- shinchanchi
- 3690
- 0
- 2
- 3
1.消費税増税と公共投資前倒しについてのまとめ。 (1)消費税率1%引き上げ=約2.5兆円の増税(内閣府資料から) (2)今年の4月から5%から8%に3%引き上げになった為、2.5兆円×3%=7.5兆円の増税。
2014-06-06 22:38:042.3月末に政府は公共投資(政府支出)10兆円前倒しを決定。 これは消費税率引き上げによる「7.5兆円の増税の悪影響」を打ち消す為であるが、その裏にはマクロ経済学的理由があると思われる。つまり、「政府支出の乗数効果」と「租税の乗数効果」である。
2014-06-06 22:46:283.限界消費性向(ケインズ型消費関数の場合、可処分所得のうち消費にまわる割合のこと)は、日本では阪大の谷崎先生が1993年に試算したところ0.8程度。 (1)政府支出乗数は1/(1-0.8)=5となり、10兆円の公共投資でGDP(均衡所得)は10兆円×5=50兆円増加させる。
2014-06-06 22:56:484.(3)より、50兆円-30兆円=20兆円で、「乗数効果が正しければ、プラスマイナス20兆円」になる為、消費税率引き上げのマイナス効果を打ち消すことができる。 5.しかし、最初にケインズ型消費関数を仮定していることに注意して頂きたい。ケインズ型消費関数とはどのようなものなのか?
2014-06-06 23:06:246.ケインズ型消費関数とは、消費量=基礎消費+限界消費性向×可処分所得で表される。 日本では、しばしばケインズ型消費関数が無批判に用いられているが、1936年『雇用・利子および貨幣の一般理論』の出版以降、ケインズ型消費関数の実証上の問題は様々に指摘されており、代替モデルも多い。
2014-06-06 23:19:337.そもそもケインズ型消費関数は、「現在」の可処分所得によって決まることを意味する。しかし、家計は「将来」の収入や「金利」をある程度、参考にして「現在」の消費を決定している可能性があり、ケインズ型消費関数はその点を無視していると言える。
2014-06-06 23:28:178.ケインズ型消費関数以外の消費の理論モデルとしては、ライフサイクル仮説や恒常性所得仮説などが知られているが、中でも重要なのはI. フィッシャーによる消費の異時点間最適化のモデルがある。それは実質金利によって人々が消費の配分を決定するという考え方である。
2014-06-06 23:43:509.現代マクロ経済学は、このフィッシャーの考え方を基礎にしており、最近流行っている動学的確率的一般均衡モデルに出てくる「消費のオイラー方程式」は、その考え方に基づいている。つまり、現代マクロ経済学では、ケインズ型消費関数は必ずしも主流な考え方とは言いがたいのである。
2014-06-06 23:47:4910.ケインズ型消費関数の不十分性を示す例としては、そもそも消費税率引き上げ等による駆け込み需要と反動減を説明できないという問題がある。このような現象を説明するには、消費のオイラー方程式と「合理的期待形成」が必要になるのだが、何故か日本ではそのような基本的なことも理解されていない
2014-06-06 23:53:38最後に、今回説明した話は何も難しい話ではなく、標準的なマクロ経済学の教科書(例えば、マンキューマクロ経済学Ⅰ、Ⅱ)を読んでおけば得られる基本的な知識ではないかと思う。
2014-06-06 23:59:02