『イラストレーター・中村佑介氏のQ&A⑪』“図工の時間は楽しかった?”編(2014.11.15)

イラストレーター・中村佑介氏の『Q&A』をまとめました。
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中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A⑬】今ご説明した通り、その画材自体は形も面白いので、子供たちはみんな「なんだなんだ?」と食いついたと思います。その後「じゃあそれで、コレを描いてみましょう」と静物(モチーフ)を出したところで、「な~んだ…」とみんなのテンションが下がっちゃったのだと考えられます。

2014-11-15 17:40:42
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A⑭】つまり今回の授業において、こまち先生は「新しい画材(ダーマトグラフ)」「新しいものの見方(モチーフ)」「新しい描き方(クロッキー)」という3つの事を同時に教えようとしてしまい、頭がパンクする子供が続出してしまった訳ですね。

2014-11-15 17:44:15
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A⑮】「図工」という遊びの延長で捉えられることの多い授業も、それはあくまでイメージであり、「算数」と同じように、物には順序があります。足し算や引き算をまだ習っていない子には、掛け算や分数はなかなか理解することができません。

2014-11-15 17:46:31
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A⑯】先程もお話した通り、今回は「静物クロッキー」という1単語にまとまっているものの、子供たちにとって、3つの新しい価値観が入って来るので、それをひとつひとつに分解し、3回の授業に分け、ゆっくりと噛んで楽しませてやることが、最終的な目的達成には確実だと、僕は考えます。

2014-11-15 17:49:59
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A⑰】まずひとつ目の授業として、ダーマトグラフという画材の面白さを体験させ、その特性に慣れさせる為に、紙ではなく、「家から落書きしていいって言われた白めの布(雑巾等)持ってきて~」と言います。

2014-11-15 17:55:30
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A⑱】そして持ってきた布に、まずは普通の色鉛筆で何か好きなものを描かせます。(単純に「塗る」でも良いです) もちろん描けません。その後にダーマトグラフを渡します。すると「描けない…」⇒「描ける!」という画材の特質を、子供たちは驚きの中で自然と学ぶことが出来ます。

2014-11-15 17:58:35
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A⑲】次に、前の授業とは関連性を見せずに、「今度は家からリンゴの絵を探して持ってきて~」と言います。漫画、イラスト、絵画、何でも良いです。それを拡大コピーしてあげて、トレーシングペーパーをあて、同じものをうつし描かせます。

2014-11-15 18:03:28
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A⑳】その際、主線は消えないようにサインペン。色は色鉛筆で、トレーシングペーパーの特性を活かし、裏から塗らせるのも面白いでしょう。この授業では「観たものをそのまま描く」の前段階を憶えさせます。

2014-11-15 18:05:34
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A21】その次の授業では、今度は本物のリンゴを子供たちにそれぞれ与え、色鉛筆、絵の具、マジック、クレヨンなど思い思いの好きな画材で描かせます。

2014-11-15 18:10:09
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A22】その際、「しっかり色と形を見て!」と言いたいところですが、それを言うとまた「?」とパンクする子が出てきちゃうので、「枠線は使わずに描いてみよう」というルールだけ与えましょう。すると自然にカタチと色を見てくれます。 pic.twitter.com/6mqz7MnUI9

2014-11-15 18:20:33
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中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A23】そこで一旦休憩です。先程の2枚のリンゴの絵を隣同士に並べて台紙に貼り、全員の作品を黒板に展示。「同じリンゴの絵なのにこんなに違うんだね~」と、上手さや出来栄えの良さではなく、それぞれの違いを見つけ、褒めてやります。ここで子供たちは自分の絵を描く喜びを知ります。

2014-11-15 18:30:58
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A24】「それでは最後に」とすぐに行きたいところですが、そこから1カ月くらい感覚を空けます。それまでの授業で「観察する目」を養った子供たちが、それぞれの1カ月をどのように過ごすか。少なくとも意識的にリンゴは観る機会は多くなるでしょう。

2014-11-15 18:34:18
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A25】そして1カ月経ったら、「今日はみんなの頭の中にあるリンゴを自由に描いてみましょう」とダーマトグラフと白布を渡します。そこでこれまでの授業の経験から、以前より色々なリンゴの描き方をする子が出てくるはずですよね。

2014-11-15 18:37:34
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A26】ある子は以前のように単純に枠線と赤だけで描くでしょうし、ある子は実際のリンゴを思い出し、近い形で描くでしょう。またある子は布なので、模様みたいにするかもしれないし、大きく描いたり、小さく描いたり。各自の3枚を並べて違いを楽しませます。

2014-11-15 18:41:55
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A27】もし学校にご予算があるなら、一番安いフレームの額を買って、みんながその3枚の中で一番気に入っている絵を入れ、しばらくの間、きちんと展示してあげると、「ただの授業」「ただの子供の絵」と流れる事なく、子供たちはなお、絵を描く充実感を実感できることだろうと思います。

2014-11-15 18:44:29
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A28】結論から申しますと、やはり小学1年生で静物クロッキーは難しいと思いますので、このように目的を分解して、絵を描く喜びを伝えた方が良いかなと、僕は考えます。そうすると3、4年生の相応な時期の授業でクロッキーがあった時、すんなり入れるようにもなります。

2014-11-15 18:47:28
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A29】以上が、皆様のアンケート結果から見出した、「もし僕が小学校1年生の先生だったら」という仮説のもとに展開した図工の授業の構想です。もちろん現実的にはご予算やカリキュラムのご都合もあると思いますので、どれかひとつでもゆくゆく参考になれば幸いです。

2014-11-15 18:49:47
中村佑介🎨Yusuke Nakamura @kazekissa

【こまちQ&A30】先生じゃなくても、お子様がいらっしゃる方は、ぜひ試してあげて下さい。子供たちが絵を好きになるかはわかりませんが、少なくとも絵に対する「難しそう…」というアレルギーは取れると思います。ご清聴、そしてアンケートのご協力、どうもありがとうございました。(おわり)

2014-11-15 18:52:01

▲以上、今回の『Q&A』終了です。

中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

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2015-10-23 02:20:18
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