまでアホではないようだった。「一緒に行きましょう！」

チャンジャ胡麻油ナンプラー @fish_soup_can

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